第143回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第2号 平成10年10月1日
1回目は委員の指名だけで終わったため、ここからが初めての議論。みなさん、いろんなことを言っていて面白かったので、コピーを貼り付けておく。
なかでも福島瑞穂さんの意見、必読です。「男女平等はもっともなんだけれども、むしろ女性の人権救済されていないところを救済する、それが共生社会に関する調査会であると。もし私たちが日本の社会でともに生きようと思ったときに、多分ここにいる強者の女性たちというとちょっと張り倒されるかもしれませんが、結構恵まれて、ぎゃあぎゃあというか、ぶん殴られたら反論できるようなのはいいんです、きっと文句言うから。裁判も起こすし。ところが、そうでない、声も上げられなかったり、知識もないというか行き場もない、どうしていいかわからない、逃げられないというところを、救済といったらおかしいですけれども、どうするかというふうに考えたら、それは男女平等の問題でもあるけれども、実はより女性の人権に近いと思うんです。」
第143回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第2号 平成10年10月1日
○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
本調査会の調査テーマにつきまして、理事会等における協議の結果を御報告いたします。
本調査会に与えられました調査課題は広範囲にわたっており、調査会設置以来理事懇談会等で精力的に協議を重ねてまいりました。その結果、本調査会の当面の調査テーマとして、「男女等共生社会の構築に向けて」とすることに決定いたしましたので御報告いたします。
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○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず、今後の本調査会調査の参考に資するため、男女共同参画社会の現状について政府から説明を聴取いたします。その後、共生社会について御意見をお述べいただくわけですが、まず、各会派から意見発表を行い、次に自由討議を行っていただきます。
本調査会が取り組むべき共生社会に関する調査は広範囲にわたっており、共生社会に対しても各委員が抱くイメージも多様であると思います。調査テーマ「男女等共生社会の構築に向けて」と決定した協議においても、各委員が認識されている共生社会に対する考え方を自由にお述べいただき、今後の調査の内容をより充実したものにしていく必要があるのではないかとの意見が出されました。そのため、本日は、各委員が共生社会に対するイメージなり考え方を自由にお述べ願いたいと存じまして調査会を開かせていただきました。
それでは、まず、男女共同参画社会の現状について政府から説明を聴取いたします。内閣総理大臣官房佐藤審議官。
○政府委員(佐藤正紀君) 総理府大臣官房審議官の佐藤でございます。よろしくお願いを申し上げます。
本日は、男女共同参画社会基本法(仮称)の論点整理について発表いたしておりますので、これについて御説明をさせていただきたいと思っております。
まず、男女共同参画社会基本法(仮称)の論点整理をまとめるに至りました経緯及び公表後の論点整理に対する反響等についてまずちょっとお話ししたいと思います。
昨年の三月に男女共同参画審議会設置法が成立をいたしました。これによりまして発足いたしました男女共同参画審議会、昨年の六月に内閣総理大臣から男女共同参画社会の実現を促進するための方策に関する基本的事項について諮問を受けました。これを審議いたすために審議会の中に基本問題部会というものを設置いたしております。男女共同参画審議会の会長、慶応義塾大学教授の岩男先生でございますが、基本問題部会の部会長も兼ねておられます。
この基本問題部会におきましては、我が国の男女共同参画の状況が国際的に見て極めておくれているということについて憂慮する声が非常に強く出ておりました。我が国の国際的地位を考えまして、国際的にもこの問題への取り組み姿勢を明らかにすることが必要であるということで、基本となる法律についての検討を行う必要があるということになりました。
基本法の必要性あるいは基本法に盛り込むべき事項等について整理した報告を取りまとめましたのがお手元にお配りしております論点整理でございます。
部会といたしましては、この基本法が社会のあり方そのものにかかわるという大切なものでございますので、広く意見を募集いたしました。そういたしましたところ、地方公共団体、各種民間団体、それから個人など幅広い御意見が集まってまいりまして、全部で約三千六百件の意見が寄せられております。また、全国六カ所におきまして審議会の委員と国民との意見交換会を開催いたしまして、約二千名の方々の御参加をいただきまして、論点整理についての御説明を申し上げまして、その場でも意見を聴取いたしたところでございます。
お手元に論点整理の冊子、それからそれの概要がお配りしてございます。それと白書がお配りしてございますが、これはちょっと御参考にしていただければと思います。
きょうはこの概要の方を参考といたしまして御説明をさせていただきたいと思います。
まず、男女共同参画社会という名称につきまししてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
この論点整理の概要のところに、「男女共同参画社会基本法とは」と書いてございますが、その後段のところに米印をして注がついております。「男女共同参画社会とは」というところでございます。これは男女共同参画審議会設置法におきましてこの言葉を定義いたしておるわけでございますが、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」というのが定義となっております。
次に、「論点整理の概要」でございますが、二以下でございます。
基本法の必要性につきましては、そもそもなぜ男女共同参画社会を実現する必要があるのか、そして男女共同参画社会の形成のためにいかに基礎的条件を形成していくか。部会における問題意識に基づきまして構成されております。男女共同参画社会を実現する必要性につきましては、男女共同参画ビジョンに掲げました人権を確立することなどの五つの目標を達成するために男女共同参画社会の実現が絶対に必要であるという整理をいたしております。また、今後二十一世紀にかけて我が国に起こると考えられます少子・高齢化の進展、それから経済の成熟化、国際化、そういう経済社会環境の変化に適切に対応するためにも男女を問わず個人がその能力と個性を十分に発揮できる社会、すなわち男女共同参画社会の実現が一層緊要であると、こういうふうにいたしております。
それから二番目に、「男女共同参画社会の形成のための基礎的条件づくり」という項目をごらんいただきたいと思いますが、男女共同参画社会を実現するためには、多くの領域にわたって総合的、計画的に取り組みを行うことが必要であり、そのための手段として基本法を制定することが必要であるということをまとめております。
以下、次のページに参りますが、それでは、基本法にどういうことを盛り込んでいくべきかということでございます。
まず、総則という項目では、まず目的、男女の人権の確立を目指すこと、豊かで活力のある社会を実現する経済社会的な緊要性に対応すること、基本理念、国等の責務、施策の基本的事項等を定めること、男女共同参画社会の定義を置くことと男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することというようなことを盛り込むべきであるということでございます。
それから、基本理念といたしましては、人権を尊重すること、男女共同参画社会の形成の阻害要因を除去すること、政策・方針決定過程への男女共同参画を促進すること、それから、国際的に確立された理念の尊重と国際協力の積極的推進を行うべきであるというようなことを書いてございます。
それから、国の責務といたしましては、国は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する総合的な施策、「積極的参画促進措置を含む」と、こう書いてございます。これは意図的に女性の方を優遇するというようなものを含むわけでございますが、そういう施策を策定、実施する責務を有すること、それから国は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められるあらゆる施策の策定、実施に当たって、基本理念の反映に努める責務を有すること。
それから、地方公共団体の責務につきましては、地方公共団体は基本理念にのっとり、地域の状況に応じた総合的な施策を策定、実施する責務を有すること、地方公共団体は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められるあらゆる施策の策定、実施に当たって、基本理念を反映するように努める責務を有する。
それから、国民の責務についても書いてございまして、国民は基本理念にのっとり、男女が相互に協力し、均等に利益を享受しともに責任を担うよう努めることというようなことを書いてございます。
それから、必要な法制上または財政上の措置というところでございますが、政府は男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため、必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。
それから、年次報告でございますが、政府は毎年国会に男女共同参画の状況及び男女共同参画社会の形成の促進に関して講じた施策を報告しなければならないということを書いてございます。
それから二番目、基本的施策等でございますが、まず基本計画の策定ということを書いてございます。政府はあらかじめ審議会の意見を聞いて基本計画を策定しなければならないこと、策定後、基本計画を公表すること、計画の適宜適切な見直しを行うこと、変更する場合は策定手続を準用することということで、審議会の意見を聞くなりして定めるということにしております。
