リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」に関する要望書

緊急要望書が出されました 拡散歓迎!

2020年11月26日
「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」に関する要望書

衆議院法務委員会
委員長 義家弘介様 
与党筆頭理事 稲田朋美
野党筆頭理事 階 猛様

「不幸な子どもの生まれない運動」は終わったのか?集会実行委員会
わたしたちの内なる優生思想を考える会
医療労働運動研究会
リメンバー7.26神戸アクション
脳性まひ者の生活と健康を考える会
グループ生殖医療と差別
連絡先:fwka2024@nifty.com

今国会において、議員立法で提出されている「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案」(以下、法案)について、以下の理由から、法案の「基本理念」第3条4項「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」の削除を求めます。
 日本では、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に掲げた旧優生保護法のもとで、遺伝性疾患とされた人や障害のある人に対して本人の意思に基づかない強制不妊手術が実施され、多くの被害者の方々が人としての尊厳を奪われ、生涯にわたって心身の多大な苦痛に苦しんでこられました。本法案の「心身ともに健やかに生まれ」るよう行われる「必要な配慮」は、この「不良な子孫の出生防止」を彷彿とさせる文言です。
 特に、現在では、生殖医療の場で、受精卵について遺伝性の疾患の有無を調べる着床前診断や、胎児の障害の有無を調べる様々な出生前診断が可能になっており、商業的な普及も懸念されています。法律に、「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれるよう…必要な配慮がなされる」と定めるのは、「いのちの選別」につながる出生前診断を、国が奨励さらには強制するかのように読み取れ、絶対に認めることはできません。
 本法案の第3条4項の削除を強く要望します。
 また、これ以外にも、この法案が成立すれば、何の検討もないまま、現在はアングラで行われている生殖技術を国が事実上認める形になること、「生まれてくる子の出自を知る権利」が先送りにされていること、卵子提供をめぐる女性のリスクが全く考慮されていないことなど、本法案には多くの問題があります。
再度、慎重な審議が行われることを強く要望します。