リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「義理チョコ」をする心理は「いじめ」や「過労死」と一緒!?海外メディアが伝えた日本の理不尽な慣習とは?

*mi-mollet 2022.5.18
加谷 珪一

mi-mollet.com

義理チョコをやめられないのは恐怖心のせい?

負担に感じている人が多いのになぜかなくならない「義理チョコ」。最近は、女性同士で「今年はやめよう」と協定を結んだとしても抜け駆けする人がいたりと、人間不信の原因になることもあるようです。はたから見れば茶番ともいえるこの慣習を、海外メディアはこのように報じています。

「義理チョコはくだらない慣習で、カネもかかり面倒くさい。にもかかわらず、『みんなと同じ』でないことへの恐怖から、長年やめられずにいるのだ。この『横並び』から外れることへの恐怖心は、まさに日本のホワイトカラーの生産性を長年停滞に陥れてきたのと同じメカニズムである」



義理チョコの根底にあるのは、職場いじめや過労死のそれと一緒だった!?

記事では「『横並び』から外れることへの恐怖心」についてさらに言及しています。そこには「同調圧力」「因習」「しがらみ」など、日本社会の特徴を表すときによく耳にする言葉が並びました。


「仲間からの同調圧力や因習がはびこるのは、なにも日本のホワイトカラーの職場に限られた話ではない。だが、毎年悩みの種となる義理チョコを見ていると、それがいかに根深くて変えることが難しいかを痛感させられる。義理チョコは、口には出されないが、みんながそうしなければならないと感じている『しがらみ』のひとつだ。そうしたしがらみは、最悪の場合、妊娠中や幼い子供を抱えた女性社員に対する職場のいじめ『マタニティ・ハラスメント』や、過労死の原因となる」

義理チョコを職場いじめや過労死と結びつけてしまうとは驚きですが、私たち日本人には理解できなくても、外国人には同じことをやっているように見えるのかもしれません。そのうえ、同調圧力に弱い日本人は、義理チョコという悪しき伝統をなかなか排除できないことも見抜かれていました。記事では皮肉を込めた表現で締めくくっています。

「たとえ会社のトップから『義理チョコをやめるように』とお達しが出たとしても、それは無視され、この国はその“ビタースイートな伝統”を守り続けていくのだろう」

日本は女性労働者を搾取している!?

 世間がいくら男女平等を標榜しても、実際はなかなか埋まらない男女の賃金格差。決定的な解決法が見つからないこの問題も日本ならではの不思議な現象のようです。格差が埋まらない原因について、海外メディアはこのように見ています。

 「日本では子育てのプレッシャーから、キャリア志向の母親でもパートタイムの仕事を選んでいることが多い。企業が提供する福利厚生が乏しく、女性は昇進の機会もあまりないため、給料の低い職を受け入れざるをえないのだ。その低すぎるとも言える給料は、女性の権利保護団体が『搾取だ』と指摘するほどである」


社会や義母からのプレッシャーもキャリアの阻害要因に

 キャリア志向の女性がパートタイムの仕事を選んでしまうのは、福利厚生や昇進の問題だけではないようです。原因をより深く追求するため、記事では子育てのために退職を選んだ女性のコメントを紹介しています。

 「日本では、主婦に対する社会と義母からの期待値がとても高いのです。それはもう、すごいプレッシャーでした」


 そしてもう一人、子育てのために時短勤務の仕事を選んだ女性を紹介しています。ここでは、彼女が時短勤務に後ろめたさを感じて結局は退職を選んでしまったという残念な事実を突きつけ、結婚や子育てのためにキャリアを諦めてしまうことの理不尽さを印象付けています。

 「食事の支度に掃除、そしていつも大騒ぎする子供たちのお風呂─そのすべてを彼女が1人でこなした。シェフである夫は店にいる時間が長く、毎朝保育園に連れて行く以外は、子育てにほとんど関わらなかった」

 「同僚に余計な責任を押しつけているという罪悪感にいつも苛まれていた。彼女は言う。『ごめんなさい、申し訳ありません』と同僚に言いながら、家に飛んで帰る日々でした」


男女の賃金格差を埋めるために必要なことは?

 男女の賃金格差の実態を報道する一方、近年は労働者確保のため、経営者や政治家のワーキングマザーに対する意識が徐々に変化してきていることも同じ記事内で伝えています。実際、大企業に女性登用の目標値の公開を義務づける法案が提出されたこともありました。それでも問題を解決するには不十分であると、ある女性支援団体の言葉を引用するかたちで読者に訴えています。

 「女性支援団体は『もっとやるべきことがある』と主張する。職場における男女平等推進のためにはもっと厳しい法律を整備する必要があるし、女性従業員のニーズに敏感になるように、男性役員には教育を施さないといけないという」