それから、意識の浸透でございますが、国及び地方公共団体は男女共同参画社会について国民の理解が深まるよう必要な施策を講ずることということを書いてございます。
それから三の推進体制でございますが、現行の男女共同参画審議会を基本法に盛り込むこととしておりますが、これにつきましては、内閣府に男女共同参画審議会が置かれるということが省庁再編基本法に定められておりますが、現在の男女共同参画審議会は同会議に発展的に継承されるものと考えられますけれども、法技術上の問題から当面は現行の男女共同参画審議会について規定を盛り込むことといたしております。
それからまた、苦情等の処理につきましては、国が適切な措置を講じなければならないと記述されておりますが、これにつきましては、個別具体的な措置について必要に応じて個別法で対処することというような議論がなされておりましたところでございます。
その他、国が国際機関、地方公共団体、民間団体等と連携することについて記述がされております。
以上が論点整理の大ざっぱな御説明でございます。この論点整理につきましては、六月に取りまとめまして各方面からの御意見をいただいておるところでございますが、九月以降、男女共同参画審議会におきましてさらに審議を今詰めておるところでございます。年内には答申をいただきたいと思っておりますが、それに基づきまして男女共同参画基本法案を来年の通常国会に提出させていただければと考えております。これにつきましては、本年二月の橋本前総理大臣の国会におきます施政方針演説、それから本年八月の小渕総理大臣の所信表明演説におきまして、次期通常国会に提出する旨を明らかにいたしておるところでございます。できるだけ早く作業を進めまして法案を提出いたしたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いをいたしたいと思っております。
以上でございます。
○会長(石井道子君) 以上で説明の聴取は終わりました。
次に、共生社会につきまして各会派から意見発表を願います。御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、自由民主党から順次御発言願います。
○清水嘉与子君 ただいま総理府の方から男女共同参画社会基本法について御説明をいただきまして、来年の通常国会に出そうというお話を伺いました。そういうときにこの参議院にこうした共生社会調査会ができるということは、大変タイムリーな話だというふうに思っております。
ところが、大変残念なことに、調査会という性格上、この法案が上がってきましてもこの調査会で審議することはできないわけでございますね。恐らく、これはどこでしょうか、総務委員会か何かになるんだろうと思いますけれども、調査会の性格上いたし方ないのかもしれませんけれども、ぜひ会長にもお願いしたいんですけれども、こういう法案化作業が進むわけでございますので、そこを横でにらみながら、必要に応じてこちらの調査も進めていただきたいというふうにまずお願いをしておきたいと思います。
それから、この男女共同参画、何かなかなかまだなじまない言葉なんですけれども、私どもが子供のころには確かに社会でも教育の機会でも、それから家庭の中でも男の子と女の子の差というのがはっきりしておりまして、私が生まれ変わったらぜひ男の子になりたいと強く思ったことを思い出します。
しかし、今考えてみますと、教育の機会にも女性が非常に恵まれ、そして能力、努力さえすればある程度社会のあらゆる分野に進出できるようになってまいりましたし、また仕事だけでなくて家事あるいは育児をすることができる、子供を産むことができる、そして第一、男性よりも長い人生を送ることができる。これは平均寿今もだんだん長くなってきているわけでございますけれども、より男性よりも長い人生を送ることができる。
いろいろ考えますと、男性よりも選択の広いバラエティーに富んだ人生を送ることができるようになってきているという意味では、大変女性はいいんじゃないかなというふうに私は思っているところでございます。特に、今の高齢女性の張り切りようを見てみますと、やっぱりかつての抑圧された時代を経験した方々にとっては今とてもすばらしい時代なんじゃないかなというふうに思うこともしばしばあるわけでございます。ここに来るまでに本当に先輩たちが大変な苦労をしたということを私たちも感謝しなければならないというふうに思っているわけでございます。
ただ、こうして女性たちにいろいろな道が開けて選択の幅も広がって、伸び伸び生活することができるようになってきたという喜びがある一方、問題は老後なんです。どうしても、一生懸命前向きに人生を生きてまいりましても、果たして女性が自分がやった努力で本当に自分の老後を迎えられるかというと、なかなかそうではない実態があるわけでございます。
今の社会保障制度、例えば年金の問題にしましても、長く同じ職場にずっといた男性の世帯ごとに設計されたような年金制度になっているわけでございます。そういう意味では、女性がささやかに働いて、勤務時間も短い、それから給料も低い、そうすると年金もわずかしかもらえない。しかし、その年金にいたしましても、仮に御主人が亡くなってしまって寡婦になってしまうと、恐らく御主人の遺族年金の方に行ってしまう人も多いし、また、不幸にして離婚でもしますれば遺族年金が全くもらえないというようなことで、生活が非常に困るというような実態があるわけでございます。
そこで、やはり女性のこれからの年金、特にこれから介護保険なんかが始まってまいりますと、介護保険が自分の努力したもので受けられるくらいのシステムを考えていかないと、女性の自立というのはないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。そういった問題について、ぜひまた調査会の中でもいろいろ勉強させていただきたいなというふうに思っているところでございます。
いろいろな社会保障制度が個人というよりも世帯単位になっているというところに特徴があるわけでございますけれども、この問題についても果たしてこれでいいのかどうかというようなことを見直していかなきゃならない部分も出てくるんじゃないか。特に今、年金の改正をこれからやるわけでございますけれども、その中での三号被保険者の問題、三号被保険者は一銭も保険料を払わないで年金をもらっているということを言われますけれども、三号被保険者になってしまうと基礎年金しかもらえないような仕組みしかないわけでございまして、二階建ての給付を受けるような仕組みもないというようないろいろな問題がございますので、そういった女性の老後の問題をこれから考えていきたい、ちょっと繰り返しになりましたけれども、そんなことを思っているところでございます。
以上でございます。
○岩永浩美君 きょう総理府から御説明いただきましたけれども、論点整理についての書類はきのうたまたまいただいたので、よく精読をさせていただきました。
来年に向けて法の制定をされるということは大変時宜を得たことだと思うし、そういう形の中でお集まりいただいている委員各位のそれぞれの体験を通して共生社会に向けた一つのあり方を議論することは、大変私はタイムリーだと思っております。
私自身も今までのみずからの体験として感じることは、特に女性の社会進出について大変著しいものがあります。私自身も社会福祉施設や組合の会長等々を仰せつかっていますが、そういう中にあって、今、共生社会として女性の人たちの社会参加を阻害しているという要因が果たしてどういうところにあるのかなと。私の関係しているそれぞれの施設等々における女性の進出は、女性の特性を生かした意義を持って、十分にその機能を果たしていただいている、そういう意味では決して不平等になっている部分はないという思いが一点します。
しかし、その反面、運営する立場からいうと、ある程度前もって欠勤するとかそういうものを言ってくれればいいけれども、突然その日の朝とかあるいは急に休まれることがやっぱり男性よりも女性の方に多い、そのことは運営上非常に困ることがあります。これはそれぞれの家庭の事情等々もあるかもしれない、その細かいことについて私自身はまだよく調べなければいけないことがありますけれども、そういう共生社会の中における仕事の分担を平等にしていく、その役割分担をしていく上において責任もそれなりに分担をしなければいけない。そういうことになってくると、どうしても女性の意識の改革も一面においては必要だと私は思っております。
だから、そういう意味でそれぞれの女性の持てる才能、そしてその特質を生かしていくもの、特に女性の社会進出に伴う子育てとか家庭の中における仕事を少し軽減化していく、そういう問題について保育所のあり方等についての環境の整備を並行して行っていかない限り、本当の社会進出というのはあり得ないのではないのか。そういうところについてもそれぞれの関係する役所が十分に、この調査会を通して協議し、提案をしていく中でそれぞれの分野における法の整備もあわせてやっていかない限り、ここで議論したことがそのまま法律に仮になったとしても、そのインフラの整備も並行してやっていく、そういうものをぜひこの場で十分に協議をしてまいりたい、そういう思いを私は強くいたしております。
そういう意味で、今回、こういう一つの調査会ができ、この場を通してそれぞれ各界のエキスパートの皆さん方にお集まりいただいて議論することは意義のあることだと思うし、私自身も皆さん方の御意見を十分お聞きして今後の法の制定に向けて意見の開陳を今後とも続けてまいりたい、そういう思いできょう出席をいたしております。よろしくお願いしたいと思います。
○末広まきこ君 女性ばかりの集まった女性議員懇とかそういうところではたびたび男女共生というのが今まで話題になってきておりました。そのときにも痛切に感じてきたんですが、女性議員ばかりで論じているのは不自然だ、ぜひ男性方の意見を聞かせていただきたい、そして男性からの意見がない限りこれは成立するものではない、女性だけが権利を主張するというのではちょっと進まないんじゃないのかということをずっと感じてまいりました。
それがきょう、男女共同参画社会基本法、仮称ですけれども、そういう形でこの調査会が開かれたということは大変感激をもって見ているところでございます。
