リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アメリカの妊産婦死亡率が急増

米CDC発表 by Donna L. Hoyert, Ph.D., Division of Vital Statistics

Maternal Mortality Rates in the United States, 2020

仮訳します。

 本報告書は、National Vital Statistics Systemのデータに基づき、2020年の妊産婦死亡率を示したものです。妊産婦死亡とは、世界保健機関(WHO)の定義によると、「妊娠中または妊娠終了後42日以内の女性が、妊娠期間や妊娠部位にかかわらず、妊娠またはその管理に関連するまたは悪化した何らかの原因で死亡することであって、偶発的または偶発的な原因によるものではない」(1)とされています。本報告書では、出生10万人当たりの妊産婦死亡数である妊産婦死亡率を、年齢層別、人種別、ヒスパニック系出身別に示しています。

 この報告書は、2018年と2019年の妊産婦死亡率を示した前回の報告書を更新するものです(2)。2020年に、米国では861人の女性が妊産婦の原因で死亡したと確認されましたが、2019年は754人でした(3)。2020年の妊産婦死亡率は、出生10万人あたり23.8人であったのに対し、2019年は20.1人であった(表)。

 2020年の非ヒスパニック系黒人女性の妊産婦死亡率は、出生10万人あたり55.3人で、非ヒスパニック系白人女性の死亡率(19.1人)の2.9倍でした(図1、表)。非ヒスパニック系黒人女性の率は、非ヒスパニック系白人女性やヒスパニック系女性の率よりも有意に高かった。非ヒスパニック系黒人女性およびヒスパニック系女性の2019年から2020年にかけての増加は有意であった。非ヒスパニック系白人女性の2019年から2020年にかけての増加は有意ではなかった。

 死亡率は母親の年齢とともに増加した。2020年の率は、25歳未満の女性では出生10万人あたり13.8人、25~39歳では22.8人、40歳以上では107.9人であった(図2および表)。40歳以上の女性の死亡率は、25歳未満の女性の死亡率の7.8倍であった。年齢層間の割合の違いは統計的に有意であった。年齢層の中では、25~39歳および40歳以上の女性の2019年から2020年にかけての率の上昇が統計的に有意であった。