リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

コンドーム産業の誕生と多元化―セックスの技術革新とその矛盾―

平成21年度北海道大学経済学部卒業論文

学部生さんの卒業論文ですが、なかなかしっかりリサーチしているようです。

コンドーム産業の誕生と多元化―セックスの技術革新とその矛盾―
(高井ゼミ)経営学科 森泉萌香

結論部分。何を「矛盾」としているのか。

コンドーム出荷量減少は国内出荷量の減少と海外出荷量の減少の二つに分類できた。まず、国内出荷量の減少であるが日本国内の人口が減少しており、購買者の数が減少していることがあげられる。これを前提として避妊意識の低下とセックスレス化の二つに柱を絞ることができる。第一に避妊意識の低下であるが、特に18才未満の超低年齢層、既婚者層、高年齢層で進む傾向にある。超低年齢層での低下要因としては、未熟な性教育制度と誤った知識を植え込み影響力の大きいメディアの発達が考えられる。既婚者層では全体として家族計画意識の低下が目立っており、出来ちゃった結婚の増加がその根拠となっている。高年齢層では高齢になるほど妊娠の確率は低くなるという認識や、性風俗でのコンドームの無使用が問題となっており、結果的に性感染症の拡大を招いている。セックスレス化については夫婦のみならず若年層にも言え、これには労働時間の増加などでセックスする時間が減少していることが考えられる。セックスレス化の進行は結果として少子化を引き起こしており国家レベルでの問題となっている。海外市場での出荷量減少はかつて日本企業が介入してきた途上国でコンドームの現地生産が始まり、現地では性能が悪くても安いコンドームが流通しやすい状況になったことあげられる。以上の点より日本のコンドーム産業は多元化しているが、国内外で解決すべき問題に直面し、厳しい状況に強いられていることがわかった。