リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

異所性妊娠、子宮外妊娠 ectopic pregnancy (PubMedで見つけた論文)

自宅中絶は危険? 従来の中絶よりはるかに子宮外妊娠は少ないというエビデンスが!

Am Fam Physician. 2020 May 15;101(10):599-606.
Ectopic Pregnancy: Diagnosis and Management(子宮外妊娠:診断と管理)
Erin Hendriks 1, Rachel Rosenberg 2, Linda Prine 2

 子宮外妊娠とは、受精卵が子宮腔外に着床することである。米国では、子宮外妊娠の推定有病率は1~2%であり、子宮外妊娠の破裂は妊娠関連死の2.7%を占めている。危険因子としては、骨盤内炎症性疾患の既往、喫煙、卵管手術、過去の子宮外妊娠、不妊症などが挙げられる。妊娠初期に膣からの出血や下腹部の痛みを訴え、子宮内での妊娠が確定していない患者には、子宮外妊娠を考慮する必要がある。子宮外妊娠の確定診断は、子宮の付属器(卵巣と卵管)に卵黄嚢や胚があるのを超音波で確認することで行える。しかし、ほとんどの子宮外妊娠はこの段階に達していない。多くの場合、患者の症状と連続した超音波検査、およびβヒト絨毛性ゴナドトロピン濃度の推移を組み合わせて診断を行う。部位不明妊娠とは、妊娠検査薬が陽性であるにもかかわらず、超音波検査で子宮内妊娠でも子宮外妊娠でもない一過性の状態を指す。確定診断を下すためには、連続したβヒト絨毛性ゴナドトロピン値、連続した超音波検査、および場合によっては吸引術が用いられる。診断された子宮外妊娠の治療には、メトトレキサートの筋肉内投与による内科的治療、卵管切開術または卵管切除術による外科的治療、そしてまれに待機治療が行われる。子宮外妊娠と診断された患者は、腹膜徴候や血行動態が不安定な場合、初期のβヒト絨毛性ゴナドトロピン値が高い場合、超音波検査で子宮外に胎児の心活動が検出された場合、または内科的管理が禁忌の場合には、直ちに手術に移行すべきである。

BJOG. 2021 Aug;128(9):1464-1474. doi: 10.1111/1471-0528.16668. Epub 2021 Mar 24.
Effectiveness, safety and acceptability of no-test medical abortion (termination of pregnancy) provided via telemedicine: a national cohort study(遠隔医療を介して提供される事前の妊娠確定検査を行わない薬による中絶(妊娠終了)の効果、安全性、許容性:全国コホート研究)
Ara Aiken 1, P A Lohr 2, J Lord 3, N Ghosh 4, J Starling 5

概要
目的 遠隔医療による超音波検査を伴わない薬による中絶(妊娠終了)の実施前と実施後の転帰を比較すること。
デザイン :コホート解析。
設定 :主な中絶提供事業者3か所
母集団またはサンプル:2つのコホートにおける妊娠69日以下の自宅での薬による中絶
2020年1月から3月までの伝統的モデル(超音波検査を伴う対面式、n = 22,158)と、2020年4月から6月までの遠隔医療ハイブリッドモデル(超音波検査を伴わない対面式または遠隔医療によるもの、n = 29,984、うち18 435は無試験遠隔医療)。このサンプル(n=52,142)は、全国で行われている薬による中絶の85%を占める。
方法:電子記録とインシデント(事故)データベースのデータを用いて、ベースラインの差を調整してコホート間のアウトカムを比較した。
主な結果指標: 治療の成功、重篤な有害事象、待ち時間、治療時の妊娠、受容性。

結果: 遠隔医療ハイブリッドモデルの方が、紹介から治療までの平均待ち時間は4.2日短く,妊娠6週以下での中絶が多かった(40%対25%,P < 0.001)。治療の成功率(98.8%対98.2%,P>0.999),重篤な有害事象(0.02%対0.04%,P=0.557),子宮外妊娠の発生率(0.2%対0.2%,P=0.796)はモデル間で差がなかった.遠隔医療-ハイブリッドモデルでは、0.04%が中絶時に妊娠10週を超えていたと推定されたが、すべてが自宅で安全に完了した。遠隔医療-ハイブリッドモデルでは、遠隔医療の方が対面診療よりも有効性が高かった(99.2%対98.1%、P < 0.001)。遠隔医療の受容性は高く(96%が満足)、80%が将来的に遠隔医療を希望すると回答した。


