リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

指定医師必携に見る中絶問題

『指定医師必携』

『指定医師必携』とは、日本産婦人科医会が指定医師に対して発行している母体保護法指定医師のマニュアルのような冊子である。この『必携』の巻頭言で木下勝之会長は、「(昨今の)研修機関では、人工妊娠中絶の数が少なく、指定医師希望者に実地教育をする機会が少なくなってきた」との問題提起と共に、研修機関を診療所レベルに拡大していく方針を示した(日本産婦人科医会、2019)。それで教育の質が低下しないのか懸念される。


一方、『必携』の本文では、中絶手術は「容易なものと思われがち」で、「馴れ」により「安易な気持で対処」されがちだが「初心者はもちろん、相当熟練した医師にとってもかなり難しい手術」と位置付け、「ブラインドオペであることを念頭に置いて、細心の注意をもって当たらなければならない」と精神論で乗り切ろうとしている。これで果たして「女性の心身の健康を守る」ことができるのだろうか。