リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

○人工流産に伴う分娩費並びに出産手当金支給に関する件

出産育児一時金

昭和二七年六月一六日 保文発第二四二七号・人工流産に伴う分娩費並びに出産手当金支給に関する件(◆昭和27年06月16日保文発第2427号)

○人工流産に伴う分娩費並びに出産手当金支給に関する件

(昭和二七年三月二八日)

(厚生省保険局長あて福岡県三菱鉱業健康保険組合飯塚支部照会)

1 分娩費の支給について

分娩費の支給が、分娩の事故により被保険者の経済的な負担となる事を救済する目的であるとすれば、妊娠八五日目位の者は、産婆に対する支払もなく、又人工分娩に対する診療費も健保負担となつているので不支給と決定すべきではないでしようか。

特に本人の不行跡や経済的な理由のみの人工流産の場合は、不支給としてよいでしようか。

2 出産手当金の支給について

母体保護を目的とすれば、妊娠四か月目の人工流産であれば専門医の意見では、健康体の者では一〇日間余りの休養を必要とするのみとの事であるが、もしこうした実情を無視して字句のみにとらわれて給付を行えば、分娩後四二日間は基準法上の休業を強制し(三五日以上は本人の意志と医師の意見で稼働出来るが)、かえつて被保険者の生活をおびやかす事となるのである。

休業を強制して出産手当金を支給し、生活を一〇〇分の六〇に切下げる事は、いささか法の精神にも反するものではないかと思われますが如何でしようか。以上

(昭和二七年六月一六日 保文発第二四二七号)

(福岡県三菱鉱業健康保険組合飯塚支部あて 厚生省保険局健康保険課長回答)

御来照にかかる標記の件について次のとおりお答えする。

1 健康保険による分娩費は、母体を保護する目的のために、分娩の事実にもとづいて支給されるのであつて、妊娠四か月以上(八五日以後)の分娩については、生産、死産、流産(人工流産を含む)又は早産を問わず、すべて分娩費が支給される。人工妊娠中絶術(人工流産)に対しては、単に不行跡又は経済的理由によるものについては、療養の給付は認められない。

2 健康保険による出産手当金は、分娩の前後四二日以内において、労務に服しなかつた期間支給されるのであるが、労務に服すると否とは被保険者の意思によるものであつて強制されるものではない。

出産育児一時金は、1994年に「分娩費」と「育児手当」が合体して30万と定められたもので、元々育児手当分はけっこうな比率を占めていました。たとえば1961年の分娩費の最低保証額は6000円、当時の育児手当金は2000円でした。

その比率でいくと現状の42万円中10万円くらいは育児手当にあたるはず。死産や中期中絶の場合にも、育児手当分が出ているのもおかしいし、それが全額医者にわたっているのもおかしい。