結論
 薬による中絶のための遠隔医療ハイブリッドモデルは、無試験の遠隔医療と超音波検査なしの治療を含み、効果的で、安全で、受け入れ可能であり、ケアへのアクセスを改善する。

ディスカッション 主な発見
 妊娠10週までのルーチンの超音波検査を行わない遠隔医療による無試験薬による中絶は、効果的で安全かつ受け入れ可能なサービスモデルであることがわかった。遠隔医療による臨床結果は対面診療と同等であり、中絶診療へのアクセスは良好で、待機時間と中絶時の妊娠週数はともに有意に減少した。妊娠期間は、パンデミック中の行動変容に影響を受け、結果的に妊娠発見のタイミングが早まった可能性があるが、他のほとんどの医療分野ではアクセスに深刻な影響が出ており、待機時間が大幅に増加している[24]ので、待機時間と妊娠週数の減少は重要だと思われる。治療を受けるまでの時間の短縮はわずかであろうとも大きな意味を持つ。NICEは、1日短縮することで、合併症が減り、外科的中絶を選択する必要性が減ることで、イングランドの医療サービスに年間160万ポンドの節約をもたらしたと指摘している[4]。新しい遠隔医療ハイブリッドモデルがアクセスを向上させることを示すさらなる証拠として、英国ではこのモデルが導入された後、正式な医療機関以外で中絶薬を求める女性の割合が大幅に減少したという研究結果がある[25]。その意味するところは、これまで対面での診察を受けられないほど弱い立場にいた人々が、遠隔医療によって治療を受けることができるようになり、規制されたプロバイダーが提供する保護、カウンセリング、避妊サービスの恩恵を受けられる可能性があるということである[26]。
 我々の研究は、薬による中絶が安全で効果的であるというこれまでの文献を裏付けるものである。重大な合併症や失敗の割合が低いという我々の所見は、他の質の高い研究で報告されているものと同様である[27,28]。遠隔治療を受けたグループで観察されたわずかな有効性の増大は、対面治療を受けたグループと比較して平均妊娠週数が短いことを考慮しても、患者が薬を服用する時間をうまくコントロールできたことによるものと考えられる。
 遠隔医療-ハイブリッドモデルでは、診断されなかった子宮外妊娠をしていた人や予測より妊娠週数が進んでいたりした人の割合が非常に低い結果になった。英国および米国の一般人口における子宮外妊娠の割合は1~2%と報告されているが[29,30]、中絶を行った患者間で報告されている割合はその10分の1で[31]、これは我々の発見と一致している。超音波検査は、一般の人々の子宮外妊娠のスクリーニングには使用されず、兆候や症状から必要性が示唆される場合にのみ使用されている[30]。中絶を希望する女性のように子宮外妊娠の有病率が低い場合には偽陽性率が高くなるため、大きなメリットがあるとは思えない[32]。
妊娠継続を希望する女性と早期妊娠中絶を選択する女性との間で、このように異なるケアを行いつづけることに臨床的な正当性はない[33,34]。
 しかし、英国だけでも毎年20万人以上の人々が中絶治療を受けていることを考えると、一部に必然的に無症候性の異所性妊娠が含まれているため、遠隔医療や偽陰性スキャンの後にミフェプリストンとミソプロストールの投与を受けることになる。安全のために重要なことは、薬による中絶治療を開始する前ではなく、害が及び始める前にこの状況を発見することであり、ミフェプリストンとミソプロストールによる治療自体は、隠れている子宮外妊娠に影響を与えることはない。実際、遠隔医療モデルによる治療を受けるまでの時間の短縮は、女性の受診が遅れたり、超音波検査で子宮内妊娠を確認するための時間を確保するために受診を先延ばしにさせられたりする従来の経路よりも、早期発見を促進する可能性がある。超音波検査を行わずに早期の薬による中絶を行うと、例えばミソプロストール後の出血が少ないことに気づいたり、リスクを疑ったりする可能性が高まることで、進行しつつある子宮外妊娠の早期診断につながる可能性もある8,15。
 妊娠週数(LMP)が予想よりも長かったケースの割合は低く、LMPだけで女性が自分の妊娠週数をかなり正確に判断できるという証拠から予想されていた通りであった33。妊娠10週以上のケースで不用意に服薬するケースは避けられないにも関わらずず、我々の調査結果と同様に、ほとんどの場合、医学的に重大な影響を及ぼすことはないと考えられている35。英国政府の遠隔医療の承認では妊娠10週までと制限しているが、この制限は恣意的であり、安全性や有効性のエビデンスに基づいたものではない。スコットランド政府は制限を定めておらず、患者と相談しながら臨床医の判断に委ねている。さらに、妊娠12~24週以上の自己管理による妊娠中絶の成功率も93%と報告されており、安全性は従来の中絶で期待されるものと変わらない36,37。


