リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

規約人権委員会の一般的意見28 両性の平等(第3条)

国連自由権規約(CCPR)第3条とそれに関する一般勧告(一般的意見)28

自由権規約第3条 この規約の締約国は、この規約に定めるすべての市民的及び政治的権利の享有について男女に同等の権利を確保することを約束する。

規約人権委員会の一般的意見28 両性の平等(第3条)
Equality of rights between men and women (article3):.29/03/2000.
CCPR/C/21/Rev.10,CCPR General comment 28.(General Comments)

1 委員会はここ20年以上に及ぶ活動のなかで蓄積された経験にかんがみて、一般的意見4(1981 年第13会期)に替えて第3条に関する一般的意見を更新することを決定した。この見直しは、規約の下で保護された人権を女性が享有することに関して、この規定が重大な効果を持つことを考慮するよう求めるものである。


2 第3条は全ての人間は規約に規定された権利を平等且つ完全に享有すべきであることを認めている。 何人も完全且つ平等な権利の享有を否定される場合には、いかなる場合でも、この規定の趣旨が全く損なわれてしまうことになる。従って、締約国は規約に規定された全ての権利を男性と女性が平等に享有することを確保すべきである。


3 規約第2条及び第3条に規定された、規約で認められた権利を全ての個人に確保する義務によって、政府は、全ての人がこれらの権利を享有することを可能にするあらゆる必要な措置をとることを求められる。これらの措置はこの規約において述べられた約束を実行するために、各権利の平等な享有に対する障害の除去、国民及び人権にかかわる締約国職員に対する教育および国内立法の適合を含む。
 締約国は、保護措置ばかりか、女性が実効的で平等なエンパワーメントを達成するために、あらゆる領域において建設的な措置を取らなければならない。
 締約国は社会で女性が現実に担っている役割に関連する情報を提供しなければならない。
 そうすることによって、委員会はこれらの義務を実行するために立法的な規定に加えてどのような手段が取られたか、あるいは取られるべきか、どのような進歩がなされたか、どのような困難に阻まれているのか、それを克服するためにどのような方策が取られているのかを確かめることができる。


4 締約国はいかなる差別もなしに権利を平等に享有することを確保する責任がある。第2条及び第3条は、権利の平等な享有を損なう公的部門及び私的部門の両方において差別的な行動を終わらせるために、締約国が性による差別を禁止することを含め、あらゆる必要な措置を取ることを命じている。


5 世界中で女性による権利の享有における不平等は、宗教的態度も含めて伝統的、歴史的及び文化的に深く根付いている。幾つかの国において女性の従属的な役割は胎児期の性による選別と女胎児の中絶の高発生率に示されている。 締約国は、伝統的、歴史的、宗教的及び文化的態度を、法の前の平等及び規約上の全ての権利の平等な享有に対する女性の権利の侵害を正当化するための理由としてはならないことを確保すべきである。 締約国は第3条の約束を危険に陥れ、あるいは危険に陥れるかもしれない伝統的、歴史的及び文化的な慣行ならびに宗教的な態度の局面について適切な情報を提供し、又締約国がそれらの要素を克服するために如何なる措置を取ったか、あるいは取ろうとするのかを示すべきである。


6 締約国は、第3条で示された義務を果たすために、規約に明示されたそれぞれの権利を男女が平等に享有することを阻む要因を考慮すべきである。委員会がそれぞれの締約国における規約上の権利の実施に関して、女性の置かれた状況を把握できるようにするために、この一般的意見は、この規約上の権利を女性が平等に享有することに影響を及ぼす幾つかの要因を明らかにし、これらの様々な権利に関して要求される情報の類型を詳しく説明する。


7 女性による人権の平等な享有は緊急事態の最中においても保護されなければならない(第4条)。公の緊急事態において規約上の義務を制限する措置を取った締約国は、第4条において規定されたように、そのような措置が女性の置かれた状況に及ぼす影響に関して委員会に情報を提供すべきであり、そのような措置が差別的でないことを説明すべきである。


8 女性は国際的、国内的武力紛争の機会には特に被害を受けやすい。締約国は委員会に対して、武力紛争下に強姦、誘拐、その他のジェンダーを基礎にした暴力から女性を保護した全ての措置を報告すべきである。


