リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国連子どもの権利委員会も日本の中絶状況や堕胎罪を問題視

忘備録

以下、
パンフレット「国連から見た日本の子どもの権利状況」から抜粋します。

⑵ リプロダクティブヘルス
 リプロダクティブヘルスとは「性と生殖に関する健康」と訳されます。これは,性や妊娠・出産に関わることについて,単に病気や障がいがないというだけではなく,身体的,精神的,社会的にも良好な状態であること,性の安全を保障されること,自分の気持ち・決定が尊重されることを意味します。
 委員会は,かねてより若者にHIV / AIDSやその他の性感染症が増加していることに懸念を示していました。政府は,学校職員等に教育手法を提供し,インターネット上でHIVに関する情報を公開していると報告していますが,今回,委員会は,思春期の子どもの間で性感染症の感染率が高まっていること,学校におけるリプロダクティブヘルスや家族計画に関するサービスや教育が限られたものでしかないことに深刻な懸念を示しています。同時に,10 代女子の妊娠中絶率が高いこと,妊娠中絶が刑事罰の対象となっていることにも懸念を示しました(パラ 34)。
 そして委員会は,思春期の子どものリプロダクティブヘルスについて包括的政策をとり,早期妊娠及び性感染症の防止に特に焦点を当て,リプロダクティブヘルスに関する教育を学校の必修カリキュラムとするよう要請しています。あわせて委員会は,妊娠しているHIV陽性の女子を対象とする治療の充実,中絶の非犯罪化の検討,安全な中絶及び中絶後の適切なケアへのアクセスを高めることも要請しています(パラ 35)。
 若者の間に増加する性感染症や十代の早期妊娠に伴う問題の予防・対策のためには,教師らへの研修の実施やインターネット上での情報提供のみでは不十分です。全ての子どもに対し,その年齢等に応じた適切かつ十分な情報を提供するため,学校におけるいわゆる性教育を充実させるとともに,性感染症,リプロダクティブヘルスに関する公的支援,とりわけ医療サービスを拡充することが必要です。

以下は、
子どもの権利条約の「一般的意見4号(2003年)子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達」からの抜粋です。

31.思春期の女子は若年婚と若年妊娠が引き起こしうる悪影響に関する情報にアクセスできるべきであり、また妊娠した女子はその権利と特定のニーズに配慮した保健サービスにアクセスできるべきである。締約国は、とくに若年妊娠と危険な中絶を理由とする思春期の女子の妊産婦有病率および死亡率を削減し、かつ自らも青少年である母親および父親の子育てを支援するための措置をとらなければならない。
 若い母親は、とくに支援が得られない環境にあっては鬱や不安に陥りやすくなり、子どもをケアする能力が阻害される可能性がある。委員会は締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。(a)セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスのためのサービスへのアクセスを確保するプログラムを策定および実施すること。このようなサービスには、家族計画、避妊手段、ならびに中絶が違法でない状況においては中絶のための安全なサービス、充分かつ包括的な産科ケアおよびカウンセリングが含まれる。(b)青少年の母親および父親を対象として、青少年が親になることへの前向きかつ支えとなる態度を促進すること。(c)自らも青少年である母親が教育を継続できるようにするための政策を策定すること。


……


37.買春やポルノグラフィーなどで性的に搾取されている青少年は、STD、HIV/AIDS、望まない妊娠、危険な中絶、暴力および心理的困窮を含む、相当の健康上のリスクにさらされている。このような青少年には、健康、自尊心および尊厳を育む環境における身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に対する権利がある(第39条)。あらゆる形態の性的搾取と関連の人身取引を禁ずる法律を制定および執行すること、国際人身取引を根絶するために他の締約国と連携すること、性的に搾取された青少年に対し、彼らが犯罪者としてではなく被害者として取り扱われるようにしながら適切な保健サービスやカウンセリング・サービスを提供することは、締約国の義務である。