リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中華人民共和国女性権益保障法

中国の女性権益保障法の翻訳と解説

こんなのを見つけました。とても興味深いです。
元々は〔北京+10記 念 特 刊 『中国婦 女報』(2005年8月29日)〕に掲載されたものが、『国際女性』No.20 ~国際女性の地位協会 年報2006年度版~に再掲されたようです。

女性権益保障法

以下、自分の興味で抜粋します。

第1章 総 則
第1条 女性の合法的権益を保障 し,男 女平等を促進し,社 会主義現代化建設における女性の役割を十分に発揮させるために,憲法とわが国の実際情況に基づいて本法律を制定する。
第2条 女性は,政治的,経済的,文化的,社会的及び家庭的生活などの各方面において男性と等な権利を享有する。男女平等を実施することは,国家の基本的国策である。国家は必要な措置をとり,女性の権益を保障する各種の制度を漸次完全なものにし,女 性に対するあらゆる形態の差別をなくす。国家は法に照 らして女性の特殊な権益 を保護する。女性を差別,虐待,遺棄 殺害することを禁止する。
第3条 国務院は中国女性の発展綱領を制定し,それを国民経済と社会発展の計画に取り入れる。県級以上の地方各級の人民政府は,中国女性の発展綱領に基づいて当行政区域の女性の発展計画を制定し,それを国民経済と社会発展の計画に取り入れる。
第4条 女性の合法的権益を保障することは,社会全体の共同責任である。国家機関,社 会団体,企業事業部門,都市と農村の基盤をなす大衆的な自治組織は,本法律及び関連する法律の規定に基づいて女性の権益を保障しなければならない。国家は,女性が法に基づいて権利行使をするために,有効な措置をとり,必 要な条件を提供す る。
第5条 国家は,女性の自尊,自信,自立,自橿 を鼓舞し,法律を運用して自身の権益を擁護するよう奨励する。女性は,国家の法 を遵守 し,社会の公衆道徳を尊重し,法律の定める義務を履行しなければならない。
第6条 各級の人民政府は,女性 の権益保護の業務を尊重し強化しなければならない。県級以上の人民政府は,女性児童工作 の組織に責任を負い,女性権益の保障業務に最善を尽くさせるよう関係部門の組織,協調,指導,督促に責任 を持つ。県級以上の人民政府の関係部門は,各自の職責の範囲内において,女性の権益保障の業務に最善を尽
くす。
第7条 中国全国女性連合会と地方各級の女性連合会は,法律と中国全国女性連合会の計画に照らして,各民族,各界の女性の利益を代表して擁護し,女性の権益を守る業務に最善を尽 くす。労働組合,共産主義青年団は,各自の任務の範囲内において,女性権益を保護する業務に最善を尽くさなければならない。
第8条 女性の合法的な権益の保障に著しい成果をあげた組織や個人に対して,各級人民政府と関係部門はそれを表彰し奨励する。

第6章 人身の権利
第36条 国家は,女性が男性と平等な人身の権利を享有することを保証する。
第37条 女性の人身の自由を侵してはならない。不法な拘禁及びその他不法な手段で女性の人身の自由を剥奪,または制限することを禁止し,不法な女性の身体の捜査を禁 止する。
第38条 女性の生命健康権は,侵してはならない。女乳児を溺死・遺 棄・殺害することを禁止する。 女乳児を出産した女性及び出産しない女性を差別・虐待することを禁止する。迷信,暴力などの手段で女性を殺害することを禁止する。病気や障害のあ る女性や高齢 の女性を虐待・遺棄することを禁止する。
第39条 女性を誘拐売却・拉致することを禁止する。誘拐売却・拉致された女性を買 い集めることを禁止する。誘拐 売却・拉致された女性の救助を阻止してはならない。各級人民政府と公安,民生,労働・社会保障衛生などの部門は,その職責に照らして誘拐売却 された女性,拉致された女性を機を逸せずに対策を講じて救助し,善後処置に最善を尽くし,女性連合会は,援助,協力して関係の職務に最善を尽くす。何人も
誘拐売却・拉致された女性を差別してはならない。
第40条 女性に対するセ クハラ行為を禁止する。被害女性は,職場と関係機関に告訴する権利を有する。
第41条 売買春を禁止する。女性を組織・脅迫・誘惑・収容・紹介して売春させ,または女性に猥褻な行為をさせることを禁止する。女性を組織・脅迫・誘惑し猥褻な興行活動をすることを禁止する。
第42条 女性の名誉権,栄誉権,プライバ シー権,肖像権などの人格権は,法律の保護を受 ける。侮辱,誹謗などの方法で,女性の人格の尊厳を損なうことを禁止する。マス・メディアまたはその他の方法で女性の人格に損害を与えることを禁止する。本人の 同意を得ず,営利目的で広告,商標,ショー・ウィンドー,新聞,定期刊行物,書籍,録音製 品,電子出版物,ネットワークなどの形で女性の肖像を使ってはならない。