9 条約の締結国になると、締約国は、条約第3条に従って規約に示された全ての市民的及び政治的権利の享有に対する男女の平等な権利を確保する義務を負う。又締約国は第5条に従って、規約上の全ての文言を、いずれの国家、集団及び個人が第 3 条に規定された権利を破壊することを目論んだり、規約にある制限を越えて制限することを目論む活動に従事し、又はその活動を実行する権利を意味するものと解釈してはならない。さらに、規約はそのような権利を認めていない、あるいはその権利が認める範囲がより狭いことを理由として、法律、条約、規則または慣習によって認められ又は存在する全ての基本的人権を女性が平等に享有することを制限し又は侵してはならない。


10 締約国は、規約第6条の生命に関する権利について報告をする場合には、出生統計及び妊産婦の死亡統計を提供すべきである。幼児の死亡率について男女別の資料を提供すべきである。
 締約国は女性が望まない妊娠を避けるために役立つ、あるいは女性の生命を脅かす闇中絶に及ばないことを確保するために締約国が取った全ての措置に関する情報を提供すべきである。締約国は又、嬰女児殺、未亡人の焼却及びダウリー殺人のような生命に関する権利を侵害する行為から女性を保護するための措置を報告すべきである。委員会は又、女性の生命を脅かす貧困や剥奪が女性に与える特有な影響に関する情報を入手したい。


11 委員会は、子どもに特別な保護を与える規約第24条と同様に第7条に従っているかを評価するために、女性に対する強姦を含む、夫婦間及びその他の形態の暴力に関して国内の法律及び慣行について情報を得る必要がある。委員会は又、締約国が強姦された結果妊娠した女性に安全な中絶をする手段があるかどうかを知る必要がある。締約国は又、委員会に対して強制的な中絶及び不妊を避けるための措置に関して情報を提供すべきである。性器切除の慣行が存在する締約国においては、その広がり及び撤廃のための措置についての情報を提供しなければならない。
 締約国から提供された全てのこれらの問題に関する情報には、第7条のもとで認められた権利が侵害されている女性のための法的救済措置を含む保護措置を含めるべきである。

12 第8条の締約国の義務に照らして、締約国は国内及び国境にまたがる女性及び子どもの人身売買及び強制売春を撤廃するために取られた措置について報告すべきである。締約国は同様に委員会に対して、奴隷状態やなかでもお手伝いその他の種類の雇い人を装った苦役から外国人女性を含む女性と子どもを保護するために取った措置についての情報をも提供しなければならない。
 女性と子どもを募集し、連れ出す締約国及び受け入締約国は、女性及び子どもの権利の侵害を避けるために取られた国内的及び国際的措置に関する情報を提供しなければならない。


13 締約国は女性が人前で纏う衣服に関する特有な規定に関する情報を提供すべきである。委員会は、そのような規定が、例えば、第26条については、差別がないことについて、第7条については、そのような規定を強制するために体罰が課せられるならば、第9条については、その規定に従わないと逮捕されて処罰される場合、第12条については、もし移動の自由がそのような拘束の下に置かれるならば、第17条は恣意的又は非合法的な干渉なしに全ての人にプライバシーに関する権利を保障するものである、第18条及び19条は女性が宗教や自己表現を保持するためにではない衣服についての必要条件に従わなければならない場合には、そして最後に第27条について、衣服の規制が女性が主張することができる文化と衝突する場合には、規約に保障された多くの権利を侵害することになるかもしれないことを強調する。


14 第9条に関して、締約国は、女性を家に閉じ込めるような恣意的非合法的な根拠によって女性から自由を奪うかもしれない法律や慣行に関する情報を提供しなければならない(一般的意見8の1項参照)。


15 第 7 条及び第10条に関して、締約国は、自由を奪われた人の権利が女性と男性と同じ条件で保護されることを確保することに関連した全ての情報を提供すべきである。特に、締約国は、監獄において女性と男性が別々に収監されているかどうか、女性は女性の看守によってのみ警護されているどうかについて報告すべきである。締約国は罪を問われた少女が大人と別になっている規則に従っていることについて、また自由を奪われた女性と男性間で、例えば社会復帰や教育プログラム及び夫婦や家族の訪問手段などについて処遇上の相違を報告すべきである。自由を奪われた妊娠中の女性は子どもの誕生を取り巻く状況において、又新生児の養育期間中は何時でも人道的な取扱いを受け、固有の尊厳を尊重されるべきである。 即ち、締約国はこの様な取扱及び尊厳を尊重することを確保するための施設及び女性とその子どものための医療と健康に関して報告すべきである。