私たちは、男女共学という出発点で生まれて教育を受けてまいりまして、男女共学という言葉には親しみがあるわけでございます。そしてまた、十数年前から社会の女性化ということがよく言われるようになりました。今度は男女共生という言葉が上がってきたわけでございますが、私は、この男女共生というのを女性の権利主張という観点だけではなくて、少子・高齢化社会という切り口でとらえる必要があると思います。
というのは、二〇〇三年に世界で高齢化率のトップランナーに日本がなるわけでございますけれども、けさの新聞だったと思いますが、世論調査しましたら、やはり老後への不安が一番大きいと。女性の方に聞いてみますと、自分が年老いることへの自分への心配もあるけれども、自分に何かあったときに自分の伴侶に家事をしてあげられない、お世話をしてあげられないという不安が高いと、そういう心配を女性はするんですね。
だから、そういうところでやっぱり今の社会構造でいいのかなと。社会の根幹である労働力という点からも見ていかなければならない。労働市場のニーズと供給のバランス等々基本的な問題が山積していると思います。とりわけ今までは男性労働者が一方的に労働負荷を負って、社会の担い手にならなきゃならないとあきらめて引っ張ってきたのでございますけれども、これからの高齢化社会で労働者数が減っていく中で限界が来ているのじゃないかと思います。新たな労働力をどこに求めるかというのが一点。
二点目に、社会福祉にかかわる費用をだれがどう負担していくのかというのが二点目。
それから三点目に、女性や高齢者が平等に扱われて積極的に仕事と家庭を両立させるためには何が必要なのかという具体的な環境整備が要ると思います。
そして最後に、冒頭述べました男性の意識ですね。二十一世紀を支えるパートナーとして女性をどう遇していくのか、そこのところだろうと思います。
ですから、この調査会の果たす役割はとても大きいし、私自身も楽しみにして皆様の御意見を聞かせていただきたいと思っております。
○仲道俊哉君 私は男女七歳にして席を同じうせずという時代に育った者でございますが、いよいよ男女共生社会というものになりまして、自分自身で真剣に勉強をしてみようと。案外家庭ではワンマンであったかもしれません。しかも男だけの七人兄弟でございますから、女性を神聖化しておった点も確かにございます。しかし、この男女共生社会ということについて私なりに勉強をしてまいりましたことの意見を述べたいと思います。
一九九五年、平成七年、国勢調査によりますと、我が国の人口は一億二千五百五十七万人、そのうち男性が六千百五十七万人、女性が六千三百九十九万人と女性の方が約二百四十二万人多いわけでございますが、大体男女の比というのが約四九%と五一%、ほぼ半数の割合で社会が構成されておるわけですから、男女がともに助け合い、慈しみ合って生活をしてこそ人間社会であろうというふうに思います。
私たち人類が誕生して既にもう一千万年の長い歳月を経ているわけですが、今改めて意識して男女共生の問題が論じられるようになったわけですが、今さらの感じがしないわけでもありません。特に二十一世紀は共生の社会と言われており、極めて重要な問題であろうと思います。男女はともに人として尊敬し、支え合い、ともに責任を担い合って生活しなければなりません。
一方の性が支配的な立場をとり、一方の性が従属的立場に置かれてはならないと思います。共生とはそれぞれの個人として対等でともに生きることだと考えておりますが、それでは、共生というのはどのように定義づけられておるのか、ちょっと辞書をひもといてみました。広辞苑によりますと、「ともに所を同じくして生活すること。別種の生物が一所に棲息し、互いに利益を得て共回生活を営むと考えられる状態。」というように書いてあります。このように共生という言葉は元来は生物学の用語でありましたが、近年は社会学や政治学、経済学で用いられるようになったようでございます。
そこで、この男女共生社会というものを生物学的に定義づけてみますと、男女を別々とし、それぞれを異種の役割にふさわしい存在と認めて、ともに協力して生きる社会というふうになるわけです。このように定義づけますと、俗に言われております性的役割分業の社会となるわけです。
そういう立場からしますと、今言われております男女共生の反対語が性別役割分業だと言われておりますが、これをどう解釈するかということに問題はなると思います。
これまでの人間社会の中で、男性は仕事、女性は家事、育児を分担するという長い歴史の性別役割分担による考え方が浸透しており、幼時からそのように育てられた人たちによって構成された社会で、男女共同参画社会にはほど遠い時代が続いてきたことは率直に認めなければならないと思います。
一方、男女平等社会の実現に向けて、女子差別撤廃条約が一九七九年に国連で採択されました。そこには、明確に男女平等達成のためには性別役割分業をなくさなくてはならない、性役割の固定化は平等の障害であるとうたわれております。
昨今、女性の高学歴や少子・高齢化社会の進行、さらに経済的自立を目指す女性が多くなっております。女性の社会進出が増加してまいったこと、これはすぐれた資質を持った女性の方も多く、今日の社会情勢の中でその能力を最大限に活用することが社会の繁栄を期する上で肝要であろうと思います。
少なくとも、当国会におきましては、男女平等の精神のもとで、優秀な女性国会議員の先生方の力で男女共生社会が実現しておるのではないかというふうに思います。男女共生社会は、男女がお互いに思いやりと尊敬の念を持って生活することから始められなければならないと思いますし、幼少のころから家庭、学校、社会において性差別をなくすとともに、人に対する思いやりの心を涵養する教育が必要であろうというように思います。
以上、私がそれなりに勉強しましたことを述べたわけですが、最後に課題として、性別役割分業は一応理解をしたわけですが、男性の持つ特質、女性の持つ特質、これをどのように表現をするのか、それとも平等の立場から否定されなければならないのか、男性の持つ特質、女性の持つ特質をこの性的役割分業の中でどのように生かしながら、どのように解釈すればよいのか。そのことが私自身の課題として残りましたことをお伝え申し上げ、意見を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○橋本聖子君 橋本聖子でございます。意見を述べさせていただきます。
この共生社会という言葉自体まだなじみの薄い言葉だと思いますが、これから二十一世紀を迎えるに当たりまして、人々がお互いを本当に尊重し合って、平等に安心して暮らしていける社会を築く必要があると私は思っております。改めて基本的な共生社会という言葉の持つ意味の深さを考える時期が来ているように思います。立場や条件が違う人々が同じ社会で生活していく上でいろんな問題が生じますけれども、その問題をしっかりと見据えて解決できる方法を探っていきたいと思っております。
男女共同参画社会に関しまして、私が参議院議員に初当選して間もなくなんですけれども、第四回の世界女性会議が北京で開催されました。その会議に私も参加させていただきまして、女性をめぐるさまざまな問題が浮き彫りにされていくことを目にいたしましたときに、日本のみならず世界じゅうで女性の問題について語り合い、私自身もこんなに多くの問題を抱えていることに驚きました。他国では同じように国によって男女差別といいますか、女性が虐待されたり習慣や風習などで、法律の整備だけでは済まされない奥の深い問題が多くあることも改めて認識いたしました。
私自身は、過去オリンピックに何回か出させていただきまして、長くスポーツ界におりまして、幸いにも周囲の方やまたコーチや家族もオリンピックというスポーツをやっている目標に向かって、女性だからというようなことで差別を受けることがなく挑戦できたのは、自分にとっては幸せだったというふうに思っているんですけれども、夢を追い続けてこられたのがよかったのではないかなというふうに思います。現在も女性選手がたくさん日本でも世界に向けて記録へ挑戦していってくれておりますけれども、共生社会という観点からスポーツ社会を見てみますと、まだまだ多くの問題があります。
男女共生という面から考えましても、スポーツ界には多くの団体や協会や連盟というものがあるんですけれども、その中で女性の役員の登用が少なく、ほんの一握りといったところなんです。女性指導者の育成の問題もあると思いますけれども、絶対数が足りないというのが非常に問題になっております。
男性と女性ではやはり肉体的に違いがありますので、女性同士といいますか同性でなければわからない問題がたくさんあります。以前に比べましても女性の参加が認められることが多くなって、やる気があれば現実にチームをつくることもできますし、試合やまた競技数もふえてきましたので、女性の指導者というものもしっかりと育成していかなければいけないのかなというふうに思っております。
実力が評価される部分が大きいものですから、日本のほかの分野の社会よりはまだ恵まれているかもしれませんけれども、外国の方に比べますと、男女共生ということでははるかに日本はまだおくれておりますし、障害者スポーツの面でも充実した施設が多くありまして、共生社会に対する認識の深さというものはまだまだ外国に学ぶところがあるというふうに思っております。
そういうような認識の深さからくるものだと思うんですけれども、すごくいいアイデアが生まれて、実現もしやすくなっていくんじゃないかなというふうに海外遠征で思いました。特に、女性が気軽にスポーツをするために育児という問題が解決されなければいけないという面で、スポーツジムにも託児所があったりコインランドリーがあったりということで、非常にすばらしいアイデアが生かされているなということを知りました。
また、余り知られていないことだとは思うんですけれども、スポーツ界で性の分類といいますと、女性か男性というのではなくて、女性か女性以外かということに正式にはなっております。大きな大会、例えばオリンピックですとかアジア大会になりますと、女性の検査というのがありまして、フェミニニティーコントロールというんですけれども、このコントロール、例えば口の中の粘膜をとったりですとか毛根で染色体等を調べたりするんですけれども、そういうようなチェックを受けて女性だという判断が下されなければ、そのカードをもらわなければオリンピックに出られないという規則がありまして、私、過去十回受けて、世界で一番女性だという証明を受けている一人でもあるんです。
