リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ヨーロッパ4ヵ国の避妊状況の比較/日本のノルレボの価格と比較したら……

やはり高い! アクセスが悪い! 日本の避妊も緊急避妊も

以下のサイトから、ヨーロッパの国々のうちG7に入っているイギリス、フランス、ドイツ、イタリアに関する情報を集めて仮訳しました。
European Contraception Atlas 2020 | EPF

英国は、避妊アトラスの4つのエディションすべてにおいて、常に上位3カ国に入っています。これは、避妊の一般的な償還と、簡単にアクセスできるオンライン情報のおかげです。英国を構成するすべての国で無料の避妊具を入手することができますが、イングランドではコミュニティ薬局では入手できないため、無料の緊急避妊具へのアクセスが制限されています。2017年の「Contraception Atlas」における英国の総合スコアは87.6で、アクセスに関しては最上位に位置しています。これは、一般的な避妊法の償還や、オンラインで簡単にアクセスできる情報のおかげです。英国の人口は67.94.1百万人。同国の避妊率は74%と推定されています。思春期(15〜19歳)の出生数は1000人あたり12人、人工妊娠中絶数は1000人あたり252人です。
European Contraception Policy Atlas - United Kingdom | EPF


フランスは、総合スコアが90.1%で、ベルギー(96.4%)に次いで、2020年の避妊アトラスの中で2番目に高いパフォーマンスを示しました。この好成績は、卓越したオンライン情報と、IUD、IUS、インプラント、注射剤、錠剤などを対象とした一般的な償還制度によるものです。ほとんどの医薬品がフランスの社会保障制度(Assurance Maladie)でカバーされているため、償還額は市場価格の65%に達します。若者や保険に加入していない人は、家族計画センターで無料で避妊具を入手することができます。フランスの人口は6,530万人で、避妊率は65%です。
European Contraception Policy Atlas - France | EPF


ドイツは、オンライン情報へのアクセスが非常によく(98.5%)、避妊具へのアクセスが平均的(62.4%)であることから、2020年版避妊アトラスでは75.1という高い評価を得ています。これには、国民健康保険制度での償還がないことや、青少年を除く弱者グループに対する特別な規定がないことなどが含まれます。この国には、公的/法定および民間の医療保険を含む混合医療制度があります。払い戻しのレベルは、ほとんどが年齢と保険者が中程度(62.4)を正当化するかどうかにかかっています。ドイツの人口は8,380万人で、避妊具の普及率は61%と推定されています。ドイツの出生率は1.6で、思春期(15~19歳)の出産は1000人あたり6人、中絶は1000人あたり139人となっています。
European Contraception Policy Atlas - Germany | EPF


イタリアは、2020年の避妊アトラスにおいて、避妊具の償還制度がないため、総合スコア59.3を獲得しました。イタリアの医療制度は公費で賄われており、開業医や公立病院への受診は無料です。イタリアの市場ではすべての近代的な避妊法が入手可能であるにもかかわらず、政府はそれらのいずれにも償還を行っていません。さらに、最新の避妊法に関するオンライン情報は存在するものの、避妊具の費用に関する情報は不十分です。イタリアの人口は6,050万人で、避妊率は59%と推定されています。イタリアはヨーロッパの中でも思春期(15〜19歳)の出生率が低い(思春期1000人あたり4人)。
https://www.epfweb.org/node/734


ECPの価格を比較してみました。
European Consortium for Emergency Contraception (ECEC)

英国
LNG €42=¥5400 (保険がきかない場合)(Levonelle=Norlevo)
UPA €57=¥7300(ellaOne)
LNG ECは、スコットランドウェールズの薬局で無料で提供されています。また、イングランドでは、地域によっては、若年層などの特定のグループに対して、LNG ECが薬局で無料で提供されています。 LNG ECとUPA ECは、英国内の家族計画クリニックで無料で入手できます。


フランス
LNG € 6,75=¥900(NorLevo 1.5mg)
UPA € 18,88=¥2400(ellaOne)
LNG ECとUPA ECの費用は、処方箋付きで販売された場合、患者様に部分的に還元されます(65%)。LNG ECとUPA ECは、低所得者向けの公的医療保険に加入している人に処方箋を出して販売する場合は、全額が患者さんに還元されます。LNG ECは、18歳未満の方6と家族計画クリニックで購入された場合は無料です。UPA ECは、家族計画クリニックで調達する場合は無料です。


ドイツ
レボノルゲステロル(LNG)€18=¥2300(PiDaNa=Norlevo)
ウリプリスタル(UPA)€30=¥3800(EllaOne)

国民健康保険では、20歳未満の女性が医師の診察を受け、医師の処方箋を入手した場合、LNG ECとUPA ECの費用は無料です。ただし、18歳から20歳までは5ユーロの処方箋料がかかります(薬局でお支払いください)。ただし、20歳未満の女性が市販のECを購入する場合、20歳未満の女性が民間の健康保険に加入している場合、そして20歳以上のすべての女性の場合、LNG ECとUPA ECの費用は社会保障ではカバーされません。


イタリア
LNG € 17,27=¥2200 Norlevo
UPA € 26,90=¥3400 ellaOne
イタリアでは、ECの費用は社会保障の対象になりません。

日本のECPの価格は、2019年に富士薬品が後発品を出したことで大幅に下がりました。その時の記事をご紹介。

富士製薬 緊急避妊薬ノルレボ錠の後発品を発売 国内初

富士製薬 緊急避妊薬ノルレボ錠の後発品を発売 国内初
公開日時 2019/03/22 03:52


富士製薬は3月19日、緊急避妊薬ノルレボ錠1.5mgの後発品となるレボノルゲストレル錠1.5mg「F」を発売した。ノルレボ錠の後発品は国内初となる。


先発品と同様、後発品も薬価未収載品。同社は本誌取材に後発品価格について、「具体的には言えないが、先発品より安価でなければ意味はない。先発品価格よりも抑えた形に設定している」と述べた。先発品は1錠あたり1万円~1万5000円ほどのため、後発品は1万円を下回る価格設定とみられる。


同錠は、避妊の失敗などによる性交後の予期せぬ妊娠を回避する方法として緊急的に使用されるもの。性交後72時間以内に、1回1錠服用することで避妊効果を発揮する。有効成分のレボノルゲストレル(合成黄体ホルモン)は、WHOによる緊急避妊のエッセンシャルドラッグに指定されている。

同社は、「薬剤費が高額で患者さんの経済的負担が大きい製剤であることから、以前より多くの医療機関から本剤のジェネリック医薬品の開発要望があった」としている。

実際、このジェネリック販売を受けて「安くなった」と宣伝しているクリニックの価格は、8000~9000円強くらい。一方で、2019年12月から先発品がジェネリック並みに4500円に、ジェネリックが3500円になったとしているクリニックもある。通販では「フランスの先発品3,320円」としている。いくら輸入しているからとはいえ、フランスで約900円なのだから、かなり水増しした価格になっている。