リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本の中絶状況と最近の出来事など

忘備録

1948年 優生保護法が制定される 当初は複数人から成る「委員会」の承認を得ないと合法的中絶を行えなかった
*日本の医師たちは当初よりD&Cを主に用いていたと推測される。中期中絶は様々な方法を試していたようだ。
1949年 優生保護法に「経済条項」が追加される
1952年 優生保護法改正により「指定医師」1人の判断で中絶を行えるようになり、以後、約10年間ほど、毎年中絶件数が100万件を超えた。(この頃より、助産師がコンドームによる避妊の普及に尽力し、中絶は減り始める)
1970年代 日本人医師で独自の吸引法を開発し、一部の医師が使うようになった。
1980年代 日本の製薬会社が独自に開発したプロスタグランジンを中期中絶でもっぱら使うようになった
2010年 Kumiと仲間の研究者が日本で初めて中絶方法に関する調査を実施。8割の中絶医がD&Cを使用していることが判明。(D&C alone3割、D&C with VA5割)
2012年 私たちの調査結果に対抗して、医会の医師たちが調査を実施。ほぼ同様の結果が出たが、「D&Cを多用していても日本の中絶は安全」と結論。(Sekiguchi et al., 2014)
2021年3月 KumiがSekiguchiらの結論に反論する論文を発表。
2021年4月~ Linepharma社が日本で治験を実施していることがニュースになる。https://okumi.hatenadiary.com/entry/2021/04/30/000000_1
その後、私たちはオンラインイベントや雑誌投稿、政治家等へのロビーイングなどを開始し、日本の中絶方法の問題などを広める活動を精力的に実施した。
2021年5月~ 国会で野党の女性議員7名が次々と「中絶薬」や日本の中絶法の問題を質問し、厚労副大臣が「5月半ばに医会、学会のトップと会談し、中絶方法の見直しを依頼した」ことを答弁。
2021年6月初旬 中絶への配偶者同意要件廃止を求める署名活動開始
2021年6月22日 厚労省担当者との会見
2021年7月2日 厚生労働省子ども家庭局母子保健課長から医会と学会に対して、「人工妊娠中絶等手術の安全性等について(依頼)」を出した。(Translation: Request on July 2)
「D&Cをやめて吸引に置き換えるべき」との内容だが、添付されているWHOの『Safe Abortion 2nd edition』の抜粋部分が、D&Cも容認するように読める問題がある。