リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

出産一時金のしくみ

中期中絶にも出るお金~自分で手続きすると「多額の費用がかかる」と言われるが……?

実態はどうなんでしょう?

世田谷区の例で見ていきます。面倒そうですが、「多額の費用がかかる」というのは当てはまらないような気がします。いったん全額負担することを「多額の費用」と言っているのでしょうか。補てんされるには1カ月ほどかかるようですから。

申請方法
出産後、医療機関等への支払いを済ませてから申請してください。申請書類受理後、約1か月後に世帯主の銀行口座に振込みます。


申請に必要な書類
1. 出産育児一時金支給申請書(※郵送で申請する場合はお問い合わせください。)
2. 医療機関等と取り交わした直接支払制度を利用しない旨の合意文書の写し
3. 医療機関等より発行された出産費用の領収・明細書の写し(直接支払制度を利用していない旨の記載があるもの)
4. 出産した方の保険証
5. 世帯主と出産した方のマイナンバーカード(個人番号カード)または通知カード
6. 世帯主の口座番号等がわかるもの
7. 本人確認資料

本人確認資料とは、運転免許証、パスポート(日本国発行のもの)、マイナンバーカードなど官公署発行の写真入り証明書です。詳しくは、国保・年金課 保険給付係へお問い合わせください。

なお、死産・流産の場合は上記に加え下記の書類が必要です。

8. 上記1、2と妊娠85日以上の分娩であることがわかる書類の写し
9. 医師等の証明書、死産届、死胎火葬許可証、母子手帳(いずれか1点の写し)
(注意)妊娠85日(妊娠4か月、12週+1日)以上の分娩(死産・流産・人工妊娠中絶を含む)であることが支給条件となります。

入間市の説明で、40万4000円という数値の意味が分かりました。つまり、妊娠22週未満しか許されていない中期中絶は必然的に40万4000円になるんですね。(他の機関は別の扱いかもしれませんが。)以下参照。

支給金額
産科医療補償制度(注1)対象の有無 支給額
対象の場合 42万円
対象外の場合 40万8千円(注2)
注1)(財)日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する病院、診療所または助産所(以下「医療機関等」という。)の医学的管理下における在胎週数22週以降に達した日以後の出産の場合、対象となります。

注2)健康保険法施行令の一部改正に伴い、令和4年1月1日以降の出産に係る支給額が改定されました。(40万4千円→40万8千円)

平成17年(2005年)の段階で出産育児一時金は30万円であったことが国会答弁で明らかになっています。
第162回国会 参議院 決算委員会 第7号 平成17年4月11日 なお、西島英利氏は自民党議員

西島英利君 是非、縦割りではなく、やはり全体的に見てこの予防というものを考えていかないと実は上がらないのではないかなというふうに思いますので、是非その点をお願いを申し上げたいと思います。
 もう一点だけ質問さしていただきたいんですが、実は出産育児一時金の問題でございます。
 これは、出産をされる方には法定的には三十万円が支給をされるということになっておりまして、正常分娩についてはこれは保険で見れないわけでございますから、この出産一時手当金という形で支給をされるようになっているところでございます。
 しかし、昨今の新聞情報によりますと、実はこれが必ずしも三十万円でなくて、例えば健康保険組合でいえば、大企業であれば、これには付加という形で三十万円以上のお金がここで給付をされている。ましてや、先日のある新聞に書かれたところによりますと、公務員の共済保険であると正にもっと大きな金額が実はそこで支給をされているということが書かれていたところでございます。さらには、この分娩に要する費用というのはとてもこの三十万円では賄えないと言われておりまして、なかなかこの少子化の中で分娩をするというのも経済的にかなり苦しい部分もあるのではないかというふうに思っています。
 もう一つ、これ実は私も専門じゃないんで驚いたんですが、ある産婦人科の先生から得た情報でございますけれども、流産、早産や死産の場合、妊娠持続期間が妊娠八十五日、つまり妊娠四か月たっていれば、流産、早産、生産、死産の区別なくこれは支給されると。ところが異常分娩になりますと、流産も含めてでございますけれども、これは保険で適用されるわけでございますですね。そういう意味では、大きな不公平というのがここに起きているのではないかというふうに思います。
 この少子化対策という点から考えても、やはり私は、この三十万円を支給するのであれば、私は保険診療としてやっぱり正常分娩であっても私はこの保険の中で見ていくべきではないかというふうに思うんでございますけれども、この点についてお考えをお示しいただければと思います。


