リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

格安中絶問題(中期中絶に対する出産一時金搾取問題)に関する国会答弁 その2

第204回国会 参議院 厚生労働委員会 第17号 令和3年5月20日

昨年”中絶ビジネス”問題としてアエラ等のメディアでも取り上げられました。

AERA 2020/07/13 08:00
母体のリスク高い“格安中絶”:神奈川県のX産婦人科院長との一問一答


2021.03.26 現代ビジネス
泣いて出てきた胎児をそのまま死なせ: …中絶ビジネスの「壮絶すぎる実態

以下、維新の梅村議員による国会質問と答弁です。
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236 梅村聡
……前略……
それで、もう一つ、これは、ちょっと今度は不妊治療ではなくて人工妊娠中絶の話になるんですけれども、これ、二〇一九年の十一月二十八日、当委員会でも質問を一度させていただきました。
 当時は大臣、加藤大臣でしたので、ちょっと改めてもう一回背景を整理しますと、一部の産婦人科医療機関で、人工妊娠中絶するときというのは、妊娠週数に応じて手術の値段というのは決まっています。例えば十週だったら八万円だと、十一週だったら例えば十万円だと、十二万円だと、こうあるわけですよね。ところが、一部の医療機関で、十二週になれば無料ですよというところが出てきたんですね。そこまで八万円、九万円、十万円と週数に応じて上がってくるのに、十二週になると急にゼロ円となるんですね。何でゼロ円になるかというと、十二週になると出産育児一時金が出されるからですね。これを医療機関に直接支払制度を使ったら妊産婦さんはゼロ円になると、でも、医療機関は四十二万円入るんですね。
 これだけならまだ特に経済行為としては問題ないのかもしれませんけれども、誘導していくわけですね。本当は九週、十週、十一週で人工妊娠中絶を受ける機会があるのに、十二週に手術すればただになるからどうですかと、こう持っていくわけですよ。
 私は、それはやはり母体保護法上余り適切ではないと、やっぱり必要なときにきちっと受けるのが基本であって、無料になるから十二週まで引っ張りましょうというのは、これはやっぱり医療としておかしいんじゃないかというお話をしたんですけれども、健康保険法上も母体保護法上も、これは直ちになかなか止めることは難しいというお話だったんです。これは法律違反ではないんだということで、これはなかなか難しいなと思ったんですが、このときに渡辺局長の方から、その趣旨につきましては、ちょうど近々、関係団体とともに共催をしております指定医、これ母体保護法指定医だと思いますけど、指定医の講習会等もございますので、そういった場を活用してしっかりと共有していきたいと思っておりますということなので、これ厚労省から、やっぱりこういう経済誘導により人工妊娠中絶の時期をわざわざ後ろにずらすというのは、これはおかしいということを共有していただくということをおっしゃっておりましたけど、これ、していただけたのかどうか、お伺いしたいと思います。


237 渡辺由美子○政府参考人
 御質問いただいたのは元年の十一月二十八日でございましたが、その翌月の十二月にその講習会がございましたので、その機会を活用いたしまして、主催者でございます日本医師会ですとか、あるいは日本産婦人科医会の関係団体とも問題意識を共有させていただきました。
 関係団体としては、その時点では、具体的に御指摘のような事例があるということをその時点で把握をしているということではございませんでしたが、ただ、やはり母体保護法の運用に当たりまして、安全性の観点から問題のある事例が認められるという場合には当該医療機関に対して適切に指導していくという認識も共有いたしましたので、引き続き関係団体と連携をしながら適切な運用に努めてまいりたいと考えております。


