リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

男女共同参画ビジョン-21世紀の新たな価値の創造-

平成8年=1996年7月 男女共同参画審議会が示したビジョン

男女共同参画局に「抜粋」がありますが、リプロに関する部分等が掲載されていないので、以下、プラスアルファで入力しておきます。とても意欲的なものだったこと、そして四半世紀を過ぎた今、当時の思いのほとんどが果たせていないことがよく分かります。

全文はこちら。非常に拡張高い文章でつづられています。審議会の会長は縫田峰子さんでした。

はじめに
〇 男女共同参画は、人権尊重の理念を社会に深く根付かせ、真の男女平等の達成を目指すもの
〇 21世紀の到来まで4年余りとなった今日、男女共同参画社会の実現は緊急かつ重要な課題
〇 男女共同参画社会の実現に最大限の努力を傾注しなければ、我が国社会が目下迫られている歴史的な変革をなし遂げることは極めて困難
〇今世紀に残されたわずかな期間と来世紀初頭における取組が、男女共同参画社会への流れを確実なものとして定着させ、来るべき21世紀が真の平等を基礎として男女の新しい関係に飛躍する時代となることを念願



第1部 男女共同参画社会への展望
1 男女共同参画社会の基本的な考え方
(1) 男女共同参画社会とは

 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会
(中略)
第2部 男女共同参画社会への取組
(中略)
4 性別にとらわれずに生きる権利を推進・擁護する取組の強化(中略)
(3) リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の確立
〇 女性の健康をめぐる現行の関連法令・制度について、リプロダクティブ・ヘルスを保障するための法的整備を含めた総合的検討 女性の生涯を通じた健康づくりのための環境整備
〇 母性の重要性等に対する社会の認識の浸透 周産期医療サービスの充実等母子保健対策の充実
〇 HIVエイズ等女性の健康をおびやかす問題に関する認識の普及・信藤・対策の充実
〇 リプロダクティブ・ヘルス/ライツの定着・促進 女性の性的自己決定が尊重される教育・学習機会、広報・啓発の充実

(4) 男女平等を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
〇 子どもが性別にとらわれずに個性を伸ばすことのできるしつけ、教育態度 家庭教育に関する学習機会の充実、父親の家庭教育への参加支援など男性の家庭参加の促進
(中略)
〇 女性学・ジェンダー研究の振興 あらゆる学問分野の教育・研究へのジェンダーに敏感な視点の組み込みへの配慮 研究成果の社会教育などの場での活用
(中略)

5 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献
(1) 国際規範・基準の国内への採り入れ・浸透

〇 女子差別撤廃条約の積極的遵守・対応、国内への浸透 同条約の選択議定書の作成に向けた国際的な取組の動向への配慮
(後略)

なぜ、男女共同参画局の「抜粋」では、最も重要だと思われる基本的な理念の部分が省略されているのか。非常に疑問に思う。

なお、これを受けて作られた2000年プランは以下の通り。
男女共同参画2000年プラン
男女共同参画社会の形成の促進に関する平成12年
(西暦2000年)度までの国内行動計画-
平成8年(1996年)12月
総理府 男女共同参画推進本部