リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アイルランドにおける中絶政策の実施:地域ケアモデルからの教訓

PLoS One. 2022; 17(5): e0264494.

Published online 2022 May 9. doi: 10.1371/journal.pone.0264494
PMCID: PMC9084516
PMID: 35533193
Abortion policy implementation in Ireland: Lessons from the community model of care

Joanna Mishtal, Conceptualization, Formal analysis, Funding acquisition, Investigation, Methodology, Project administration, Supervision, Visualization, Writing – original draft, Writing – review & editing,corresponding author 1 ,* Karli Reeves, Formal analysis, Project administration, Supervision, Visualization, Writing – review & editing, 2 Dyuti Chakravarty, Formal analysis, Investigation, Visualization, Writing – review & editing, 3 Lorraine Grimes, Formal analysis, Investigation, Visualization, Writing – review & editing, 4 Bianca Stifani, Formal analysis, Investigation, Visualization, Writing – review & editing, 5 Wendy Chavkin, Formal analysis, Visualization, Writing – review & editing, 6 Deirdre Duffy, Formal analysis, Visualization, Writing – review & editing, 7 Mary Favier, Visualization, Writing – review & editing, 8 Patricia Horgan, Visualization, Writing – review & editing, 9 Mark Murphy, Visualization, Writing – review & editing, 10 and Antonella F. Lavelanet, Conceptualization, Methodology, Supervision, Writing – review & editing 11
Jason Scott, Editor

アブストラクトを仮訳します。

背景
 2018年、アイルランド共和国では合法的な中絶の権利が大幅に拡大され、2019年1月1日からサービス提供が開始された。一般開業医による妊娠9週+6日までの薬による早期中絶の地域提供は、アイルランドの中絶政策実施の基幹を構成している。我々は、アイルランドの中絶政策実施の障壁と促進要因を検討するために、2020年から2021年にかけて調査を実施した。


方法
 対面または遠隔で行われた質的な詳細インタビュー(IDI)を用いてデータを収集した。インタビュー記録はグラウンデッド・セオリー・アプローチに従ってコード化し、分析した。


結果
 2020年5月から2021年3月にかけて、アイルランドで108件のIDI(イン・デプス・インタビュー)を収集した。(a)政府の医療行政、医療専門家、擁護団体を代表する中絶政策の策定と実施に関与した27人の主要情報提供者、(b)コミュニティ環境での中絶提供に関与した22人の医療提供者、(c)2020年に中絶サービスを求めた30人のサービス利用者。地域に根ざした中絶提供の促進要因としては、ケアモデルを開発するためのアイルランド政府と医療界の協力的なアプローチ、そして提供者に対する強力な支援体制が挙げられる。サービス利用者のためのマイオプション・ヘルプラインは、全国的な紹介モデルとして成功している。医療提供の主な障壁は、3日間の待機が義務付けられていること、プライマリーケアから病院への紹介経路が不明確または遅いこと、移民にとっての障壁、特に地方における医療提供者の不足と地理的分布がまばらであることである。

結論
 アイルランドの中絶医療へのアクセスは、2019年の政策実施以来、大幅に拡大したと結論づける。地域によるケアの提供と全国的なヘルプラインは、他の状況や国でも複製できるアイルランドの中絶政策実施の重要な特徴を構成している。完全な中絶政策の実施にはいくつかの課題が残っている。