16 第12条に関して、締約国は、移動に関する自由に対する女性の権利を制限する法律規定及び慣行に関する情報を提供すべきである。それは例えば、妻に対する婚姻上の権限の行使及び成人した娘に対する親権の行使や、成人女性に対する旅券及びその他の形式の旅行用書類の発給に関して、第三者の同意を要件として女性が旅行できないようにする法律的ならびに現実に存する資格要件のようなものである。締約国は又、その様な法律や慣行を撤廃し、あるいはその様な法律や慣行に対して女性を保護するために取られた措置を、利用できる国内的救済措置に言及することを含めて報告すべきである(一般的意見27の6及び18項参照)。


17 締約国は第13条に規定されたように、外国人女性が、自分が追放されることに反対する理由を提出すること及び彼女らの事件を再審査させる権利を平等な基準で許容されることを確保するべきである。この点に関して、規約の侵害を女性が上記10項及び11項で指摘したようなジェンダーに特有な理由を根拠として提出することができる権利を与えられるべきである。


18 締約国は、委員会が第14条に規定する裁判所へのアクセスや公正な審理を受ける権利を女性が男性と同じ立場で享有できるかどうかを確かめることができる情報を提供すべきである。
 特に締約国は、女性が直接且つ自発的に裁判所にアクセスすることを妨げる法律的規定があるかどうか(1986年202号 Ato de Avellanal aid 対ペルー事件(1988年11月28日見解)、報告すべきである。 即ちそれは、女性が男性と平等な立場で証人として証言できるかどうか、特に家族問題について女性が平等に法的扶助へアクセスできることを確保するための措置がとられているかどうかについてである。
 締約国は、ある範疇の女性が第14条2項の下で無罪の推定を受ける権利を否定されているかどうか、又そのような状況を終わらせるために取られた措置について報告をすべきである19 第16条の下で、何人も法の前の人としてどこででも認められる権利は特に女性に関連がある。 女性はしばしば性や婚姻上の地位を理由に権利を剥奪されることがある。この権利は財産を所有し、契約を締結し、その他の権利を行使するための女性の権能が婚姻上の地位やその他の差別的な理由で制限されないことを含む。 この規定は女性が亡夫の遺産とともに夫の家族に与えられる物として扱われないことを意味している。締約国は、女性が法律上人間として完全に取扱われたり、機能したりすることを妨げる法律及び慣行ならびにそのような取り扱いを許す法律や慣行を撤廃するために取られた措置に関する情報を提供しなければならない。


20 締約国は、女性が男性と平等の立場で第17条に保護された女性のプライバシーやその他の権利を享有する女性の権利を妨害するかもしれない法律や慣行の影響を委員会が評価することを可能にする情報を提供しなければならない。
 そのような妨害の一例は強姦からの保護を含めて、女性の性生活が女性の法律的な権利や保護の範囲を決定する際考慮されるところに発生する。 締約国が女性の生殖機能に関連するプライバシーを尊重することに欠けるかもしれない他の領域は、例えば不妊に関する決定権限が夫にあるところや、一定の子ども数や年齢制限のある一般的な要件が女性の不妊に課せられるところ、又は締約国が中絶をした女性の医師や保健関係の職員に法的義務を課して事例報告をさせるところである。このような場合には、規約上の他の権利、例えば第6条や7条のような権利が危険に瀕してしまうかもしれない。 女性のプライバシーは女性を採用する前に妊娠テストを要求するような雇主のごとき私人によって侵害されるかもしれない。 締約国は第17条の下で認められた権利を女性が平等に享有することを妨げる法律や、公的又は私的な行動について報告すべきである。 そしてそのような妨害をなくし、妨害から女性を守ることができる措置について報告すべきである。


21 締約国は、思想、良心及び宗教ならびに個人が宗教や信念を選択する自由が、それは宗教的信念を変更する自由や宗教及び信念を表現する自由を含むものであるが…女性と男性の両方に、対等な立場で差別なしに法律や慣行によって保障され、保護されることを確保する措置を取らなければならない。 第18条により保護されたこれらの自由は規約によって認められる以上の制限にからしめてはならない。そして、これらの自由は、なかでも、第三者からの許可を要求する規則によったり、父親、夫、兄弟その他の者による干渉によって制限されてはならない。 第18条により、思想、良心及び宗教の自由を引用して女性に対する差別を正当化する根拠としてはならない。 締約国はそれ故、女性の思想、良心及び宗教の自由に関連する女性の地位に関する情報を提供しなければならない。 女性に関してこれらの自由の侵害を撤廃し、回避するために、また如何なる差別からも女性の権利を保護するためにどのような施策が取られたか、あるいは取ろうとしているのか、その両方を指摘しなければならない。