産科医療保障制度について
第186回国会 参議院 厚生労働委員会 第2号 平成26年3月13日(2014)
この議員の父は日本医師会の会長を務めた武見太郎。

武見敬三君 与党質問ではありますが、やはり緊張感のあるしっかりとした議論をさせていただければというふうに思います。
 まず最初に、順番を変えて、最初に産科医療補償制度についての運営の仕方、これをまず大臣にお聞きしたいと思います。
 この制度は、そもそも、福島県の大野病院というところで産科の医師が実は逮捕されるという事件が起きて、結果としてこの産科医は全く無罪ということで、その逮捕されたこと自体が誤りだったということが明確になりました。そしてこの間、私どもの間で、やはりこうした産科医と、そして妊婦あるいは患者との間の信頼関係というものをきちんと確保していくための仕組みをつくらなければいけないと、こういう観点から、中立的な立場で管理運営するこうした産科医療補償制度というものをやはり創設し、そして、脳性麻痺児が実際にお生まれになったときの補償をそこを通じて行い、それによってこうした訴訟というところにまで発展しないようにこれを抑制する仕組みをつくろうということでこの産科医療補償制度というものが発足したというのがその経緯で、実は私自身もこの制度発足に深く関わりました。
 そして、それを五年後見直しということで今日見直すときに、出産育児一時金から三万円、これを実際に保険料として払っていただくという形で当初整えたものが、やはりまだ実際のそうした補償する額というものが定まっていなかったということが実際にはなかなかあるものですから、結果としてそれによってかなりの余剰金ができるんじゃないかというようなこともあって、改めて、じゃ、どのような形で補償の対象を考えるか、この補償の対象を広げようということで、議論がこの五年後見直しの中で始まりました。
 これに、病院評価機構という中立的な立場のところに運営委員会というのがあって、その運営委員会というところでは実際に三十一週、千四百グラムというような結論をお出しになった。しかし、更にこれに加えて、関連する産婦人科学会を含めた、現場を理解し、かつ学問的な基盤のあるところの四つの学会、医会が代表者名でこうしたことを裏付ける申入れもされたと。こういうようなことがあって、実際に結果どうなったかというと、それは、今度は厚生労働省社会保障審議会医療保険部会というところが厚生省の中では実際に審議し、事実上その決定を行うという役割を担う形になって、結果としては、この三十二週、そして千四百グラムという形で落ち着いたという経緯があります。

いつから直接支払制度になったかについては、国民民主党足立信也議員が証言している。
第203回国会 参議院 厚生労働委員会 閉会後第1号 令和2年12月10日

医療機関というのはやっぱり別なんですよ。キャッシュフローがないんですよ。だから、執行は速さというのが大事で、これも一つ例を挙げますけれども、出産育児一時金を、今まで産婦さんが払っていたのを後で償還されましたね。それを保険者の方から直接医療機関へ、あるいは出産施設へ払うように変えましたね。あれ、二〇一〇年の四月から本格施行ですよ。このときに何が問題になったか。保険者から直接払われるようになると二か月掛かると、二か月もたないと言われたわけですよ。一か月だったら何とかなるということで、私、政務官でしたけど、一か月で払えるように変えたんですよ。だからできたんです。それだけキャッシュフローがないんですよ。だから、ここの医療機関介護施設のところはもう直接早くやらないとという話になるわけですね。