リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

GGI 120位の意味

ジェンダー・ギャップ指数1つ上がった? 無意味でしょ……

日本のGGIが去年は前年より10ポイントも下がったことで注目されたが、今年は156か国中120位で1つ上がったことで少し注目度が減っている気がする。

しかし、そもそも「先進国」と言われる国がこんなに低いランキングでうろうろしていること自体が異常なことだ。

アフリカでも最も貧しい地域とされる「サブサハラ」の国々35か国中25か国が日本よりもランキングが高い。

東アジアとパシフィック20カ国中日本は18位で、日本より下なのはパプアニューギニアとバヌアツのみである。

以下のサイトによると、パプアニューギニアは、女性にとって世界で最も危険な場所のひとつと言われており、女性は二級市民として扱われ、人権や医療などのサービスをほとんど受けることができない。レイプ、性的暴行、家庭内暴力が日常的に行われており、夫や親戚の男性に生活を左右されているという。
Barriers to healthcare for female patients in Papua New Guinea | BMJ Case Reports

以下のサイトによると、バヌアツは伝統的に男性支配が強く、家父長制の社会である。国会やその他の意思決定機関における女性の代表率は極めて低い。女性の経済的エンパワーメントや女性のビジネスに対する政府の支援は限られており、男女平等を確保するためには、一般的な法的枠組みの改革が必要とされている。

https://elibrary.worldbank.org/doi/abs/10.1596/978-0-8213-7909-7


一方、サブサハラ諸国として初めてナミビア(6位)とルワンダ(7位)がトップ10に入った。

ナミビアは、政府のジェンダー平等施策によって女性の地位は大幅に改善された国である。1990年に制定された憲法では、女性の法の下での平等な保護を保証し、男女差別を禁止した。2000年に婚姻中のレイプは違法化された。過去10年以内に、ナミビアでは議会における女性の代表権を求める動きが活発化した。現ナミビア首相で、初の女性首相でもあるサラ・クーゴンゲルワは、2014年、南西アフリカ人民組織は、男性の首相が女性の副大臣を持ち、その逆もまた然りという「ゼブラ」システムに加えて、議会の議席の半分を女性で埋めることを約束する政策を導入した。ナミビアの女性の収入は男性の82.1%で、世界でも最も男女ギャップの少ない国の一つとなった。日本とのポイント差は0.153である。過去15年間に0.011ポイントしか改善できなかった日本にとって、この差はとんでもなく大きい。
Women in Namibia - Wikipedia
Global Gender Gap Report 2021 | 世界経済フォーラム

7位のルワンダは、1994年の民族対立による大虐殺で何十万人もが亡くなり、数多くの女性や少女が性暴力の犠牲になったという凄惨な過去をもつ国で、大虐殺が終わった時、生き延びた人口のうち7割が女性だったと言われる。元々は家父長制の強い国だったが、女性が政治を動かすようになって、ルワンダ政府は、2003年にルワンダ憲法第9条を制定し、男女同権を保証し、"意思決定機関において少なくとも30%のポストを女性に与える "ことを義務づけて、男女共同参画を法的枠組みとして確立したという。
Equal Rights for Women: Lessons from Rwanda | Women's eNews

なお、去年日本の1つ上の120位だったアラブ首長国連邦は、48もランキングを上げて今年は72位。女性議員が22%から50%に増えたことが大きいようだ。一方、日本の1つ下(122位)だったクウェートは21もランキングを下げて143位。こちらは逆に女性議員比率が4.3%から1.5%に、女性大臣の比率が13.3%から6.7%に落ちている。

ほんの少しの政策の差や選挙の結果がランキングの上下に現れる。日本も明日は我が身かもしれない。