238 梅村聡
 恐らく、その関係団体の役員とかトップをされている方々はそんなことはしないと思うんですね。だから、そういう状況というのも分からないし、逆に言ったら、そんな事例があるんだと言っても、ああ、それはならず者がいるんだなということで終わってしまうかもしれないんですが。
 これちょっと確認をしたいんですけど、これ、そもそも出産育児一時金というのは妊産婦さんに出されるものなんですよ。妊産婦さんに出産育児金として出されるものを、出産のときに、一時的にたくさん出産するときにお金を産婦人科に払わないといけないと、これは経済的負担になるから、直接保険者から、健康保険組合やそういうところから直接医療機関に払うという便利な仕組みをつくっただけなんですよ。だから、本来だったら、十二週の手術は四十二万円と書いておかな駄目なんですよ。四十二万円と書いて、何でこんな高いんですかと言われたら、出産育児一時金が出るでしょうから、四十二万円そこから払ってくださいというんであれば、まあいいことではないんだけど、まだいいんでしょうけれども、これ無料ですよといって誘導しているところに問題があるわけなんですね。
 しかも、最近、そういうところも更に問題巧妙化してきまして、やっていることが。何とか直接支払をしてほしいわけですね、医療機関からすると、保険組合から直接支払してほしいと。ホームページについにこういうことを書き始めたんですね。直接支払という方法に対応していない産婦人科で手術を受けると、出産育児一時金を後日御自分で手続して申請しなければなりませんが、この場合、会社を通して申請することになりますので、中絶手術を受けたことが会社に知られることになりますと、これ書いてあるんですよ、ほんまにこういうホームで。当院は、直接支払という方法に対応しています、全て無料で代行していますので、患者様は当院へ手術を受けに来て手術を終えて帰るだけです、これ以外の手間は掛かりません、会社や役所に足を運ぶ必要もありません、会社を介さないため中絶手術を受けたことを知られる心配もありませんので御安心くださいと。こんなこと書かれること自体が御安心できないと思うんですけれども、現実的にそういうことになっているんですね。
 ちょっとこれお聞きしたいんですけど、これ、直接支払なら中絶手術の事実を会社に知られず、直接支払でなければ会社に知られるというのは、これ事実なんでしょうか。もし事実やったらこれ改善が必要だと思うんですけど、いかがでしょうか。


239 浜谷浩樹○政府参考人
 お答えいたします。
 出産育児一時金の支給方法につきましては、御指摘のとおり、被保険者と医療機関との間で代理契約を結ぶことによりまして医療機関が被保険者に代わって請求と受取をする直接支払制度と、被保険者自身が保険者に申請する方法がございます。これは本人の選択によります。
 直接支払制度の場合には、医療機関から審査支払機関を通じて保険者へ請求されるために、これは会社を介する仕組みではございませんし、被保険者自身が申請を行う場合におきましても、被保険者が保険者に直接申請する仕組みとなっておりまして、会社を介する仕組みとはなっておりません。


240 梅村聡
 だから、そんな事実はないんだと思うんですね。どっちであっても、手続を代行するか、医療機関が代行するかどうかの話なので、そんな事実は全くないんだと思うんですね。
 それからもう一つは、これは広告規制に係ることだと思うんですけれども、値段を書いていたらまだいいと思うんですね。さっき申し上げたように、出産育児一時金というのは四十二万円だと思いますから、十一週だったら十万円だけれども十二週になったら四十二万円ですと書いていて、この四十二万円って何だと聞かれたら、それは、あなたが出産育児一時金を出されるからそれを、それは高いと思いますよ、高いけれども、四十二万円払ってください、若しくは代行して私が受け取りますだったらこれはいいと思うんですけれども、値段も何も書かずに、十二週になったら自己負担がほとんどなくなるからこっちの方がいいですよと。これ、モラルとしても問題だし、母体にとってもよくないと。
 それから、やっぱり医療の、ホームページなんかだったら広告規制になると思いますけど、そういう面でも私、非常に不適切なんじゃないかなと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。


241 迫井正深○政府参考人
 医療機関のウエブサイトによる情報提供、これは広告規制の対象となってございます。
 その規制の考え方、その内容が患者等に著しく事実に相違する情報を与えるような場合、これは虚偽の広告です。それから二点目は、事実を不当に誇張して表現したり人を誤認させるような場合、これは誇大広告。こういったことに関しましては、医療法上禁止される広告として規制の対象となるというふうに考えております。このうち、特に自由診療に関しましては当然費用が問題になります、医療機関ごとに大きく異なりますので。したがいまして、トラブルを防止する観点からもこれを情報提供することを求めております。
 したがいまして、先ほど委員が御指摘のようなことに関しまして、基本は個別の判断にはなると思いますけれども、やはり費用の点について、明らかに事実誤認でありますとか誤った誘導をするようなケースにつきましては適切ではないというふうに考えております。


242 梅村聡
 ありがとうございます。
 要するに、ここのポイントは何かというと、出産育児一時金医療機関のものじゃないんですよ。妊産婦さんにその出来事によって払われて、ただ、その支払を医療機関が代行するだけなので、まるで医療機関がこれは補助金としてもらえるんだということの事実誤認もあるし、その金額全額を医療機関に渡さないといけないということも何もないわけですから、是非やっぱり、母体を守るためにも、適切にきちっと医療を受けてもらうためにも、非常にグレーだとは思うんですけれども、患者さんの立場で是非規制を考えていただきたいなというふうに思います。


前回の梅村聡議員の国会答弁
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