リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

(第2次)男女共同参画基本計画 「8.生涯を通じた女性の健康支援」

2005年の男女共同参画基本計画はなぜか「コピペができない」PDFファイル

 しかも、異様なほど「空白」だらけで、文が途中で切れている箇所もあるという異様な体裁。以下、87頁から93頁までをタイプアウトしました。タイプミスがあったら追って修正しますので、とりあえずご容赦ください。

<目標>
 女性も男性も、各人が互いの身体的特性を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対するおもいやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。そのためには、心身及びその健康について正確な知識・情報を入手し、主体的に行動し、健康を享受できるようにしていく必要がある。特に、女性は、妊娠や出産をする可能性もあり、ライフサイクルを通じて男性と異なる健康上の問題に直面することに男女とも留意する必要がある。
 平成6年(1994年)にカイロで開催された国際人口/開発会議においても、性と生殖の健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)(*)に関し、すべての人々が身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを求められたところである。このことについては、1995年の第4回世界女性会議で我が国を含め採択した行動綱領においても、女性の人権として確認されたところである
 国連特別総会「女性2000年会議」においては、「北京宣言及び行動綱領実施のための更なる行動とイニシアティブ」を我が国と含め採択し、その中で、男女の力関係が平等でないことや、女性の健康を守るニーズに関する男女間のコミュニケーションや理解が欠如していることが障害となって、女性の健康が脅かされていると指摘している。
 こうしたことに配慮しつつ、男女の、特に女性の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策の推進を図ることが必要である。

*性と生殖の健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)
 性と生殖の健康(リプロダクティブ・ヘルス)とは、平成6年(1994年)の国際人口/開発会議の「行動計画」及び1995年の第4回世界女性会議の「北京宣言及び行動綱領」において、「人間の生殖システム、その機能と(活動)過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを指す」とされている。
 性と生殖の権利(リプロダクティブ・ライツ)とは、「性と生殖の健康(リプロダクティブ・ヘルス)を得る権利」とされている。
 なお、妊娠中絶に関しては、「妊娠中絶に関わる施策の決定またはその変更は、国の法的手順に従い、国または地方レベルのみ行うことができる」ことが明記されているところであり、我が国では、人工妊娠中絶については刑法及び母体保護法において規定されていることから、それらに反し中絶の自由を認めるものではない。

以下は88頁全文です。

8.生涯を通じた女性の健康支援
施策の基本的方向
(1)生涯を通じた女性の健康の保持促進
 男女がその健康状態に応じて適切に自己管理を行うことができるようにするための健康教育、相談体制を確立するとともに、性差に応じた的確な医療である性差医療を推進する。特に女性については、思春期、妊娠・出産期、高齢期等人生の各ステージに対応した適切な健康の保持増進ができるよう対策の推進を図る。また、スポーツ活動を通じた健康の保持増進を図る。

 以下は89頁全文です。ただし元は表形式であった担当府省の表記は括弧書きで該当箇所に続けて括弧内に書きました。

具体的施策
ア 生涯を通じた健康の管理・保持増進のための健康教育・相談支援等の充実
〇女性の健康保持のための事業等の充実
・避妊、妊娠、不妊性感染症、婦人科的疾患、更年期障害その他女性の健康をめぐる様々な問題について、安心して相談できる体制を整備する等、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期など女性の生涯を通じた健康保持に関する事業を推進する。また、心の悩みは、うつ、摂食障害、自殺等の形で生涯を通じた健康を大きく損なう場合もあることから、健康問題について、身体的問題のみならず心の悩みも含め安心して相談できる体制づくりを推進する。
・女性の特有な健康状態あるいは女性に多く見られる疾病について、調査・研究を進める。
・各種施策の実施状況及び社会情勢の変化等に応じて、女性の健康保持に関する施策の充実のための総合的な検討を行う。(担当府省:厚生労働省
〇健康教育の推進
・生涯を通じ、自己の健康を適切に管理・改善するための教育・学習を学校はもちろん、家庭や地域においても積極的に推進する。学校においては、児童生徒が健康の大切さを認識できるようにするとともに、自己の健康を管理する資質や能力の基礎を培い、実践力を育成するため、健康教育の推進を図る。(担当府省:文部科学省
性差医療の推進
・生涯を通じた健康の保持のためには、性差に応じた的確な医療を受けられることが必要であり、医師、医療関係者及び国民に性差医療についての知識の普及を図る。(担当府省:厚生労働省
〇女性の健康問題への取組についての機運の醸成
・女性は、妊娠や出産をする可能性があることもあり、ライフサイクルを通じて男性とは異なる健康上の問題に直面する。こうした問題の重要性について男性を含め、広く社会全体の認識が高まり、積極的な取組が行われるよう気運の醸成を図る。
・女性の生涯を通じた健康支援の総合的な推進を図る視点から、保健所、市町村保健センター等において母子保健医療に携わる医師、保健師助産師、看護師等に対する研修棟の充実を図る。(担当府省:厚生労働省