そういう意味で、生物学的な性を基本にしていまして、出生時に性を間違えてしまうということもあって、理学的に心理的性が生物的性と一致しないということもあって、性転換手術に踏み切る方もいるんですけれども、本人にとって社会生活が不幸にならないように、スポーツ界でもしっかりと、別な意味の男女というものに対して認識を新たに解決していかなければいけない問題があるなということを感じました。
一般に、女性が働いたり子供を産んだりするときに大きな壁がたくさんありますけれども、同世代の女性の悩みを聞きましても、育児休暇の問題、保育園の問題、家事の分担、女性だけが我慢していては問題が解決しないところがたくさんありますので、私自身も諸先生の御意見等を聞きながら勉強させていただきたいというふうに思っております。
自由民主党の女性に関する特別委員会の委員長もさせていただいておりまして、男女共同参画社会基本法をしっかりつくり上げて、二〇〇〇年六月のアメリカでの第五回世界女性会議に向けてしっかりと法をつくり上げていかなければいけないと思っておりますので、ぜひ御指導のほどをよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○森下博之君 自民党の森下博之でございます。
私も、男女共生社会の構築という言葉は私にとっては本当に耳新しい言葉でございまして、どういうふうに理解していいのか非常に考えたところでありますが、私なりに、日本国憲法十四条に国民のすべての法のもとの平等という規定、また性別等で政治的、社会的関係において差別をしてはならないという規定から、その法の趣旨を生かすという意味で、この男女の対等の権利、また互いの義務を負担し合って真に平等な男女の共生社会の構築と、こういう調査会の中での位置づけというふうに私なりに考えたところであります。
私は高知県の出身でございますが、高知県の例を引いてまことに恐縮でありますが、高知県というところは残念ながら男尊女卑的な風潮がないとは言いにくい県でもあるわけであります。しかし、高知県には皿鉢料理という食文化が根づいております。これは中国料理に似ておりまして、大きな器にいろんな山海の珍味を男女一緒になって準備をいたしまして、子供を含めて女性、男性問わず楽しむということであります。これは、反対に男性側からいたしますと、女性に準備だけの負担を負わせないという感謝の気持ちも込められた料理というふうに私は理解をいたしておるところであります。
私は、この男女の共生社会の構築ということの前提条件としては、女性の果たしておる、また果たしてきた、また果たすであろう役割というものをやはり男性側としてきちっとそれを認めるということから始まるのではないかという思いをいたしておるところでございます。
きょう初めて佐藤審議官の方から明年の国会に基本法の提出を予定しておるということを承ったわけでありますが、当然これから女性が一層社会進出を果たすという中にありまして、ハード、ソフト両面からやっぱり支援策を国として早くできるようにその作業を急いでいただきたいという思いをいたしておるところであります。
以上でございます。
○会長(石井道子君) 次に、民主党・新緑風会の方にお願いいたします。
○小宮山洋子君 この男女共生を妨げるものというのが幾つかあるのだと思います。特に、参議院で特徴的なものがこの調査会の仕組みだと思いますので、ほかの委員会で取り上げていないようなものを取り上げることに私は意味があるのではないかと思います。
きょうは半数以上いらっしゃる男の方は聞かれると余り愉快な感じはされないかもしれませんけれども、共生を妨げるものの中の一つの大きなものが男性から女性への暴力という問題があるわけです。一九九三年のウィーンでの人権会議以降、これはもう女性の人権にかかわるものだということが国際的にも言われていまして、同じ年に女性に対する暴力撤廃宣言というものが採択されています。また、九五年、先ほど橋本委員からもお話がありました世界女性会議でも女性に対する暴力というのがとても重大な領域だということで意識されて、日本の中の、きょう総理府からも来ていらっしゃいますけれども、男女共同参画二〇〇〇年プランの中にも初めて大きな柱として、この女性に対する暴力が女性の人権を妨げて、共生を妨げるものとして取り上げるということが出てきているわけです。
ところが、基本法の方は今審議会の中でも法律化が進められていますけれども、暴力の部分についてはまだまだヒアリングの段階で、とても法律として取り組むという動きにはまだなっていないので、ぜひ先駆けてそういうものができればいいのではないかというふうに思っています。
暴力といいましても、強姦とかそういうものについては刑法が一応ございますし、それから子供への性的虐待についても今議員立法の動きがあったり、あるいはセクシュアルハラスメントなどについては均等法で不十分ながらもある程度のことがされようとしている中で、家庭内での夫とか恋人からの暴力という部分が、夫婦げんかは犬も食わないとかいろんな言い方がされまして、ほとんど見えない形になってきた。
ところが、これを捨ててはおけないということで、例えば各地で条例をつくる動きなどが出て、ここにありますのは、東京都の分厚い報告書が出ています。これはことしの三月に、これは時間をかけて、アンケート調査のほかに初めて直接ヒアリングもする形でこういうものがつくられて、都道府県でそういう条例をつくろうという動きが出ていたり、あと民間のNGOでもいろいろこういう各国の暴力防止法を研究したりしています。
例えば、ここに載っているのはイタリア、韓国、フランスなどの暴力防止法、それから家庭内暴力につきましてもニュージーランドとかイギリス、韓国もここの中から分ける形でつくっていたり、各国でこれは重要な問題だという取り組みがある中で、日本の国会の中ではまだまだこの部分はほとんどどこでもさわっていない、そういうものだと思いますので、私はここでこれが取り上げられたらいいのではないかというふうに思っております。
○高嶋良充君 私は、男女共生社会にとって一番大切なのは個人を尊重する社会をどうつくり上げるかということだろうというふうに思っています。そういう意味では、先ほど基本法の概要について説明をいただきました。これからいろいろ勉強させていただきたいというふうに思いますが、ぜひ基本理念の中に個人を尊重するという、そういう部分をやっぱりきちっと押さえていただく必要があるんではないかなというふうに思っているわけです。
先ほども、自民党の委員の方からも出ましたけれども、男は仕事、女は家庭という、こういう制度そのものが世帯を単位にした制度だ、こういうふうになっているわけですから、これを改善していこうと思えば、個人を基本にした制度への見直しを図っていくということがぜひ重要だろうなというふうに思っています。
そういう観点からいえば、賃金制度の問題もございますし、先ほどから出ています年金やあるいは健康保険といわれる部分の社会保障にかかわる個人の問題がございます。さらには、税制の問題もそうだろうというふうに思いますし、民法改正の問題も今まで議論されてきていますけれども、これらを早期にどう実現をしていくかという、そういうことが重要になってくるんではないかなというふうに思っているわけであります。
ただ、私が共生社会の調査会に参加をさせていただいたのは、男女の問題という問題だけでなしに、共生社会といえばもう一つ重要な課題があるんではないか。それは人間と自然との共生をどうするかという、ぜひそういうテーマで勉強させていただきたいなということで参加をさせていただいたんですが、当面男女共生社会ということですから、ぜひ次のテーマには環境共生都市とか環境共生の国家をどうつくり上げていくかという、そういう具体的なテーマで議論をいただけたらなというふうに思っています。
私は地方行政の出身でもございますから、この間環境共生都市というものを築いていこうということを提唱してまいりました。今までの都市づくりというのは、技術が進歩すれば都市は延命できるし、都市は救われるんだという、そういう方向が非常に強かったわけです、これは高度成長の時代ですが。最近は都市をもう使い捨てにするのはやめていこうではないか、安全で自然と人間がなるべく負荷をかけないようなそういう都市づくり、エコシティーとかあるいはエコポリス、こういうふうに言われておりますけれども、そういう都市づくりがこれから必要だということで、地方自治体もかなり努力をされてきているわけです。
ごみの問題、産業廃棄物の問題、ダイオキシンの問題、これはすべて自然との共生の中でしか解決できない問題だろう。あるいは、大規模な公共投資、公共事業というものが自然を破壊する、逆にそのことが今の経済の停滞にもつながってきているという状況のもとでは、ぜひ福祉や環境を重視した公共投資によって持続的な経済活性化を図っていくという、そういう経済的な視点も含めてこれからやっていただきたいなという御要望も申し上げて、発言とします。
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
私は、多分このきょうの第一回の調査会を開くまでに理事の皆さん方の間でいろいろ議論になったことだとは重々承知しつつ、これから三年間この調査会は取り組んでいくわけですから、あえてこのテーマ設定のあり方についていささか異議があるという意見を申し上げたいと思います。
結論から申し上げると、「男女等共生社会の構築に向けて」というテーマで男女共同参画社会の問題を論ずるのは、下手をすると間違うのではないかというふうに思っているわけです。ですから、これから三年間いろいろ調査会は積み重ねがあると思いますので、例えばその第一年次に男女共生社会の問題を考えようとするならば、むしろ男女共同参画社会とはっきり言った方がより正確ではないかというふうに思えてなりません。そういう意味で、例えばテーマの中に「男女等」という言葉が入っていますが、これは「等」という一文字で極めて幅広くなりますし極めてあいまいになります。そこのところは重々議論なさった上であえてつけられたんだと思いますけれども、やや心配をします。ぜひ再度御検討いただければというふうに思います。
