福音主義とクリスチャン・ナショナリズム

忘備録

The Religious Right and the Abortion Myth, by Randall Balmer, 2020.5.10

Religious Landscape StudyReligionsGeographyTopics & QuestionsUser Guide: Views about abortion among Evangelical Protestants

Christianity and Abortion Rights, by Rohini Hensman(2022)
アブストラクトがあるので仮訳で紹介する。

中絶の権利をめぐる闘いは21世紀に入っても続いている。一方では、中絶を女性が自らの身体をコントロールする権利を確立するための闘いの一環と考えるフェミニストや、安全な中絶を受けられないことによる傷害や死亡を嘆く広範な有権者が、中絶の権利を求めて精力的な運動を展開してきた。他方で、さまざまな宗教原理主義者たちは、権利の拡大を阻止し、既存の権利さえ奪うよう州に圧力をかけてきた。中絶反対勢力の中でも特に目立つのは、ローマ・カトリックの権威と福音派の右派である。聖典に中絶の禁止を見出すことができない彼らは、殺人の禁止に依拠し、受精卵は人間の生命を構成するものであり、したがってその破壊は殺人に当たると主張してきた。この極端な中絶反対の立場も、聖書には何の裏付けもない。実際、カトリック教会でさえこの立場を採用したのは19世紀後半であり、福音派の間ではもっと最近のことで、女性の権利を求める闘いに対する右翼原理主義者の反発の一部であることを示唆している。進歩的キリスト教徒は、リプロダクティブ・ジャスティス（性と生殖に関する正義）のために戦っている人々のなかにいる。彼らの主張は、子供を産むことは選択の問題であるべきであり、子供の世話をする人は強制ではなく、愛によってそうすべきであるというフェミニストの立場と両立するものである。このように、リプロダクティブ・ジャスティスとは、女性が自分の身体と人生について決定する権利を確保する問題であるだけでなく、子どもたちが愛され求められる権利を確保する問題でもあるのだ。