リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

WHOの『中絶ケア・ガイドライン』より

3.1.2 Underlying principles and assumptions relating to recommendations on health worker roles

仮訳する

3.1.2 ヘルスワーカー*の役割に関する勧告に関連する基本原則と前提条件
 ヘルスワーカーとは、健康を増進することを第一の目的とする活動に従事するすべての人々を指す(100)。これには、地域のヘルスワーカーから専門医(例:産科医や婦人科医)に至るまで、また伝統医療や補完医療の専門家(例:非整形医)を含め、付属書5に記載・説明されているすべてのカテゴリーのヘルスワーカーが含まれる。中絶は、錠剤(薬による中絶)や外来での簡単な処置で安全に行うことができるため、ほとんどの場合、専門医や一般医を必要としなくなっている。このガイドラインに示された勧告は、利用可能な医療従事者の最適化を促し、専門的な医療従事者の医療システム不足に対処し、コストを削減して購入可能な価格を改善し、医療へのアクセスの公平性と平等性を高め、医療サービスを必要とする人々の受容性を高めるために、より広範囲の医療従事者と妊娠中の人自身が中絶ケアの提供や自己管理に関与する方法についての指針を提供するものである。
 以下の原則と前提は、すべてのヘルスワーカーに適用される。

  • 勧告は、すべてのリソース環境、すなわち高リソース環境、中リソース環境、低リソース環境に適し ており、またそれらを意図している。
  • 勧告は、言及されている特定の中絶関連業務の一部または全部を安全かつ効果的に、満足のいくように行うことができる様々なタイプのヘルスワーカーに言及している。同じ作業を行うことができる人の選択肢は、包括的であることを意図しており、特定のタイプのヘルスワーカーを優先したり、除外したりすることを意味するものではない。特定の仕事のためのヘルスワーカーの選択は、個人のニーズ、好み、条件、そして地域の状況によって決まる。
  • ヘルスワーカーの訓練は、国の基準やガイドライン、人権に従って、質の良い、ジェンダーに配慮したケアを提供するための能力を確実に身につけさせるものでなければならない。質の高い中絶ケアを保証するためには、継続的な監督、質の保証、モニタリング、評価、そして必要な設備や商品の利用が必要である。
  • このガイドラインで議論されているヘルスワーカーは、そのタイプのヘルスワーカーに必要な基本的な訓練を受けていることが前提となっている(また、個人が自分自身の提供者として活動する場合、つまり自己管理の場合は、適切な情報と理解を持っていることが前提となっている)。さらに、勧告はすべて、特定の作業を行うことが推奨または示唆されているカテゴリーに属するヘルスワーカーが、その作業を行う前に、適切な作業特有の訓練と情報を受けていることを想定している。

*WHOのこのガイドラインにおける「ヘルスワーカー」は、日本の「医療従事者」より広い概念である。医師や看護師、助産師(それぞれ見習いも含む)、薬剤師などの他にも、たとえば共同体の中で活動するボランティアや薬局の(薬剤師ではない)従業員、伝統医療従事者なども含まれている。(参考:Annex 5. Health worker categories and roles)