リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

フランスでは中絶規制は医療の自律性によって相殺される

Roll Call, By Ariel Cohen, Posted May 16, 2024 at 7:00am

In France, abortion restrictions offset by medical autonomy - Roll Call

仮訳します。

米国がドブスの余波で産婦人科医の確保に苦慮する一方、フランスの規制はあまり懸念されていない。


写真キャプション:3月11日、フランスのセテにある病院の外で写真におさまる産婦人科医フランツ・ブースケ。彼はこの地域で中絶手術を行う唯一の医師の一人である。


文 アリエル・コーエン
2024年5月16日午前7時00分投稿


パリ-3月のある金曜日の午後、パリ市立大学の風通しの悪い教室に、医師もいれば助産師もいる17人の女性医療従事者たちが集まり、週末を利用して外科的中絶手術の方法を学んでいた。

 ソフィー・ゴドーは、20年前、フランスにおける中絶へのアクセスが、患者にとっても、医師ができることに関してもいくばくか制限されていた時代に、医療専門家向けに中絶のトレーニングを提供し始めたREVHOヘルスネットワークの実質的なリーダーである。今日、彼女の組織はフランス保健予防省から支援を受けている。

 彼女が提供するトレーニングについて、政治的な反発を受けたことがあるかと尋ねられると、ゴドーは躊躇しなかった。


 「一度もありません」と彼女は言う。「私たちはアメリカにいるわけではありませんから」。

 連邦最高裁が「ロー対ウェイド」の判決を下して以来2年近く、中絶を厳しく禁止しているアメリカの州では、産婦人科医の確保と維持にますます苦心している。しかし、3月にフランス議会が制定した法律により、選択的中絶が事実上妊娠初期に制限されているフランスでは、医学生や医療従事者は、中絶制限が自分たちの仕事に与える影響についてほとんど心配していない。

 この格差は、政府によるリプロダクティブ・ケアの制限とその課し方が、医師のケア提供能力や患者がケアを求める能力に与える影響を浮き彫りにしている。

 フランスの医学生や医療従事者数十人とのインタビューでは、緊急医療状況において、中絶や生殖医療を提供することを妨げる政治的圧力を感じていると答えた者はいなかった。

 米国とは異なり、フランスの医師は、中絶を実施することで免許を失ったり、懲役刑に直面したりするリスクはない。選択的中絶は受胎後14週、すなわち妊娠16週以降に制限されているが、フランスの医師は、女性の生命への脅威、胎児の異常、精神衛生上または社会的緊急事態を含む多くの医学的例外のために、妊娠第1期の制限を超えて中絶を提供する柔軟性を持っている。


 この自律性は、政治が産婦人科医を目指す決断に影響を与えなかったことを意味する、と彼らは言う。

 フランス北部のリール郊外で助産婦をしているジェニファー・コンスタンさんは、「私たちはとても幸運です」と付け加えた。


ドッブス後の落ち込み
 米国医科大学協会(AAMC)の分析によると、2023-24年の出願サイクルにおいて、中絶を禁止または制限している州の産婦人科研修プログラムに出願した米国の医学部の新卒業生は、中絶が合法である州に比べて少なかった。これは、2022年6月に最高裁がドッブス対ジャクソン女性保健機構判決で中絶の状況を変えて以来、2年連続で起こっていることである。

 人工妊娠中絶が完全に禁止されている14州では、産婦人科のレジデンシーに応募した医学生が前年に比べて6.7%減少した。