北海道 NEWS WEB 03月16日 15時10分
旧優生保護法訴訟 札幌高裁 国に1650万円賠償命じる判決
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旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして札幌市の81歳の男性が国を訴えた裁判で、2審の札幌高等裁判所は訴えを退けた1審判決を取り消し、国に1650万円の支払いを命じました。一連の裁判で国に賠償を命じる判決は6件目です。
札幌市に住む小島喜久夫さん(81)は、およそ60年前、旧優生保護法のもとで精神障害を理由に不妊手術を強制され、憲法が保障する子どもを産み育てる自由を奪われたなどとして、5年前、国に賠償を求める訴えを起こしました。
1審はおととし1月、「法律の規定は憲法に違反するが、20年の『除斥期間』が経過し国に賠償を求める権利はすでに消滅している」として訴えを退けていました。
16日の2審の判決で札幌高等裁判所の大竹優子裁判長は、旧優生保護法について、「特定の精神疾患などを理由に『不良』とみなす、およそ許容しがたい極めて非人道的なものだ」として憲法に違反すると改めて指摘しました。
その上で、「国の施策によって助長された差別や偏見は、原告が裁判を起こすために必要な情報を得ることを阻害していた。『除斥期間』の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」と述べて、1審判決を取り消し、国に1650万円の支払いを命じました。
全国で起こされている同様の裁判では、当初は訴えを退ける判決が続きましたが、去年2月に大阪高裁が初めて訴えを認めて以降、1件を除いて国に賠償を命じる司法判断が続いていて今回が6件目で、2審の高裁段階ではすべて訴えを認めています。
いずれの裁判所も国の救済策の一時金320万円を大きく上回る額の賠償を命じていて、救済制度の見直しを求める声が高まることも予想されます。判決のあとの記者会見で、原告の小島喜久夫さん(81)は「本当にうれしくて、何を言っていいかわかりません。本当に皆さんが一生懸命、支援や応援をしてくれました。私は不幸な人間と思っていましたが、今が一番幸せです。感無量でどうしようもありません」と話していました。
また、弁護団は声明を発表し、この中で「国は自らが犯した非人道的な行為を反省し、上告を断念することを強く求める。判決は旧優生保護法の全ての被害者を救済しなければならないというメッセージでもある。引き続き全ての被害者の権利回復が実現するよう今後も全力を尽くす」としています。札幌高等裁判所の判決について厚生労働省は「国の主張が認められなかったものと認識している。今後、判決の内容を精査し関係省庁と協議したうえで適切に対応したい」とコメントしています。