リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

未承認薬と適応外薬

製薬協 くすりの情報Q&A Q52.製薬産業は「未承認薬(みしょうにんやく)」に、どのように取り組んでいますか。

www.jpma.or.jp

数年前、新婚だった友人から「妻が流産した。不全流産で、医師から搔爬すると言われた」との相談があった。その時には、搔爬に対して戸惑いを見せた夫妻に対し、医師の側から「じゃあ、待機して様子を見ましょう」と言ってくれ、ほどなく自然流産完了。数か月後に再び妊娠し、今度は無事出産に至った。


最近、流産後に出血が続いていたので、念のために受診したら、即日「搔爬」された人の話を聞いた。収縮剤を使って様子をみれないかと尋ねたら、医師は誰の入れ知恵かと激怒し、コロナの今、自宅で大出血して救急車を呼んでも診てくれるところはないぞと脅されて、泣く泣く手術を受けたが納得できないと。


海外では、ミソプロストール(日本では潰瘍治療薬サイトテックとして知られる薬)を「流産の後処置」に使うのは、十分に安全性と確実性が確かめられている標準的な治療法。値段も1個わずか数十円。

なのに、日本では「適応外使用」で使えないため、流産の後処置は待機か手術するしかありません。



国内で承認されていないのが未承認薬。日本で医薬品として承認され使用されているくすりでも、海外で認められている使い方(適応症)が国内で承認されていない場合には、「未承認適応(適応外使用)薬」ということになります。

これについては、次のページが参考になります。
製薬産業は「未承認薬(みしょうにんやく)」に、どのように取り組んでいますか。 | くすりの情報Q&A | 日本製薬工業協会


未承認薬や適応外薬を使用してしまうと、治療全体に対して保険がきかなくなるのだそうです。そのためにせっかく国内に、流産の後処置に効果のある安くて良い薬があるのに、それをみすみす使えず、手術するしかないことになってしまう。リプロの領域では、あちこちで女性の健康が第一に考えられていない。


しかも、未承認薬や適応外薬を使用できるようにするためには、製薬会社からの申請が必要なのだそうです。ミソプロストールのような安い薬は利益にならないので、製薬会社はなかなか動きそうにありません。

行政主導で働きかけるよう、消費者が声をあげていくしかないのかなと思います。