第7章 婚姻 家 族 の権益
第43条 国家 は,女 性 が 男性 と平等 な婚 姻家 族 の権利
を享有 す る こ とを保 障 す る。
第44条 国家 は,女 性 の婚姻 の 自主権 を保 護 し,女 性
の結婚,離 婚 の 自由 に干 渉す るこ とを禁止 す る。
第45条 女性 側 が妊娠 期 間中,出 産後1年 以 内,ま た
は 中絶 後6ヵ 月以 内 に,男 性 側 は離 婚 を提 出で きな
い。女 性側 の離 婚提 出や,人 民法 院 が男性 側 の離婚
請求 が確 か に必 要 であ る と認 め た場 合 は,こ の限 り
国際女性No.20(2006) 161
では ない。
第46条 家庭 内で女 性 に暴 力 をふ る うこ とを禁 止 す る。
国家 は,家 庭 内暴 力 を予 防 制 止す る措 置 を とる。
公安,民 政,司 法 行 政 な どの部 門 や,都 市 と農村
を基盤 と した大 衆 的 な自治組 織,社 会 団体 は,各 自
の職責 の範 囲 以内 で家庭 内暴 力 を予 防,制 止 しなけ
れば な らず;法 に従 って被害 女性 を救 助 しなけれ ば
な らない 。
第47条 女性 は,法 律 の規 定 に基づ い た夫妻 共 同の財
産 に対 して,そ の 配偶者 と平 等 な 占有,使 用,収 益
及 び処 分 の権利 を享有 し,双 方 の収 入状況 の影 響 を
受 けない 。
夫妻 の書 類上 の婚 姻 関係 が存続 してい る期 間の所
得 の財 産 は,各 自の所 有 に帰 す る。女 性側 は,子 ど
もを育 成 し,老 人 の世 話 を し,男 性 側の仕 事 を助 け
る な どの 義務 を比較 的 多 く担 ってい るの で,離 婚 時
に男性 側 に補償 を要求 す る権 利 を有 す る。
第48条 夫妻 共 有の 家屋 は,離 婚 時,部 屋 の分割 を双
方の協 議 に よ り解 決す る。協 議 が不 成立 の と きは,
人民 法院 が双 方の具 体 的情 況 に基 づ き,子 ど もと女
性 側 の権 益 を配慮 す る とい う原則 に よって判 決す る。
夫妻 双方 に別 に約 束が あ る もの は除 外 され る。
夫 妻が 共 同で借 りてい た家屋 につ い て,離 婚 時,
女性 側の 部屋 は,子 どもと女性 側の 権益 を配 慮す る
とい う原 則 に よって解 決 しな けれ ばな らない 。
第49条 父 母双 方 は,未 成年 の子 ど もに対 して平等 な
監護 権 を享有 す る。
父 親 の死亡 ・行 為能 力 の喪失,ま た はその 他の 事
情 で未成 年 の子 どもを監護 で きな くな った とき,母
親 の監護 権 に何 人 も干 渉 で きない。
第50条 離 婚時 に,女 性 側が 不妊 手術 または その他 の
原 因に よ って出産 能力 を喪 失 して い る とき,子 ども
の養 育 問題 の処理 は,子 どもの権益 に有 利 な条件 の
下 で,女 性側 の合 理 的要 求 に配 慮 しなけれ ばな らな
い。
第51条 女 性 は,国 家 の 関係規 定 に よって,子 ど もを
出 産す る権利 を有 し,ま た出産 しない 自由 も有す る。
出産適 齢 の夫妻 双方 は,国 家 の 関係規 定 に従 って
計画 的 に出 産 し,関 係 部 門は,安 全 で有 効 な避妊 薬,
避妊 具 及 び避 妊技 術 を提供 しなけ れば な らず,避 妊
手術 を した女 性 の健康 と安 全 を保障 しな ければ な ら
ない。
国家 は,婚 前 の保健 と妊 娠期 の保 健制 度 を実施 し,
母子 の保 健事 業 を発展 させ る。 各級 の 人民政 府 は,
女性の計画的出産技術のサービスを保障 し,女 性の
生殖健康水準を高める措置をとらなければな らない。