イ 成人期、高齢期等における女性の健康づくり支援
〇女性が、長い人生を、寝たきりにならず健康に過ごすため、更年期障害の軽減、中高年期以降の肥満の予防等を重点とした健康診査、健康指導を行うとともに、健康的な食生活習慣の確立や適切な運動習慣の普及等を推進するほか、老後における健康保持のため健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練及び訪問指導といった保健事業の推進を図る。(担当府省:厚生労働省
〇子宮がん、乳がん骨粗しょう症等の予防対策の推進
・女性のがん罹患率の第一位である乳がんについて、死亡率減少効果のあるがん検診を推進するため、マンモグラフィの緊急整備や撮影技師及び読影技師の育成を図るとともに、乳がん、子宮がん検診、骨粗しょう症健診の普及啓発等の推進を図る。なお、乳がんについては、自己検診が可能であることから、その方法について普及啓発を図る。(担当府省:厚生労働省
〇女性の生涯にわたるスポーツ活動の推進
・地域における日常的なスポーツ活動を推進するとともに、地域のスポーツ指導者について各自治体が養成・活用に勤めるよう支援することを通じて、女性の(担当府省:文部科学省

 以上、「女性の」でぶっちぎれているのが、異様です。

 以下は92頁全文です。半頁以上白紙で次の7行があり、また3分の1頁ほどの白紙になっています。第1次基本計画で「女性の健康」であった部分がすべて「健康」と変わり、「女性の」が削除されています。

(3)健康をおびやかす問題についての対策の推進
 HIVエイズ性感染症は、健康に甚大な影響をもたらすものであり、正しい知識の普及啓発を始め総合的な対策を推進する。薬物乱用は本人の身体及び精神の健康をむしばむのみならず、家庭崩壊や犯罪の原因となるなど社会の基盤を揺るがしかねない行為でありその対策の強化を図る。また、喫煙や過度の飲酒も健康を損なうこととなりやすく、特に女性は、生殖機能や胎児に悪影響があることなどから、受動喫煙防止対策を徹底するとともに、健康被害に関する情報提供等対策を推進する。

以下は93頁全文です。ただし89頁同様に、元は表形式であった担当府省の表記は括弧書きで該当箇所に続けて括弧内に書きました。唐突に文の途中から始まります。

改訂に活用する。
〇女性の主体的な避妊のための知識等の普及
・安易な人工妊娠中絶を避けるため、人工妊娠中絶が女性の心身に及ぼす影響や安全な避妊についての知識の普及を図る。また、女性が主体的に避妊を行うことができるようにするための避妊の知識の普及等の支援を行う。(担当府省:厚生労働省

イ  適切な性教育の推進
〇学校における適切な性教育の推進
・若年層の人工妊娠中絶や性感染症の増加などが見られる今日、性と生殖に関して健康であることの重要性について、発達段階に応じて男女ともに正確な知識を持ち、自ら健康管理を行うことができるようにするとともに、生命尊重・人格尊重・男女平等の精神に基づき、自分自身を大切にし、相手の心身の健康についてもおもいやりを持つことが重要である。
 そのため、学校において心のつながりや命の尊厳も重視し、発達段階に応じた適切な性教育を実施していく。学校における性教育については、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階を踏まえるとともに、保護者や地域の理解を得ながら、学校全体で共通理解を図って行い、行き過ぎた内容とならないよう、学校関係者等に対し周知徹底を図る。また、適切な性教育の内容や進め方等については、国において検討を進め事例集を作成・配布するなどの方法により各教育委員会に周知を図る。
 さらに、中央教育審議会における議論の結果を踏まえ、今後の性教育のあり方について必要な見直しを進める。(担当府省:文部科学省
〇性に関する学習機会の提供
・家庭や地域において性と生殖に関する健康の重要性について教えることができるよう、家庭教育等を支援する学習機会を充実する。(担当府省:文部科学省

ア HIVエイズ性感染症対策
〇予防から治療までの総合的なHIVエイズ対策の推進
・国民がHIVエイズに関する正しい知識を持って感染を予防し、患者・感染者に対して正しい理解に基づいて行動が取れるよう、積極的な啓発活動を行うとともに、医療・検査・相談体制の充実、研究開発の推進等、総合的な対策を推進する。(担当府省:厚生労働省
性感染症対策の推進
性感染症は、特に女性にとって、母子感染や不妊症の原因となるおそれがあるなど、性と生殖の健康をおびやかす極めて重大な問題であり、予防から治療までの対策を強力に推進する。(担当府省:文部科学省
〇学校におけるHIVエイズ性感染症に関する教育の推進
・学校においては、児童生徒が発達段階に応じた正しい知識を身につけ、適切な行動が取れるようにするため、HIVエイズ教育を推進するとともに、性感染症についても、その予防方法を含めた教育を推進する。
HIVエイズ及び性感染症について、児童生徒が正しい知識を身に着けることができるように、啓発教材を作成し、平成22年までに全ての中学生・高校生に配布する。(担当府省:文部科学省

イ 薬物乱用対策の推進
〇乱用薬物の供給の遮断と需要の根絶
・関係機関の緊密な連携の下に、薬物密輸・密売組織の壊滅や水際検挙の推進等による薬物の供給の遮断に努めるとともに、末端乱用者の取締りや広報啓発活動等を通じて需要の根絶を図っていく。(担当府省:警察庁厚生労働省


2000年の(第1次)基本計画は部分部分でダウンロードするしかなく、一括で読めるページがありません。これもなんなのでしょうね。

研究を妨害しようとしているんじゃないかと疑ってしまいます。一括で読める他年次の基本計画と比較したい方、どうぞご活用ください。