なぜこんなことを申し上げるかといいますと、先ほど仲道先生もおっしゃいましたけれども、私はどうしても生物学的な用語としての共生関係というのがすぐ頭に浮かんでしまいますし、多分今でも教科書には載っているんだと思いますね、生き物の共生関係と。典型的にはアリとアリマキ、アリがアリマキを守ってあげる、アリマキが甘い排泄物を出すのでそれをアリがいただく、こういう関係のことが頭に浮かんでなりません。
もちろん、これから言葉というのは時代とともに概念が変わることはあっていいと思うんですけれども、共生関係というのは一応生物学的用語としてはきちっと確立した用語なんですね。これを無理やり今日的あるいは社会学的な用語として持ってきたところに、共生という言葉、概念にそもそもあいまいさがつきまとっているという点で非常に気になるわけで、そういう意味であえて男女共同参画社会というふうに言った方がまだ概念的には正確だろうというふうに思っているわけであります。ぜひその辺をあわせて、今後少しずつ目指していく、あるいは私たちが使っていく言葉の中身を正確にしていく作業が必要だということをまず最初に申し上げておきたいと思います。
それとあともう一点は、例えば男女共同参画社会というふうに言っても、実は男と女というのは必ずしもそう明確なものではなくて、男性として生まれながらにして男性になり切れない、あるいは女性に生まれながら女性になり切れない方たちもおいでなわけでして、そういう意味では、男と女が非常にきっぱりと分かれてあたかも明確に概念の違うような、あるいは対立関係にあるような概念としてとらえるのではなくて、むしろ私は、かなり両者の間には連続性があるというふうにとらえた方がこれからよりその関係を考えていくに当たって一つの大事な要素になるのではないかと考えていることを申し添えておきます。
以上です。
○岡崎トミ子君 政府が出されました男女共同参画二〇〇〇年プランの中には、男女共同参画社会の実現や本格的な少子・高齢社会を迎えるに当たっては、女性があらゆる場における意思決定過程に参画することが民主主義の要諦であるばかりでなく、女性の関心事項が非常に大きいということについて、必要条件であるということが書かれております。
私は、党の中で男女共同参画本部で仕事をいたしておりますので、私の男女共同参画社会というふうに言われましたときの最大の関心事は、地方議会や自治体、それから国政の政策決定の場、意思決定の場に女性がどれだけいるかということが大きな関心事になっております。
これまでの二〇〇〇年プランの中でも、やはり政策・方針決定過程への女性の参画というのが非常に大きな割合で占められているわけなんですけれども、これまでの世論調査を見てみましても、やはり国や地方自治体の政策に女性の意見が反映されていないというふうに考えている人たちが非常に多いということなわけなんです。
国、地方自治体ともに反映されていないとはっきり答えた人の割合は五割を超えておりますし、それでは望まれる議会への女性の参加はどんな順位かといいますと、やはり最初は都道府県議会で、次に市区町村議会で、その次に国会で、次が今度は弁護士、医師、専門的な職業で、次に都道府県の県庁と市区町村の役所、役場というふうに続いておりますけれども、二人に一人が男性優位の組織運営が阻害の要因というふうになっていて、なかなか女性が進出できないことの考え方の一つに男性が阻んでいるという意見が出されておりますけれども、やはり私たちそれぞれ政党の中にいる者でもこの状況はそんなに変わらないなというふうに考えることが大きいわけなんです。
現実に公的分野、私的分野を見てみましても、日本では世界の中で意思決定レベルの地位における女性比率を九五年までに三〇%にするということが提示されておりますけれども、これは国際的に見ても日本は大変おくれた状況にあるというふうに思っています。国会では女性議員の割合は、衆議院が四・八%、参議院が一七・六%、全地方議員に占める女性議員の割合は四・六%にとどまっておりますし、女性が議会に一人もいないというのは県議会レベルでは十県ありますし、やはり日本の中でも政治参加の状況は極めて不均衡な状況にあるというふうに思っております。
これは女性だけではなく、政治の参加が閉ざされております障害を持っている人やハンディを持つ人、男性もその対象とならなければならないと思いますけれども、これまで私たちが世界女性会議やあるいは国内の中での国内行動計画、さまざまな面であらゆる分野において積極政策、ポジティブアクションを導入していこうと自主的な取り組みを奨励しているわけですから、この共生社会の三年間の中にぜひ男性女性を問わずこの議論を大きくしていって、三〇%だけではない半分を目指すような、そうした日本をつくり上げていけたらいいなというふうに考えております。
○前川忠夫君 民主党の前川でございます。
私は、できるだけ自分の体験を通じて感じていることを二、三申し上げたいと思います。
実は、三年ほど前まで私は労働組合の連合の役員をやっておりまして、連合も、各構成組織はもちろんでありますが、連合本体にもできるだけ女性の役員をふやそうという努力を今しております。私は、さまざまな原体験の中で、もう三十数年前になりますが、地方の小さな組合の委員長をやっておりまして、そのときに女性の組合員から二つのことで猛烈な陳情を受けたことがあります。
一つは、結婚や出産によって退職をする場合にはお祝い金が出る、男性には出ないで女性にだけ出るということは、要するに女性は結婚したら、あるいは出産をしたら早くやめてくれということじゃないかということで猛烈な女性の組合員から抗議を受けました。私たちの先代はお祝いのつもりでという軽い考え方だったんでしょう、ところが女性に対してはかなりの批判、不満が出まして、わずか一年か二年ぐらいだったと思いますが、廃止をすることにいたしました。
それからもう一つは、労働時間短縮の動きがちょうど昭和四十年代から進みまして、御承知のように、一日の労働時間を少しずつ延ばすかわりに土曜日を休みにする、こういう仕組みで実は週休二日制というのが進んだわけです。
一日の労働時間を延ばすということは、男性の場合と違いまして女性の場合には、これは今の議論とは若干話が違うかもしれませんが、例えば家庭に帰る、あるいは子供の世話をする、例えば十五分、二十分遅くなるだけでも大変な問題なんだと。あるいは独身の女性の場合には、例えばさまざまな教養を身につけるための学校に行っている、学校の時間に間に合わなくなる、したがって反対だという猛烈な反対運動が起きまして、この点についてだけはちょっと譲れないよということで、最終的にはさまざまな方法をとりまして御了解をいただいたんです。実はもう既に、私自身の経験では、三十数年前から私の周辺ではそういう女性の主張というのがしっかりと根を張っていたということなんだろうと思うんです。
ただ、ごく最近、最近といいましてももう既に十数年たっているんですが、二つのことに実は出くわしました。
一つは、スウェーデンの労働組合を訪問いたしました。長年、組合間の交流があったものですから、知り合いになっておりましたスウェーデンの金属の書記長にどうしても会いたいので事務所にお邪魔をしましたら、今育児休暇中ですと。あしたはと言ったら、いや、六カ月間育児休暇中ですと。私どもの感覚でいいますと、金属の組織というのはスウェーデンの中でも大変大きな組織で、力のある組織でありまして、書記長というのは事実上の最高責任者なわけですね。その方が半年間も育児休暇がとれるという環境は一体どういう国なんだろうという思いがありました。その後、御承知のように日本でも育児休暇等が比較的短い間でさまざまな問題を抱えながらも一応法律として成立をして、今機能を始めているんですが、私は法律はできたけれども社会の環境は必ずしも整っていないんじゃないかという感じをいまだに実は持っております。
もう一つの体験は、私自身がつい三年前まで組織の委員長だったんですが、連合の方針等もあったものですから、中央の役員、つまり中央執行委員なんですが、役員に女性を入れようということで実は二名の特別中央執行委員という形で女性枠で入れることにいたしました。ところが、一年たち二年たちするうちにだんだんなり手がなくなってくる。
つまり、これは私自身の反省なんですが、最高の意思決定機関である中央執行委員会の場に出すためには、その女性のいわゆる支えになっていただく場といいますか組織といいますか、そういうものがないままにポストだけを与えたという反省をいたしております。結果的には二名のうち一名は職場からの選出だったんですが、月に一回の東京での会議に出てくるのに非常に職場を離れにくくなったということもありまして、もう既に十何年たっていますが、二年交代ですが、毎期毎期役員が交代をしてしまうと。いろんな問題を抱えながらも発言をしていただく時間が十分ないという思いがありました。
私が今申し上げたのは、仕組みをつくることは簡単だけれども、それをバックアップすることもまずきちっとつくらないといけない。このことをやはりしっかりと踏まえてこれからの議論に参画をしていきたい、こう思っております。
○会長(石井道子君) 次に、公明にお願いいたします。大森礼子君。
○大森礼子君 公明の大森礼子です。
まず、これは男女等共生社会と決まっておりますのでその範囲の中で、あとはどの分野に手をつけるかということですけれども、私はまずやはり政治参加のところに手をつけるべきであろうというふうに思います。男女共生社会をいろんな分野で実現するにしましても、その立法過程に女性の意見が反映されるということがその社会実現のために一番有効な手段であると考えます。
総理府のきょうの報告書を見ましても、一番最初に第一章が「政策・方針決定過程への女性の参画」、第一節が「国の政策・方針決定過程への女性の参画」、そして一番の問題点が「低い立法への女性の参画」と、こういう順序になっているわけでありまして、まさにここのところが問題であろうというふうに思います。
ですから、この問題を論ずるに当たっても、立法過程への女性の参加という点について何が障害となっているのか、この要因というものをピックアップして、それを取り除く作業に取り組むべきではないかなと思います。というのは、日本の場合、女性の投票率自体は高いのに、なぜこれだけ選ばれる側の議員が少ないのかなということが問題となるわけで、これはやっぱり真剣に考えるべきであろうと思います。
