リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ヨーロッパにおける医学的中絶比率と男女平等:生態学的相関研究

男女平等の進んだ国ほど手術ではなく中絶薬を使っている!?

Medical abortion ratios and gender equality in Europe: an ecological correlation study - PMC

薬による中絶(MA)は、妊娠第一期における安全で効果的な妊娠中絶法としてWHOに推奨されています。フェミニストの観点からすると、薬に頼らない、自己管理できる、解放的な方法で、中絶を求める人が外科的手術とは対照的に、中絶をよりコントロールできるようにするものです。中絶が合法であるヨーロッパの国々では、中絶の割合(手術による中絶に対する割合)は大きく異なっています。我々は、この比率は、国レベルの男女平等の次元によって部分的に説明されるかもしれないと仮定した。いくつかの国レベルの男女平等指標を用いて、ヨーロッパにおけるMA比率と男女平等の関連性を相関分析および回帰分析で評価した。また、他の要因(MA導入時期やMAが許可される妊娠週数など)の関連性も調査した。MA比率は24.4%(イタリア)~97.7%(フィンランド)であった。男女平等のレベルが高い国では、手術による中絶に比べてMAがより頻繁であった。すべての男女平等指標は、中絶比率と関連していた(例:Global Gender Gap Index corr.coeff: 0.761, p < 0.0001)。特に、経済的・政治的な男女平等の指標は、相関を促進するようであった。MAが許可される妊娠週数は、男女平等とMA比率の両方と関連していた。本研究は、経済的・政治的な女性の参加が、中絶サービスを通じて提供・使用される方法に影響を与える可能性があることを示唆している。それは、フェミニストの視点、リプロダクティブ・ヘルス政策と実践、そして男女平等、特に経済的資源と政治的代表へのアクセスという点での関連性を強調するものである。

キーワード:薬による中絶、自己管理による中絶、ジェンダー