強みと限界
 本研究は臨床試験ではないが、現実の世界で行われた遠隔医療ハイブリッドサービスと従来の対面サービスの成果を評価できており、主要な共変量も調整することができた。本研究の主な強みは、調査期間中にイングランドウェールズで行われた薬による中絶の85%が本研究のサンプルに含まれていたことから、調査結果を一般化できることである。
 本研究の主な限界は、中絶後の患者を積極的に追跡調査することができなかったことである。深刻な症状に当てはまらない合併症もあるため、NHSに至るルートが複数あるため、さらにNHSと中絶提供の間に非公式なやりとりしか行われていないために、合併症の報告と実態には潜在的なギャップがある。一部の患者が他の医療機関を受診し、重大な有害事象が我々のデータセットに報告されていない可能性はあるものの、NHS内のリスク管理と報告システムは明確に定義されており、重大なインシデントは日常的に共有されている。イングランドのNHSの運営組織は、すべての関係者に対して、遠隔医療に関連するインシデントを報告しなければならないと警告しており、コンプライアンスを確保するために主要な関係機関によるレビューミーティングも行われた。規制当局からは、プロバイダの臨床インシデントプロセスでこれまで記録されていなかった追加事例は確認されていない。さらに重要なことは、どちらのコホートにおいても、報告をしないことでバイアスをもたらすようなことを組織的に行うような理由はない。パンデミックで患者の行動が変わったとしても、24時間体制の電話サービスですぐに助けが得られることを考えれば、問題の生じた患者が医療機関に報告しなかったとは考えにくい。また、NHSの緊急サービス(妊娠初期ユニットなど)へのアクセスが困難になったことで、患者が第一に中絶提供者に相談する可能性は高かったと考えられる。最後に、我々のスコットランドでの調査でもほとんど同様の結果が出ている。スコットランドの調査はより小規模なコホート研究で、すべての患者(n = 663)を追跡し、NHSの病院の記録とも照合している(これによると、薬による中絶が成功したのは98%、輸血を必要とする出血があったのは0%、入院を必要とする感染症は0%、今後も遠隔医療を選ぶと答えた者は71%だった)39。


解釈
 NICEはシステマティックレビューを行い、薬による中絶ケアへのアクセスを改善するために遠隔医療を利用することを推奨した。3 薬による中絶を普及させるために遠隔医療を利用するモデルがいくつか報告されているが、ほとんどの既存の研究は小規模で、その多くは薬の投与、超音波検査、血液検査のために通院する必要があった7,38 我々の研究は、全国レベルで、実際に事前検査なしの遠隔医療による中絶ケアという抜け道を評価した初めてのものである。この新しい全国的モデルは、薬による中絶を容認する枠組みを採用することで、中絶ケアへのアクセスを必要としている人々にいかに大きな質的な改善がもたらされたかを示している。


