リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

WHOが推奨している最新の中絶方法

新たなエビデンスの積み重ね どれが最新情報?

WHOが妊娠9週まで(9週未満)の自宅での自己管理による薬の内服による中絶を推奨していたというのは、2014年にWHOが発行しているClinical practice handbook for safe abortion(安全な中絶のための臨床診療ハンドブック)に基づいています。このハンドブックによれば、妊娠12週まで(一説によれば妊娠14週まで)の妊娠初期の中絶を安全に行えるのは、内服薬による中絶もしくは真空吸引法とされています。https://www.who.int/reproductivehealth/publications/unsafe_abortion/clinical-practice-safe-abortion/en/

しかし、WHOは2018年に、薬による中絶のみのガイドラインMedical management of abortion(中絶の内科的管理)を発行しています。https://www.who.int/reproductivehealth/publications/medical-management-abortion/en/
より新しいこのガイドラインでは、「妊娠12週未満であれば医療従事者の直接的な監視下でなくても安全に(中絶薬を用いた)自己管理中絶を行える」としています。(p.34, P.40)エビデンスが更新されたというわけです。

さらにこんなのもあります。
WHO recommendations on self-care interventions: self-management of medical abortion(2020 )
WHO recommendations on self-care interventions: self-management of medical abortion
これが中絶薬の自己管理に関する最新情報ですね。

現在、WHOでは『安全な中絶 第3版』という総合的なマニュアルが編纂されており、来年には公刊されるのではないかと言われています。中絶薬については、さらに情報がアップデートされている可能性が大です。