この資料の十九ページの「どの分野で女性の社会参加が進むべきか」という点の世論調査の結果でも、まず都道府県議会、市区町村議会、それから次に国会といって、立法過程への女性参加を望んでいるというのも世論の要請であります。
それから、十二ページのところに図一-二-二、「統一地方選挙における女性の候補者数及び当選者数の推移」と、こうありまして、とにかくこの図を見ましても、市区議会それから町村議会のところでは立候補者数自体も増加しており、その中で当選者数の占める割合も増加しているわけですけれども、都道府県議会のレベルになりますと立候補者数自体が伸びていない。このわずかな期限の範囲内ですけれども伸びていない。それから当選者数の割合自体も低いということになっておりまして、この原因は何かと考える必要がある。そして、これはそのまま国会でもなぜ女性議員が出にくいのかという議論にもなると思います。それは、政治教育が必要なのか、あるいは資金の問題なのか、それとも女性はそもそも政治活動に向いていないのかとか、いろんな要因について検討すべきであろうと思います。
いずれにしましても、この資料にありますように、IPUの平成十年五月十五日付の比較によりますと、女性の国会議員数ですか、百七十九カ国中百二十一位、こういうふうになっておりまして、やはりこの数字自体を変えることがまず男女等共生社会ですか、これへの第一歩を踏み出すことになるのではないかと思います。
以上です。
○会長(石井道子君) 山下栄一君。
○山下栄一君 余り時間がないんですけれども、少子化の観点からちょっとお話しさせていただきたいと思うんです。
少子化の要因の中に育児への心理的負担、また心理的不安ということが、子供を育てる、また産むことについての大きな障害になっているということが指摘されているわけですけれども、私は子育て、また人間を育てるという役割、これが心理的に負担になり、また不安になるというふうなことは大変な問題だなというふうに思います。
人間というのは学ぶことによって、また教育するという行いによって人間になると。その原点が崩れつつあるのが今の社会である。少子化の要因の中に子育てへの不安とか、また子育ての情報はどこから得るかというと育児雑誌から得るという状況になっていること、そのことをもっともっと私は大きく取り上げるというか問題にする必要があるのではないか、今そういう社会なんだというふうに思います。
私は、その背景として、世界共通のことかもわかりませんけれども、日本は特に教育という行いは学校でやるものだと、子供を育てたお父さん、お母さんがそういう気持ちが大変強い。まず子供を育てるのは自分、我々両親なんだという、そういうことが非常に薄くなってしまっているのではないか。さまざまな人類の進歩が今日まで行われてきましたけれども、原点であるべき人を育てるということ自身が非常に弱くなってしまった。この現状にもっともっと光を当てる、そういう時代を今迎えているのではないか。
二十一世紀は教育とかまた人を育てるということの役割が非常に重要な、またそういう面の知恵の結集といいますか、知恵をマニュアル化してしまったら私はだめだと思うんですけれども、人を育てることこそそれぞれの独自の個性があらわれる分野でもあると思います。もちろん知恵の継承も大事ですけれども、知恵を集める仕組みとか支援をする仕組みとかいうことが、これからますます孤立化する社会であるがゆえに、そういう遺産というものをお互いに持ち合うといいますか、継承していくことがこれから問われる時代になっていくのではないかということを感じております。
一つの問題提起として申しました。
○会長(石井道子君) 次に、日本共産党の林紀子君。
○林紀子君 日本共産党の林紀子です。
私も男女共生社会とはどういうものかというのを考えてみたわけですが、男性も女性もともに働き、家庭生活を営み、地域社会を担っていく社会、また経済効率性だけを追求する競争社会ではなくて人間らしいゆとりと豊かさを持った社会、こういう社会じゃないかというふうに考えたわけです。そして、このためには政治、経済、文化など社会のあらゆる場面で男女が平等な権利を確立することを基本に据えなければならないと思います。
政府が九六年に策定しました男女共同参画ビジョンでは「人権尊重の理念を社会に深く根づかせ、真の男女平等の達成を目指す」、こういうふうにうたわれておりますけれども、目指すだけではなくてまさに実現する社会、こういうことであるべきだと考えるわけです。
そして、そのために解決しなければならない問題というのは本当に山積していると思います。私が考えていることだけでも羅列的に申し上げましても、労働の場における賃金、待遇などの女性差別を撤廃すること、男女平等を位置づけた教育を確立すること、政策決定の場への女性の参加、健康、母性の保護、女性や少女への暴力の根絶、マスメディアにおける性の商品化や暴力の禁止、医療、福祉、年金など社会保障の充実、そして平和、国際協力等々の問題があると思うわけです。今後、この調査会におきまして現状や問題点、対策などを論議する場ができたことは大変重要なことだと考えております。
そして、各論については今後の論議になるわけですが、私はまず労働の場における男女差別について論議を深めるということを提案したいと思うわけです。
今、正規労働者さえ昇格、昇進の差別というのは大変大きく、女性の賃金は男性の六割にとどまっています。これは、先ほどお話がありましたが、年金、この額の格差へも引き継がれる問題です。また、パート労働者の七割は女性ですが、賃金や労働条件は一層ひどい状況に置かれておりまして、正規労働者並みに働きながら賃金だけは低い疑似パートなどということさえまかり通っています。
ですから、国連の女子差別撤廃委員会におきましても、賃金において日本では男女の差が厳然としてある、アジアで最も発達した国なのに女性の給料が男性よりはるかに低いのはなぜなのか、日本の均等法では事業主は違反しても罰せられないのか、こういう質問が次々と出されたということを私も読みましたけれども、これは当然のことではないかと思うわけです。
そして、来年の四月から実施される労基法女性保護規定の撤廃、また今国会で成立しました新しい裁量労働制の拡大などによって長時間労働がますます男女ともに広がりかねません。時間外労働の規制を事実上持たない男性並みの長時間労働が女性にも広がりますと、女性の健康破壊が一層進み、リプロダクティブヘルス・ライツから考えても大きな後退だと思います。また、社会からゆとりを奪い、家庭生活の維持などが困難になっていくのではないでしょうか。
今必要なのは、過労死が生まれるような過酷な男性の働き方に合わせるのではなくて、男女共通の長時間過密労働の規制です。そして、男性が家事や育児、地域社会にかかわる時間を保障するためにもこれは必要だと思うわけです。労働時間の規制ということを男女の共生の根本に貫いていくということが必要だと考えております。
また、パート労働者の権利保障も不可欠です。これからの少子・高齢化社会に向けまして、若年労働者が少なくなっていく、高齢者が増大していく、女性や高齢の労働者がますます必要となるわけですが、その際、パート労働者がもっと今以上にふえていくことが予想されます。ILOのパート労働条約で規定されているように、労働時間以外の権利は全く平等である、こういうパートについての理念を、今、日本で確立することが重要だと考えます。
また、男女がともに働き、家庭生活を営むためには、育児、介護を家庭のみで負担するのではなくて、保育所とか高齢者施設、訪問看護や訪問介護などを社会的に保障していくことがどうしても必要です。
最後に、先ほどお話もありましたが、女性や少女に対する暴力の根絶というのは、女性に対する暴力撤廃宣言が発せられて以来クローズアップされてきましたが、従軍慰安婦問題に始まり、売買春、セクハラ、援助交際など未成年の少女に対する性の商品化や暴力、そして表面には出にくいが家庭内での深刻な女性に対する暴力など、法制化も含めた規制、対策が求められている問題ではないでしょうか。
そして、国際婦人年の目標として最初から掲げられている平和の問題というのは一番根本的な問題として忘れることはできないと思います。期限を切って核兵器を廃絶する、再び戦争への道に踏み出すような動きは一切認めない、平和的な国際協力を憲法の立場に立って貫くことが必要だと思います。平和なくして平等なし、平等なくして平和なし、こういう言葉が言われておりますけれども、この言葉に立ち返りながら、今後この調査会で私も議論に加わって進めていきたいと思います。
以上です。
○会長(石井道子君) 次に、社会民主党・護憲連合の福島瑞穂君。
○福島瑞穂君 共生社会の調査会に入ることができて非常にうれしく思います。何をやってきたか、それから問題点は何か、これから何をしたいのかという三点を三分で話をしたいと思います。
弁護士としては、賃金差別や妊娠退職強要でやめた人の撤回を求める裁判、それからセクシュアルハラスメント、学校の中のセクシュアルハラスメントなどの裁判をやってきました。それから、先ほど民法改正のことを言っていただいたんですが、名前の問題で悩んでいる人の別姓を求める裁判、婚外子の差別の裁判などもやってきました。あと、アジアからの出稼ぎ女性の緊急避難所が東京にもあるんですが、NGOの団体ですが、この十一年間に二千人以上のアジアからの出稼ぎ子女が駆け込んできて、刑事告訴をしたり裁判をやったりということをやってきました。
ですから、具体的なそういういろんな裁判、事件を通して思うのは、たくさんまだ隠された問題があるということです。だから、それを解決することが本当にできれば何でもやっていきたいというふうに大変期待をしています。
問題はどこにあるかというふうに言ったら、皆さんおっしゃったんですが、私自身は、やはり男が主、女が従、その中で女の人が主人公として生きていけない日本のあらゆる制度というふうに思っています。ですから、男は主たる家計、女は従たる家計、家計補助的に潤滑油的に働くシステムがありますから、それを女性も男性もできれば働き続けることができて、しかも家庭責任が持てるような、ILO百五十六号条約を日本は批准しておりますけれども、それが実現できるように、職場と家庭と地域と教育とを、税金、年金のシステムを通じてどう変えていくかということがやはり課題です。