結論
 内科的中絶薬に関する52,142件もの大規模な本研究によって、事前検査なしの遠隔医療をケアに組み込むことは、すべての患者が対面診察と超音波検査を受ける従来の方法に引けを取らないことを証明している。治療を受けるまでの時間や中絶時の妊娠週数が短縮されるなどの利点があり、患者側からも高い評価を得ている。中絶の失敗率、出血、手術の必要性、子宮外妊娠を発見できなかった場合などについても、従来に比べて結果が悪いという証拠は見られなかった。妊娠10週を超えて中絶が行われたと推察される0.04%のケースでも、医学的な合併症が増えることもなく、すべて自宅で完了した。特に社会的弱者や資源の乏しい医療システム、あるいは患者が自分で治療費を負担しなければならないような場合に、中絶へのアクセスを改善できるという利点も考慮すると、中絶の提供において事前検査なしの遠隔治療を苦情化していくべきだとするエビデンスには説得力がある。

上記の論文の最後に、次に示す「ツイートに使える概要」があった。たぶん英語文字でツイッターの限度内に収まっているのだろう。日本語の方はゆうゆう入りそうだったので情報を少し足してツイートしておいた。

Tweetable abstract: 2020年のコロナ禍の最中に、52,142人の女性を対象にしたイギリスの研究で、事前検査無しの遠隔医療を用いた薬による中絶は、安全で効果的であり、ケアを向上させることが科学的エビデンスと共に示された。


最後は、そもそも薬による中絶を受ける人のうち、子宮外妊娠の可能性のある人はスクリーニングで対象外になっているため、従来よりも子宮外妊娠をしている人の比率は低いことを示した研究です。

Obstet Gynecol. 2004 Jul;104(1):161-7. doi: 10.1097/01.AOG.0000130839.61098.12.
Ectopic pregnancy and medical abortion(子宮外妊娠と薬による中絶)
Caitlin Shannon 1、L Perry Brothers、Neena M Philip、Beverly Winikoff
pmid: 15229016 doi: 10.1097/01.aog.0000130839.61098.12


概要
目的
 薬による中絶は、早期の妊娠を終了させるために広く行われるようになった。薬による中絶の提供者は、他の早期妊娠の終了と同様に、治療を開始する前に子宮外妊娠の女性を診断し、除外することに関心を持っている。だが、使用されている様々な治療前のスクリーニング方法が適切であるかどうかについての情報はほとんどない。我々は、薬による中絶治療前の子宮外妊娠のスクリーニングが全体的に成功しているかどうかを判断するために、公表されている文献を検討した。

 データ源は 2003年7月以前に発表された薬による中絶治療に関する論文をMEDLINEで検索した。

研究選択の方法
 薬による中絶治療後に診断された子宮外妊娠について報告する、サンプルサイズが100以上の薬による中絶の研究の英語論文を選択した。85件の候補となる研究と無作為化試験のうち57件(69%)がこの対象条件を満たしていた。また、2つの未発表の研究のデータも、大規模かつ良好な管理が行われていたことと、我々が知っている重篤な有害事象が含まれていたことから、分析から除外するのは妥当ではないと判断し、これらの研究も含めた。


 集計、統合、および結果 各論文は1名の著者がレビューした。選択した研究のデータをまとめ、薬による中絶治療後に子宮外妊娠と診断された頻度を算出した。子宮外妊娠は、薬による中絶処置後に診断される頻度は非常に低く、44,789人中10人(0.02%)にしか発生していなかった。


結論
 薬による中絶処置の後に子宮外妊娠と診断される頻度が非常に低いことは、子宮外妊娠の患者を除外するために医療機関が行っている様々な処置前のスクリーニング方法が成功していることを示している。さらに、薬による中絶治療が子宮外妊娠の女性に異常な合併症をもたらすことを示唆するエビデンスはない。

J Obstet Gynaecol India. 2013 Dec;63(6):388-93. doi: 10.1007/s13224-013-0459-2. Epub 2013 Aug 14.
Ectopic pregnancy in the era of medical abortion: are we ready for it? Spectrum of sonographic findings and our experience in a tertiary care service hospital of India(薬による中絶の時代における子宮外妊娠:私たちはその準備ができているのか?超音波検査所見のスペクトルとインドの3次医療サービス病院での経験)

