リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

1994年4月12日のCEDAW  A/49/38(SUPP)に含まれている一般勧告第21号

実質的に女性の自己決定権とリプロダクティブ・ヘルスケアへの権利が示されています。

原文はこちら。

日本の政府訳はこちら。
以下、政府訳からの抜粋です。

一般勧告第 21 号 婚姻及び家族関係における平等(第 13 回会期、1994 年)


第 16 条1(e)

21. 子を産み育てるという女性の責任は、教育、雇用及びその他の個人的発展に関する活動を享受する機会に対する女性の権利に影響を与える。かかる責任はまた、労働に関する不平等な負担を女性に課す。子の数及び出産の間隔も女性の生活に同様の影響を与え、また子の身体的及び精神的健康とともに、女性の身体的及び精神的健康に影響する。このような理由により、女性は子の数及び出産の間隔に関して決定する権利を有する。


22. いくつかの報告により、強いられた妊娠、中絶もしくは不妊手術などの強制的な慣行が、女性に対して重大な結果を及ぼすことが明らかにされている。子を持つか持たないかという決定は、配偶者もしくはパートナーと相談の上なされる方が好ましいけれども、配偶者、親、パートナーもしくは国家により制限されるべきではない。安全で信頼できる避妊措置について十分に情報を得た上で決定するために、女性は、条約第 10 条(h)に規定されるように、避妊措置とその利用に関する情報を得、性教育及び家族計画サービスを享受する機会を保障されなければならない。


23. 生殖に関する任意の規制のための適切な措置が自由に利用できることにより、家族の構成員すべての健康、発展及び福祉が向上するという一般的な合意が存在する。さらに、かかるサービスは、国民の生活及び健康の質全般を改善し、また人口増大の任意の規制は、環境を保全し、持続可能な経済的及び社会的開発を達成することに役立つ。


31. 締約国は、また、とりわけ次のことも行うべきである。

(a)女性の健康に影響を及ぼすあらゆる政策及びプログラムの中心にジェンダーの視点を据え、また、かかる政策及びプログラムの計画立案、実施及びモニタリング、並びに女性に対する保健サービスの提供に女性を関与させること。

(b)セクシュアル・ヘルス及びリプロダクティブ・ヘルスの分野を含め、女性が保健のサービス、教育及び情報を享受する機会を阻害するあらゆる障害の排除を確保するとともに、とりわけ、HIV/AIDS を含む性感染症の予防及び治療のための思春期の若者向けのプログラムに資源を配分すること。

(c)家族計画及び性教育を通じて望まない妊娠の予防を優先事項とし、安全なマザーフッド・サービス及び産前の援助を通じて妊産婦死亡率を低下させること。可能な場合は、妊娠中絶を刑事罰の対象としている法律を修正し、妊娠中絶を受けた女性に対する懲罰規定を廃止すること。

(d)保健サービスを享受する平等の機会とケアの質を確保するため、女性に対する保健サービスの提供について、公的機関、非政府機関及び民間機関によるモニタリングを行うこと。

(e)すべての保健サービスに対して、自主性、プライバシー、秘密保持、インフォームド・コンセント、及び選択の権利を含む女性の人権との整合を要求すること。

(f)保健従事者の訓練カリキュラムに、とりわけジェンダーに基づく暴力をはじめとする女性の健康と人権に関するジェンダーに配慮した包括的な必修講座を含めることを確保すること。


第 16 条2

36. 1993 年6月 14 日から 25 日までウィーンで開催された世界人権会議により採択されたウィーン宣言及び行動計画(注 A/CONF.157/24(Part I), chap.Ⅲ)において、少女を差別し害を与える現行の法及び規制を廃止し、かつ慣習及び慣行を廃棄することが各国に要請されている。条約第 16 条2及び児童の権利条約の規定は、締約国が成年に達していない者の間の婚姻を承認もしくは有効とすることを禁じている。児童の権利条約の文脈において、「児童とは、18 歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。」この定義にもかかわらず、ウィーン宣言の規定を考慮して、委員会は、婚姻最低年齢は男女ともに 18 歳とすべきであると考える。婚姻が締結されるとき、男女は重要な責任を引き受ける。従って、男女が完全な成熟度及び行為能力を取得するまで、婚姻は認められるべきではない。世界保健機関によれば、未成年者、特に少女が婚姻し子を持つことは、その健康に悪影響を及ぼし、教育は妨げられる。その結果として、女性の経済的自立が制限される。


37. このことは、女性の人格に影響を与えるばかりではなく、女性の技術の発展及び自立を制限し、雇用へのアクセスが困難になる。それにより、女性の家族及び共同体に悪影響を及ぼす。