ですから、御主人という言葉がありますけれども、御主人と奥さん、御主人と家来という関係をやっぱりあらゆるところでなくしていく。女が一人でも生きられる、男も一人でも生きられる、でも一緒に生きられるといいねという社会をやっぱりつくりたい。日本は残念ながら、先ほど橋本さん、清水さん、いろんな方からも話がありましたけれども、女性を活用することに失敗している社会です。男の人が子供の寝顔しか見られないような働き方ももったいないと思いますし、女の人は四十歳を超えるとなかなか職がない、子供は塾で忙しいという社会をやっぱり変えたいと思っています。
何をテーマとしてやるかでは、私、実はドメスチックバイオレンスやそういういろんな暴力、セクシュアルハラスメントや強姦の事件をたくさんやってきて、やっぱりそれが女の人を黙らせているというふうに思いますので、そこの声を上げられない人たち、なかなかできない人たちをどう変えて、そこにどう手を差し伸べるかと言うとちょっと変ですけれども、そこをやっぱりどう変えていくかということを思っています。
でも、女の人が生き生きと生きることは男の人も生き生きと生きることだと思いますので、この調査会も楽しくやりたいと思います。よろしくお願いします。
○会長(石井道子君) 次に、自由党の入澤肇君。
○入澤肇君 入澤でございます。
最初に共生という名前を聞きましたときに、政治家というのは何と大胆なことをテーマにするんだなと思ったんです。長い間役人をやっていますとこういうふうなことはどちらかというと避けて通ることが多いものですから、まずその概念が不明確でありますし、それから取り上げ方いかんによっては心の痛みを伴うこともあるし、話題にすること自身が問題であるというふうなことが多々あるわけであります。
しかし、戦後、近代国家は明治以来ですけれども、弱者の保護とか権利の確立ということは日本法制の基本課題でありましたし、テーマを限定して言えばこの共生という問題について非常に議論を深めることができるんじゃないかなというふうな考え方を持っております。男女共生のことばかりが大分話題になっていますけれども、健常者と障害者の問題とか、あるいは外国人労働者と日本人の問題とか、あるいはまた宗教上の問題もあるわけですね。そのほか多々あります。それから、私が行政上で経験したことにちょっと触れますと、きょう人事院の方に来てもらいまして説明を聞きましたら、Ⅰ種いわゆる上級者の女性は一〇%の採用率、それからⅢ種は四〇%の採用率になっている、これは合格率と採用率との間に差がないということでございました。しかし、役所ではかなり女性がそういう意味では差別されていることは事実でございまして、私自身がやったことは、各局各部に女性の課長補佐のポストをつくれというふうなことをやってまいりました。これは非常に歓迎されまして、誕生日に花束なんかをもらいましたけれども。
しかし、そこまで管理職が強引にやらなければ処遇の改善は進まないということはあります。Ⅰ種の場合はこれは特別扱いされますけれども、Ⅱ種、Ⅲ種になりますとそう必ずしも各省とも特別な扱いはしない。そういう意味では、男女参画法案あるいは男女の共生ということで議論すべきことは多々あると思います。ただ、テーマの絞り方、これが具体的な措置とか立法措置を伴うというふうな場合には必要じゃないかと思います。
もう一つ、私自身の経験からしますと、こういうとらえ方のほかに、都市と農村、あるいは都市と地方の共生の問題という非常に重大な問題が実はございます。特に、現在の社会経済情勢なりを見ますと、過密と過疎の問題を同時並行的に解決しなくちゃいけないということになりますと、こういうこともどこかで触れていただけたらありがたいと思っております。
以上です。
○会長(石井道子君) 次に、改革クラブの岩瀬良三君。
○岩瀬良三君 いろいろな視点が今お話しになられました。そういう中で、ひとつ少子化社会というのを横目に見ながら、子育て関係のいろんな環境問題、こういう問題についてできるだけ目を向けていってほしい、こういうふうに私は思うわけでございます。
自分の経験ももとにしながら申し上げますと、この間の異動で、これは民間の場合だったんですけれども、家も変わらなければならない、その場合、幼児がおられるので預かってくれる保育所も探さなければならない、家は見つかったけれども今度は保育所の方がうまくいかないとか、いろいろな問題にぶつかったわけでございます。
こういう保育所の問題も今いろいろな改善がなされていることは事実ですし、幼保の問題もいろいろ検討がなされておるわけですが、まだまだこれは十分必要とするところ、欲しいところ、そういうところの施設は数はあってもなかなかまだ少ないんだろうというふうにわかるわけでございます。これがもう切実な問題で、この前当たったんですが、ようやく一つのところで預かっていただけるということで無事におさまったというような家庭もございます。
それからまた、そういう施設だけじゃなくてそういう土壌も必要なんです。私どもも、これは役所だったんですけれども、いろいろな政策立案過程に女性の方も入ってもらおうということでいろいろ話をして、教育委員会だったんですが、そこへ来てもらおうと、こういうことでやったんですが、やはり年来の要求もありますので、そういう方からいくとなかなか今のポジション、学校から離れられないというようなこともあって、思った人は、意図するところは一生懸命やってもなかなか思ったようにいかない。結局それもいろいろなその方の御不安、不安になるいろんな施設が十分でないのだろうというふうに思いますし、また周りの土壌と申しますか、それを出す土壌というのがまだそこは十分でないという点もあるのだろうと思うわけでございます。
少子社会は、これはもう私が申すまでもなく日本の将来にとって非常に大事な問題である。
それから子育てに絡んでですけれども、この間見ていましたらこういうのが、ちょっと出典がわからなくなりましたけれども、女性の高学歴化が進み賃金格差が少なくなっているため、結婚することに経済的メリットを感じなくなって未婚化、晩婚化が進んでいるというふうなことで、これはおやと思うんですね。そういう社会的にも活躍してくれる女性の方がさらに次の世代にエネルギーを残していっていただきたい、こういうことになるわけで、そういう中でもそういう方々がやっていけるということは、まだまだ社会的な育児と申しましょうか子育て、そういうものについて十分なものがないのだろうというふうに思うわけでございます。
そういう意味でいろいろ大変な問題がたくさんあるわけですけれども、一つの基本だろうというふうに思うわけでございます。以上です。
○会長(石井道子君) 以上で各会派からの意見発表は終わりました。
これより自由討議に入ります。午後四時をめどに行いたいと思います。できるだけ多くの委員が御発言できますよう、各委員の一回当たりの発言時間は一応三分前後を目安にお願いいたしたいと存じます。
御意見のある方は挙手をしていただきまして、会長の指名を受けて御発言を願います。御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、御発言のある方は挙手を願います。
○溝手顕正君 二つ申し上げたいことがあります。
一つは、仲道先生それから朝日先生、入澤先生から定義の問題がございました。私は、これは議論はごもっともですが、割り切るべきだと思っております。というのは、これはきょうお伺いしても、やっぱり女性が弱いんだということで女性が差別を受けているんだということが基本の御意見が多かったように伺っております。だから、男女共生ということは女性の立場をもっと認めることに一番近い言葉なんだろうかなというように私はきょうの議論で理解をしたと、これが一つ。ですから、余り定義にこだわらない方がいいのかなという感じがいたしました。
それからもう一つの問題点は、今法律の問題で、大森先生の方からありましたが、法律上の男女の関係というのはだんだん法律が中性化してきておりまして、男と女とを規定するような法律もなくなってきておりますが、しかしながら、今我々必要なのは、そういった中性化した法律じゃなくてやや救済的な規定とか解釈、そういう行政の方が必要なんだろうかなという思いがします。そして、こういった問題をどこのどのレベルで解決をしていくかということを考えた場合、国会のこの場で解決していくのが一番いいんだろうと。最も大胆になおかつ余り余計なことを心配せずに、特に選挙に出ている男性というのは極めて脆弱な立場があります、男女問題協議において。したがって、そのことがこういう場で議論することに対して大変いいこと、いい結果をもたらすんではないかと私は思っております。
したがいまして、今二点申し上げましたが、そういう観点でこの調査会の運営をしていけばきっといい結果が出るんではないか、そんな思いでございます。
○広中和歌子君 民主党・新緑風会の広中和歌子でございます。
男女共同参画社会基本法(仮称)について論点説明をいただきましたけれども、この基本法の必要性として、人権、社会の要請それから個人が能力と個性を発揮できる社会が望ましいんだ、そういうことで必要性を述べられたわけでございますけれども、私としては社会の要請というのが一番正直なところではないかと思います。本当に個人が能力、個性を発揮できる社会、そしてまた人権、平等ということですけれども、そういうものが現実の社会で守られているかというのは、これは男女の間の問題だけではなくて社会そのものの問題であるような気がいたします。
では、なぜ今こうした基本法が、男女共同参画型社会といったことが、しかも、もちろん私たち国民の声もございますけれども、政府主導で出てきたかというと、やはり最初佐藤審議官が御発言になりましたように、我が国は少なくとも男女平等の点において国際的におくれているという、そうしたフラストレーションというんでしょうか、外圧絡みではなかろうかなと思っているわけです。それよりも、私は、日本の国内において社会的な要請から女性にもっと活躍してもらわなければ、また男女のあり方を変えていかなければならないといった、むしろそうした社会的な中からの圧力もあるのではないか。それは必ずしも女性の立場に立ったというよりは、女性にももっと働いてもらわなければならない、税金を払ってもらわなければならない、もちろん子供を産んでもらわなければならないわけですけれども、そうしたことの中からこの男女共同参画型というのが出てきているんではないかと思います。多少皮肉な見方かもしれませんけれども、あえて議論のために申し上げます。