Jyotindu Debnath 1, Surendra Kumar Gulati 2, Ankit Mathur 1, Ritu Gupta 3, Nikhilesh Kumar 4, Sunil Arora 4, R Bala Murali Krishna 5

概要
目的:本研究の目的は、子宮外妊娠の臨床症状と超音波検査所見についての我々の経験を共有することであり、特に監視下にないn内科的中絶薬の使用との関連において、その経験を共有することである。

設定とデザイン 本研究は、2009年8月1日から2010年7月31日までの1年間に、インドの三次医療機関である軍隊病院で実施されたプロスペクティブ研究である。

材料と方法 臨床的および超音波的に子宮外妊娠が疑われる症例を研究対象とした。各患者について、詳細な臨床歴、月経歴、治療歴を得た。超音波検査(USG)は、多周波凸型(2.5-6MHz)と経膣型(6-10MHz)のプローブを用いて行った。各症例の手術所見を記録した。

結果 調査期間中、合計1958名の妊娠患者が入院して治療を受け、その内訳は1690名の分娩と268名の人工妊娠中絶であった。USG検査の結果、16例(0.8%)が子宮外妊娠と診断された。4例は内科的治療(メトトレキサート)を受けたが、12例は手術を受けた。16例のうち、臨床的に子宮外妊娠が疑われたのは10例であった。月経痛、流産の恐れ、骨盤内炎症性疾患を示唆する特徴が、それぞれ5例、3例、3例に認められた。内科的中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストール)の服用歴は、07例(43.75%)に認められた。USGで最も多かった異常は、12(75%)の症例に見られた複雑な付属器の腫瘤だった。5例では、内部に明かに胚があり、周囲にエコー性の縁がある妊娠嚢が見られました。生きた子宮外妊娠は2例(12.5%)で診断された。子宮内膜の厚さは、MAを受けたすべての症例で10mm以下だった。偽妊娠嚢は2例(12.5%)に認められた。手術した12例のうち10例で著しい血腹が見られた。骨盤内の組織性血腫が付属器腫瘤の存在を覆い隠していたのは3例であった。

結論
 市販されていること、ガイドラインに厳密に従わないこと、監視されていない状態でのMAの使用、非典型的な病歴などにより、子宮外妊娠の診断上のジレンマが増大している。このような症例では、超音波検査所見もしばしば非典型的である。子宮内妊娠を事前に確認せずにMAを服用した患者では、子宮外妊娠の診断が甘く、深刻な結果を招く可能性がある。

Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2020 Mar;246:169-176. doi: 10.1016/j.ejogrb.2020.01.022. Epub 2020 Feb 1.
Management of very early medical abortion-An international survey among providers(超早期薬による中絶の管理-医療従事者を対象とした国際調査)
Christian Fiala 1, Teresa Bombas 2, Mirella Parachini 3, Aubert Agostini 4, Roberto Lertxundi 5, Marek Lubusky 6, Laurence Saya 7, Kristina Gemzell Danielsson 8


概要
目的
 各国における超早期医学的中絶(Very Early Medical Abortion:VEMA)の定義と管理方法を記録すること。


研究デザイン
 薬による中絶の提供者を対象としたインターネット調査を、ウェブサイトを通じて国際的に実施した。アンケートでは、妊娠超初期に薬による中絶を行う、または遅らせる理由と、VEMAのメリットとデメリットの認識に焦点を当てた。


結果
 220件のアンケートのうち、50%はヨーロッパの中絶業者からのものだった(n = 110)。ほとんどの回答者(72%)は、VEMAを、hCG妊娠検査が陽性であっても子宮腔が空であるか妊娠嚢のような構造物があり、なおかつ子宮外妊娠の徴候や症状がない場合に行われる中絶と定義した。回答者の74%は、薬による中絶を開始する前に、子宮内妊娠の診断を待つ必要はないと考えていた。同様に、74%が子宮外妊娠の可能性を認識していた。


結論
 ヨーロッパの薬による中絶の提供者によると、子宮内妊娠の診断を待つ必要はなく、子宮外妊娠の治療を改善することもない。薬による中絶は、女性が決心すればすぐに効果的かつ安全に行うことができることを提供者は知っておくべきである。妊娠週数の下限はない。