リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ドイツと欧州議会選挙――若者は右傾化したのか

地経学ブリーフィング No.211 2024年7月3日

イギリスでは労働党が勝利、フランスでは左派連合が勝利……の一方で、ドイツはどうなっているのか? と気になって探してみたら、こんな解説を見つけました。「ドイツと欧州議会選挙――若者は右傾化したのか」

ドイツと欧州議会選挙――若者は右傾化したのか
東京大学大学院法学政治学研究科教授 板橋 拓己


 本稿は、2024年6月に投開票された欧州議会選挙のなかでも、ドイツの選挙結果について分析する。とりわけ、日本の報道でも注目が集まった極右政党ないし右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進、および緑の党の敗北について、若者の投票行動に注目しつつ、考察したい。なお、欧州議会選挙そのものについては、鈴木均氏の論考を参照されたい。

選挙結果の概要
 まずは選挙結果の概要を確認しておこう。第1党となったのは、国政では最大野党で中道保守のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)で、29議席(得票率30%)を獲得した。AfDは前回の2019年選挙から4.9ポイント増の15.9%の票を得て2位に躍進し、議席数を9から15に増やした。ショルツ首相が所属する中道左派社会民主党SPD)は微減で得票率13.9%、14議席だった。2019年選挙で20.5%の票を獲得して躍進した緑の党は、前回から8.6ポイント喪失して得票率11.9%、議席数を21から12に落とした。国政ではSPD緑の党とともにショルツ政権を支えるリベラルの自由民主党(FDP)は5.2%で、前回と変わらず5議席だった。

 今回の欧州議会選挙における目玉のひとつは、新党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」の登場であった。BSWは、人気政治家のヴァーゲンクネヒトが左翼党から離脱して立ち上げた政党で、旧東ドイツ地域を拠点とする左派ポピュリズム政党である。社会・経済的な争点では左派に位置するが、移民・難民の受け入れには反対、ロシア・ウクライナ戦争については即時停戦を支持している。BSWにとってこの欧州議会選挙が結成後初めての大きな選挙だったが、得票率6.2%で6議席を獲得した。一方、割を食ったかたちの左翼党は2.7%で議席を5から3に減らした。

 ドイツの選挙制度としては「5%阻止条項」(比例代表で得票率が5%未満の政党には議席が与えられない)が有名だが、欧州議会選挙には適用されない。それに伴い、Volt(後述)やエコロジー民主党(ÖDP)といった環境政党など小政党7党が合わせて12議席を獲得している。

若者の投票行動――緑の党からAfDへ?
 筆者も指摘してきたことだが、現代ドイツの投票行動は世代でかなり異なる。そして、最近まで若者世代から支持を得ていたのは、緑の党とFDPであった。約2年半前の2021年9月の連邦議会選挙(総選挙)では、18歳から24歳までの年齢層で最も支持されたのは緑の党(23%)であり、次いでFDP(21%)であった。

 しかし、今回の欧州議会選挙ではまったく違う結果となった。ドイツでは今回から欧州議会選挙の選挙権年齢が18歳から16歳に引き下げられたが、AfDが、16歳から24歳の年齢層で16%を獲得し、前回の18歳から24歳の年齢層と比較して11ポイント上昇させた――もともとAfDは選挙権年齢の引き下げに反対していたので、皮肉な結果である。一方で、緑の党は24歳以下からの得票が11%にとどまった。これは前回から実に23ポイント減であり、緑の党が今回最も若者から票を失った政党となった。同じく若者から人気があると思われたFDPも7%にとどまる結果となった(とはいえ、2019年の欧州議会選挙では8%だったので、コロナ禍でロックダウンを批判して若者の票を集めた2021年の連邦議会選挙が例外だったとも言える)。
……

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欧州議会の立ち位置

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