リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アマゾンの著者紹介

バタバタしていて修正を忘れていた……24時間以内に変更予定

塚原久美(つかはら くみ)
 著者は20代初めに人工妊娠中絶と自然流産を経験し、長いあいだ心理的に苦しめられた経験から、中絶をめぐる諸問題に取り組むようになった。フリーランスで翻訳とライターの業務に従事してきたが、30代の終わりに出産することを願うようになり、軽い不妊治療を受けて妊娠し、出産に至る。助産院での出産とその後に巻き込まれた男性助産師反対運動を経て、リプロダクティブ・ヘルス&ケアの問題を痛感するようになる。
 パートナーの転職で石川県に移り住み、金沢大学大学院に入学。子育てをしながら、中絶問題に関してジェンダーの視点で医療史、歴史学、法学、倫理学等にまたがる学際研究を行い、2009年に博士号(学術)を取得した。博士論文を加筆修正した『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ』を刊行し、山川菊栄賞とジェンダー法学会西尾学術賞を受賞。その後、金沢大学や放送大学等の非常勤講師としてジェンダー関連講座を担当するほか、数々の講演会や記事執筆、RHRリテラシー研究所の設立などを通じて、リプロダクティブ・ヘルス&ライツや中絶問題の改善に努めている。
 自ら中絶のスティグマ(負の烙印)に苦しめられてきた中絶サバイバーとして、著者は中絶カウンセリングを行うために2014年に心理学修士課程に入りなおして修了、公認心理師臨床心理士の資格を取得して、独学で中絶カウンセリングも学んだ。2020年からボイスマルシェで中絶ケアカウンセリングを提供している。
 本書は、著者自らが長年をかけてアンラーニング(正しい知識を得ることで克服)してきた「中絶のスティグマ」をテーマにしている。中絶のスティグマは当人の心の底から湧いてくるものではないし、人類に普遍な悪でもない。日本で生まれ育つうちに身に着けてしまった「中絶への罪悪視」を、中絶経験者は「内面化」し、苦しんでいる。海外の人々との出会いや様々な知識を得ることで、中絶に対する偏見や思い込みに気が付けば、中絶が必要な立場に置かれた人は納得し、自信をもって中絶という選択ができるようになるのだと著者は説く。
 主著『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房 2014)。数多くの雑誌や新聞記事の他、オンラインでもラブピースクラブの連載『中絶考』、朝日新聞論座FRaU、女子SPAなどへの寄稿も多数。訳書に『中絶がわかる本』『水子供養』など。8月に筑摩書房より新書を刊行予定。