リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

2019年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する国連決議

リプロダクティブヘルスケアはUHCに統合すべき必須要素なのに……国内では無策 海外のリプロには援助

国連 A/RES/74/2
第74回総会  一般 2019年10月18日
議題126 グローバルヘルスと外交政策

68.  2030年までに、家族計画、情報、教育を含む性と生殖に関する健康管理サービスへの普遍的なアクセスを確保し、リプロダクティブ・ヘルスを国家戦略とプログラムに統合し、国際人口開発会議の行動計画と北京行動綱領、およびそれらの検討会議の成果文書に従って合意された、性と生殖に関する健康とリプロダクティブ・ライツへの普遍的なアクセスを確保する。


69.  保健政策および保健システムの提供におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを達成するために、すべての女性と少女の特定のニーズを考慮して、保健政策を立案、実施、モニタリングする際に、システム全体でジェンダーの視点を主流化する。

このように、UHCにリプロダクティブ・ヘルスを入れるべきこと、特にジェンダー平等と女性のエンパワーメントのために女性と少女に特有のニーズを考慮しなければならないこと。さらに次に言われているように、「満たされていないニーズ」に対応するために、経済的障壁をなくし、自己負担を減らすことがうたわれている。

39. 満たされていないニーズに対応し、質の高い、安全で、効果的で、手頃な価格の必須の保健サービス、医薬品、ワクチン、診断、保健技術へのアクセスに対する経済的障壁をなくし、経済的困難につながる自己負担を減らし、ライフコースを通じてすべての人、特に貧困層や脆弱な立場にある人のための経済的リスク保護を確保するために、国の状況や優先順位に応じて、プライマリ・ヘルスケアに十分な資金を提供し、資源のより良い配分と利用を通じ、財務当局と保健当局を含む関連当局間の緊密な連携を含む、効率的な保健財政政策を追求する。

日本ではリプロダクティブ・ヘルスケアに全く保険が使えないばかりか、自由診療とされて非常に高額に設定されているため「満たされないニーズ」が膨大に膨らんでいる。

それなのに、日本はUHCについては「途上国に対する支援者」と自らを位置付け、ODAとしての他国のリプロダクティブ・ヘルス支援のみに資金を投入している。これは国民に対するアカウンタビリティに欠ける対応である。


2012年と少々古いが、日本がUHCもリプロダクティブ・ヘルスも他人事として「アジアのリーダー」ぶっている典型的な対応の見られる会議の例を挙げておく。

第 28 回人口と開発に関するアジア国会議員代表者会議 ICPD 行動計画と MDGs へのカウントダウン
2012 年 10 月 2~3 日 日本・東京


この会議報告にある「アジアにおける PoA の進捗と評価:家族計画の満たされていないニーズ」( 堀部伸子 国連人口基金UNFPA)アジア・太平洋地域事務所長)では、日本が資金を提供しているか国におけるICPDのPoA(行動計画)の進捗について発表しているが、国内でPoAが全く進捗していないことへの認識が欠落している。


日本の「リプロ」が外交政策でしかなく、厚生行政とは無関係になっている端的な例である。