22 第 19 条に関連して、締約国は委員会に対して、女性が対等な立場でこの規定の下で保護される権利を行使することを妨げるかもしれない法律や他の要因について知らせるべきである。女性や少女を暴力の対象として、または品位を傷つける取扱いや、非人道的な取扱いの対象として描く淫らなそしてポルノグラフィー的代物を出版し、流布することは女性や子どもに対するこの種の扱いを助長するおそれがあるので、締約国はこのような物の出版や流布を制限する法律的措置に関する情報を提供しなければならない。


23 締約国は男性と女性が第23条に従って結婚に関して平等に取り扱われることを要請される。 そしてこの規定は1990年に出された一般的意見19にさらに詳細に説明されている。男性と女性は自由且つ完全な合意によってのみ結婚する権利を有する。そして締約国は対等な立場でこの権利を享有することを保護する義務がある。多くの要因によって女性が自由に結婚を決定することができないように妨げられるかもしれない。そのような要素の一つは、最低婚姻年齢である。婚姻年齢は男性と女性が平等な範疇で国家によって設定されなければならない。このような基準は、女性がインフォームドされた上、不当な介入なしに意思決定する女性の能力を確保することができるようにするものである。ある国においては第二の要因として、法律や慣習法によって、通常は男性である後見人が女性自身の代わりに結婚の承諾をすることであるかもしれない。それによって女性は自由な選択を阻まれることになる。


24 自由完全な合意がなされた場合にのみ女性が結婚する権利に影響を及ぼすかもしれないもう一つの困難な要因は、女性の強姦被害者を窮地に追いやって、プレッシャーをかけて結婚に同意させる社会的風潮の存在である。女性の結婚に対する自由且完全な合意は、強姦者が被害者と結婚した場合には、刑事責任を消滅させ、又は減刑されることを許す法律によっても又基礎を危うくされる。締約国は、特に強姦被害者が社会から窮地に追いやられることを耐えなければならない社会では、被害者との結婚が刑事責任を消滅乃至減刑するかどうか、被害者が未成年者の場合に強姦は婚姻年齢を下げるかどうか、指摘すべきである。結婚の権利の別の側面は、女性は男性と比較すると再婚について国家が制限を課す場合に影響を受けるおそれがある。配偶者を選ぶ権利はまた、特定の宗教を持つ女性が無宗教又は別の宗教であると表明している男性と結婚することを妨げる法律や慣行によって規制されるおそれがある。締約国は、女性が自由且完全な合意がある場合のみ結婚する権利の基礎を危うくする法律や慣行及び、そのような法律を廃止し又は慣行を根絶するために取った措置について情報を提供すべきである。結婚する権利に関する平等の取扱いの理念は、一夫多妻制と両立しないことを意味することを留意すべきである。一夫多妻制は女性の尊厳を侵害する。一夫多妻制は女性に対する許されない差別である。 従って、一夫多妻制が存在するところはどこででも、明確に廃止されるべきである。


25 第23条4項の義務を果たすために、締約国は婚姻制度が配偶者双方に、子どもの親権及び養育、子どもに対する宗教及び道徳教育、子どもに両親の国籍を伝える権能、及び財産の所有及び管理、共有財産又は配偶者の何れかの単独所有かどうかに関して、平等の権利と義務を含むことを確保しなければならない。 締約国は、結婚した女性がそのような財産の所有及び管理に関して平等な権利を有することを確保するために、必要な場合には、法律を見直すべきである。 また、結婚を理由とする国籍の取得及び喪失、居住権及び夫妻の婚姻前の氏の使用を保持し、又新しい氏を選択する場合に対等の立場で決定する配偶者各自の権利に関して性別の違いに基づく差別が起きないことを確実にしなければならない。婚姻中の平等は、夫と妻が家族の中で対等に責任と権能に預かることを意味する。


26 締約国は、婚姻解消に関して平等を確保しなければならない。そしてそれは履行拒否の可能性を除外する。 離婚及び婚姻の無効取消しの原因は、財産分与、離婚後扶養及び子どもの親権に関する決定と同様に、男性と女性に同一であるべきである。子どもと親権を持たない親との間の交渉を保持する必要性は、平等な観点に立って考慮されなければならない。 配偶者の一方が死亡した場合の婚姻解消においては、女性は男性が持っているのと同じ平等な相続権を持つべきである。


27 第23条の文脈において、家族であると承認することに影響を及ぼすのであるが、多様な家族概念を受容することは重要である。そして家族の概念には、未婚の夫婦(unmarried couples)、その子どもたち、又はその子どもたちと片親の家族を含むものであり、一般的意見19の2項の最後の文章に指摘したように、この様な概念において女性の平等な扱いを確保することは重要である。単身家族は、一人あるいはそれ以上の数の子どもを養育している単身女性で構成されていることが常態となっている。 従って締約国は、女性の親としての役割から似たような境遇にある男性と平等な立場で、その女性を解放することができる如何なる援助措置があるか記述すべきである。


