リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

新型コロナウイルス感染症対策分科会による提言

私たちの考えー分科会から政府への提言ー令和2年11月20日(金)

安倍元首相の唐突で何の準備も伴わない一斉休校要請が10代の妊娠の急増、10代の少女の自殺の急増をもたらした可能性は非常に高いのに、それについて誰も直接的には何も言わない。グテーレス国連事務総長の発言は4月であり、他の国々はその直後から「女性を守る」ための体制作りに動いたのに、11月の段階でようやく「提言」が出ただけ。この国は女たちをいかに粗雑に扱っているのか、嘆かずにはいられない。

令和2年11月21日新型コロナウイルス感染症
対策本部(第 47 回) 資料
資料3-3

緊急提言
2020 年 11 月 19 日

 コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会新型コロナウイルスの新規感染者数は、秋以降、全国的に増加しており、一日の感染者数は過去最多を記録している。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻であり、「女性不況」の様相が確認される。女性就業者数が多いサービス産業等が受けた打撃は極めて大きく、厳しい状況にある。事実、2020 年 4 月には非正規雇用労働者の女性を中心に就業者数は対前月で約 70 万人の減少(男性の約 2 倍)となり、女性の非労働力人口は増加(男性の 2 倍以上)した。DVや性暴力の増加・深刻化、予期せぬ妊娠の増加が懸念され、10 月の女性の自殺者数は速報値で 851 人と、前年同月と比べ増加率は 8 割にも上る。シングルマザーからは、収入が減少した、生活が苦しいとの切実な声が上がっている。医療・介護・保育の従事者などのいわゆるエッセンシャルワーカーには女性が多く、処遇面や働く環境面が厳しい状況にある。感染症による差別も報告されている。緊急事態宣言下の休校・休園は生活面、就労面において特に女性に大きな負の影響をもたらした。テレワークについては、その普及と充実に向けて対応すべき課題は少なくない。女性の家事、育児等の負担増に留意するとともに、エッセンシャルワーカーをはじめテレワークの導入が困難な職業に従事する方々の状況をしっかり受け止める必要がある。
 国連では、2020 年 4 月 9 日、グテーレス事務総長がコロナ対策において女性・女の子を中核に据えるよう、声明を発した。
 こうした状況を踏まえ、本研究会として、以下の事項を緊急に提言する。
 今後、政府にあっては、自治体や民間企業等の協力を得ながら取組を進めていくことを期待する。

〇 DV、性暴力、自殺等の相談体制と対策を早急に強化するとともに、感染拡大期においても可能な限り必要な機能を果たすこと
〇 休校・休園の判断において、女性・子供への影響に最大限配慮すること
〇 いわゆるエッセンシャルワーカーの処遇改善等を十分考慮すること
感染症に伴う差別的な扱いの解消に向けた取組を進めること
ひとり親家庭への支援を強化すること
〇 テレワークについて、課題を踏まえた上で、普及、充実を進め、柔軟な働き方を進めていくこと
〇 デジタル、福祉分野など成長分野等へのシフトに向けた人材育成、就労支援を進めていくこと
〇 行政の業務統計を含む統計情報の積極的活用を促し、迅速な実態把握とその分析を進めること

コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会


白波瀬 佐和子 東京大学大学院人文社会系研究科教授<座長>
大崎 麻子 特定非営利活動法人 Gender Action Platform 理事
大竹 文雄 大阪大学大学院経済学研究科教授
種部 恭子 医療法人社団藤聖会女性クリニック We!TOYAMA 代表
筒井 淳也 立命館大学産業社会学部教授
永濱 利廣 株式会社第一生命経済研究所首席エコノミスト
松田 明子 山形県子育て若者応援部長
武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授
山口 慎太郎 東京大学大学院経済学研究科教授
山田 久 株式会社日本総合研究所副理事長
研究会事務局:内閣府男女共同参画局