リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中期中絶薬も日本は超高額!

安くてより安全なミソプロストール(サイトテック)を転用すべきです

1994年のthe New England Journal of Medicineに載った研究によれば

プロスタグランジンEは平均315.3ドル、ミソプロストールは平均0.97ドル。なんと300倍も違う!

日本で中期中絶に使われているのはプロスタグランジン(商品名プレグランディン、PGE2 と略)の方です。一方のミソプロストールはWHOの必須医薬品リストのコアリストに入っている超優秀な薬で、すでに日本でも潰瘍治療薬として承認されている薬です。

この2つの薬を比較した以下の論文の結論は次の通り(拙訳)。

ミソプロストールは、第2三半期(中期)の中絶/流産処置において少なくともPGE2 と同程度有効だが、価格は安く、投与しやすく、合併症も少ない。

なんとミソプロストールの方が時間もかからないし合併症も痛みも少ない。さらにミソプロストールは稽留流産の治療や産後の出血が止まりにくい時にも安全に使える薬なのです。しかもこの価格差! 

絶対にミソプロストールを転用すべきです!

*後記:ミソプロストールもプロスタグランジン(PG)の一種だそうです。また、日本のプレグランディン(ゲメプロスト)は「プロスタグランジンE1誘導体製剤」とされていますが、これもまたPGの一種だそうです。ただし、ミソプロストールとPGE(1と2は分量の差)は組成が異なるため、分けて考えるのが正しいようです。(2020/12/12更新)

A Comparison of Intravaginal Misoprostol with Prostaglandin E2 for Termination of Second-Trimester Pregnancy

追記(2020/11/23)
日本でプレグランディンを販売しているのは小野薬品工業です。
一般名:ゲメプロスト、商品名:プレグランディン膣坐剤、薬効分類名 プロスタグランジンE1誘導体製剤だそうです。劇薬、処方箋薬の扱いです。
プレグランディン腟坐剤1mg

一方のミソプロストールはファイザー株式会社が販売。
一般名:ミソプロストール、商品名:サイトテック錠剤、薬効分類名:抗NSAID潰瘍剤。劇薬、処方箋薬の扱いです。
サイトテック錠100/ サイトテック錠200