28 子どもを保護するための締約国の義務(第24条)は、少年と少女のために平等に実行されるべきである。締約国は、教育、給食及び健康管理において、少女が少年に対して平等に扱われることを確保するために取られた効果的で建設的な措置について報告すべきである。そして委員会に対してこの点について男女別の資料を提供すべきである。締約国は、法律の制定その他の適切な措置により、女の子どもの自由と福祉を危険に瀕しめる全ての文化的又は宗教的慣行を根絶すべきである。


29 公務に参画する権利は、何処ででも平等の立場で完全に実施されているわけではない。締約国は、第25条の権利を法律が女性に男性と同じ条件で保障されることを確保しなければならない。そして、女性が公務に参画することを促進し、確保するための適切な暫定的積極的是正策を含む効果的で建設的な措置を取らなければならない。締約国による選挙権を持つ全ての人がその権利を行使できることを確保するために取られた効果的な措置は、性を理由とする差別的なものであるべきではない。委員会は締約国に公務員の管理職ならびに司法におけると同様に議会を含む公選の職にあるものの女性の百分比について統計的情報を提供することを要請する。


30 女性に対する差別はしばしば、人種、皮膚の色、言語、宗教、政治的又はその他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、出生又はその他の地位等を理由とする差別と混ざり合っている。 締約国はその他の理由による差別の実例が特殊な仕方で女性に影響を及ぼす仕方について記述し、これらの影響に反撃するために取られた措置に関する情報を含めるべきである。


31 第26条により保護されている法の下の平等に対する権利及び差別されない自由は、締約国があらゆる分野における公私の機関による差別に対して行動することを要請する。ある国における市民権あるいは市民でない者の権利の領域-035/1978号 Aumeeruddy-Cziffra et al 対モーリシャス事件(1981年4月採択見解)―におけると同様に、社会保障法のような領域―172/84号 Broeks 対オランダ事件(1987年4月 9 日見解;182/84号 Zwaan de Vries 対オランダ事件(1987年4月 9 日見解);218/1986号 Vos対オランダ事件(1989年3月29日見解)-における女性に対する差別は第26条に違反する。処罰されないままである所謂「名誉犯罪」(honor crimes)と呼ばれる犯罪の遂行は規約の重大な違反であり、特に第6条、第16条、及び第26条違反である。また不貞又はその他の罪を犯したために男性に対してよりも女性に対してより重い刑罰を課する法律は平等取扱いの要請に違反する。委員会は、政府報告書を審査した際に、大部分の女性は労働法によって保護されることのない領域に雇われていること、広く行き渡っている習慣や伝統が、特に高給を得る雇用の機会や同一価値労働に対する同一賃金の支払に関して女性を差別しているとの所見をしばしば述べてきた。締約国は先頭に立って、自国の法律制度及び慣行を見直すべきであり女性に対する全ての領域における、例えば雇用、教育、政治活動及び住宅、物資及びサービスの供給等の領域において、私人による差別を禁止することによる等、差別を撤廃するために必要なあらゆる措置を実施するべきである。締約国はこれらの全ての措置について報告すべきであり、このような差別の被害者が利用できる救済措置についての情報を提供すべきである。


32 少数者に属する人が言語、文化及び宗教に関して規約第27条の下で享有できる権利は、国家や集団及び個人が法律による平等な保護に対する権利を含めて、規約上の権利を女性が平等に享有する権利を侵害することを認めるものではない。
 締約国は少数者の共同社会に置ける会員資格に関連して、規約の下で女性の平等権を侵害することになるかもしれない法律制度や行政的慣行について―24/1977 Lovelace 対カナダ事件(1981年6月採択見解)―報告すべきである。そして規約上の全ての市民的政治的権利を享有するための男性と女性の平等な権利を確保するために取られた、又はそれを企図した措置について報告すべきである。さらに、締約国は、女性の権利に影響を及ぼす少数者の共同社会内における文化的又は宗教的慣行に関連して締約国の責任を果たすために取った措置について報告すべきである。 締約国が報告する際には、締約国は少数者の共同社会の文化的生活に対して女性が行った貢献に注意を払うべきである。

2000年3月29日開催1834会合(68会期)にて採択

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/HRC_GC_28j.pdf:title日弁連訳