というのは、私もさまざまな形でウーマンリブというんでしょうか、それに触れてまいりました。子供のころイプセンの人形の家というものの講演会に出たことがありますけれども、イプセンの人形の家を読んで私の母と比べてみたときに、私の母は決して弱くもない、人形でもないというふうに感じたことをはっきり覚えております。確かに役割分担というのはございまして、母は専業主婦でしたけれども、子供の目から見て母の役割、働きというのは非常に立派なもの、大きなものだと思ったわけです。
しかし、多くの女性がその後社会に参画するという形で働きに出たということは、産業社会が女性の安い労働力、しかもフレキシブルな労働力を望んでいたからであって、百三十万円までの税控除などもまさに社会の要請であったに違いないと私は見ています。それを今、これから税制改革をすることによって女性もきっちり税金を払ってもらおうという世の中になったのは、今少子・高齢社会と言われておりますように、女性も働いてもらわなければこの少ない労働力を補えないという新たな時代が来ているからだろうと思います。
ですから、私はそれはそれで結構だと思います。女性にも働くチャンスが与えられ、そしてそれが個人として能力、個性が発揮できるという形であればいいと思いますけれども、これは男性にとりましても女性にとりましても、言うは易しくて現実には非常に難しいものだと思っております。
以上でございます。
○林芳正君 自民党の林芳正でございます。
諸先生方のいろんな御意見を聞いておりましていろいろ触発されることがあったんですが、去年の秋だったと思いますけれども、ダボス会議というのがアジアでございました。そのとき、フィリピンの男性と中国の男性とそれから韓国の女性と私、四人でパネルをやったことを思い出しました。男女の共同参画という意味で経済発展段階は一番高いのにというお話をどなたかがされましたけれども、むしろ日本と韓国が一番おくれているんじゃないかというような話がそこで出まして、いろんな数字を見ますと確かにそういうふうになっておると。ですから、むしろ経済がだんだん発展してくると男女の共同参画が進むということ以外に何か理由があるんではないかな、こういう印象を持ちました。
それできょうは、前川先生だったと思うんですけれども、我々は立法府ですから、法律や仕組みをいろいろ変えても社会の実態が追いつかないと制度が意図したところへなかなか行かないということがありまして、なるほどそういうことかな、こう思ったんですが、せっかくの調査会で、普通の委員会ではありませんから、そういう社会的、文化的、歴史的な背景が入るのかもしれませんけれども、そういうことについてもいろんな専門家の方を呼んでヒアリングをしていただきたいなというふうに思っております。
それからもう一つは、ポジティブアクションという言葉を私はきょう初めて聞きまして、アファーマティブアクションとクオータという言葉はずっと聞いておったんですが、いつの間にかポジティブアクションという言葉に変わってしまったのかなという思いで聞いておりました、多分同じような意味だと思うんですが。
まさにこれは先ほど入澤先生のお話にあったように、上司がきちっと数を決めてやらないとなかなか進まないんだということと、それから先ほどの上級職のお話で、合格した人と大体一緒ぐらいの人を採用すると。この二つの間にいろんな大きな議論がございまして、特にアメリカなんかですと男女の問題以前の人種問題でいろんな議論をやっておるものですから、その蓄積である程度類推ができる部分もあるんだと思うんですが、我が国の場合は全くそういうものがない、今まで議論をされておられないところなので、このアファーマティブアクションについてどういうふうに考えるかということについてもぜひこの調査会で議論を深めていただいたらいいなと思います。
それから三つ目は、いわゆる個人を重視するということで、これは世の中の流れなわけでありますけれども、一方でファミリーバリューという言葉がございまして、やっぱり個人が大切だということはもうわかり切ったことですから、こればかり言ってもなかなか議論にならないので、その対極概念というか、議論のために、じゃ家庭というものはどういうふうにあるべきかということを置くといろんな議論がしやすくなるんじゃないかな、こういうふうに思っております。
私は、地元で教育のフォーラムをやったときに、たしか二千何年から学校が週休二日制になりますと、主婦でPTAなんかをやっていらっしゃる方がほとんどだったんですが、そのときに猛烈に反発がありまして、土曜日学校が休みになっちゃったら私たち働きに行けなくなっちゃうじゃないかと、そのときはこんなような非常に強い反発があったわけです。
まさに個人として大変に豊かになって尊重されていくということと、あるべき家庭の姿といいますか、子供にとって特に大事だと私は思うんですが、そういう意味での議論をぜひやっていただきたいというのが三点です。
以上、雑駁でございますが、意見を述べさせていただきました。
○入澤肇君 女性の地位の向上について、私、役所にいたときの経験からしますと、労働組合というのは非常に大きな役割を果たしているわけですね。ところが、その労働組合の中も、男性の組合員と女性の組合員とではかなり意識が違う。女子は女子部をつくりまして、婦人部をつくりまして私どもにいろんな陳情をします。言い分がもっともですから実現しようとすると男子の諸君は納得しない。同じ労働組合の中でそういうふうな問題があるわけです。
ですから、私は、具体的に女性が置かれている地位とか立場につきまして、事例を挙げまして、それがどういう理由でなっているのか、それから歴史的なものなのか、今、林先生おっしゃったように、文化的な、伝統的なものなのか、そこら辺まで掘り下げて議論しまして、それに対して改善すべきものは改善するという提言をする、そういうアプローチの仕方をぜひやっていただきたい、文化人類学的な方法ですね、そういう方法をとらないとこの問題は実り多いものにならないんじゃないかという感じがしております。
○前川忠夫君 先ほど一つだけ言い忘れておりましたので、済みませんが。
私も先ほど組合の経験で申し上げたんですが、実は法律が壁になって参加させられなくなったケースが一つだけありますので参考までに申し上げますが、組合の役員に、当時は婦人部と言っておりましたが、婦人部で選出をされた部長さんを執行委員に加えるという規約をつくりまして施行したわけです。ところが、法務局に届け出をいたしましたら、労働組合法上で言う法内組合にならないからこれはだめですということで拒否をされたんです。つまり労働組合の組合員というのはすべて権利が平等でなければならない、女性に限って執行委員、役員を二回選ぶ権利を発生させることになるのでこれは違法ですということになってしまったんです。
先ほど申し上げた金属の方で二人の女性を入れる際にもこのことが一回議論になりました。扱いとしては特別中央執行委員という形式に実はしたんです。ですから、方法は幾らでもあるじゃないかという言い方と同時に、今申し上げたような、片方を特別扱いするとそのことが法律上また引っかかるというケースに一度ぶつかりまして、これからさまざまなものをつくるときにこの辺も十分考えてやらなければいけないなということを実感しましたので、改めてまたいろんな議論に参加をしたいと思います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私は、何のための男女共生かということでの問題意識をちょっと申し上げたいと思うんです。
ともすれば現実の社会の困難というのを男だけでは担い切れないということによって生まれてくる共生という議論があると思うんです。例えば、社会保障負担であるとか、先ほどありましたように税負担であるとかあるいは労働力の問題、やはりそういったものを機械的に女性に押しつけるというものであってはならないと思うし、現実の政治が若干そういう方向に動いているのではないかというふうに危惧するものなんですけれども、そういう意味では、共生というのがやはりともに今の苦悩をそのまま機械的に分かち合って生きるという意味での共生であれば、これはちょっとまずいだろうというふうに考えるものです。やはり共生社会の実現ということを通じて社会の発展ということを進めていかなければならない。
そういう点でいうと、弱者と強者がいかに生きていくか、共生していくかという点では、若年者、高齢者、障害者、健常者あるいは在日外国人の問題なんかも今後テーマとして上がってくるのではないかというふうに考えるんです。
やはり弱者の権利保護と、それから同時に、そのポジティブアクションなんかも含めた全面的な能力の発揮ということを保障することを基軸にした、先ほど問題提起を我が党からしましたように、労働政策あるいは社会保障、教育、国政全般の問題にわたってこの場で議論していくことを期待したいなというふうに考えています。
○広中和歌子君 先ほどの前川委員にちょっと御質問したいんですけれども、労働組合の中ではどうして女性枠の中で役員を選出なさろうとするんですか。それとも、なぜ男性と同じ立場で、同じ労働者であればそこから役員が出てこないんですか。それは女性の問題なんですか、組織の問題なんですか、何なんでしょうか、お伺いいたします。
○前川忠夫君 いろんな事情がそれぞれの組織にあると思います。私の経験から申し上げれば、一つには組合の役員をやることはかなりの時間的な負担になるんです。そのことが女性が参加しにくかった、これは以前の話ですよ、という条件があるんじゃないか。もちろん根っこには組合の役員に対する余り魅力を感じないという事情があったのかもしれません。
それから仕組みの上で、例えばAという職場、Bという職場あるいはCという職場からそれぞれ選出をしてきてという形であれば、それは法的には許されるんだそうです。ですから、例えば女性は女性だけの役員を選んで、男性は男性だけの役員を選んで執行部を構成するというのであれば、それはいいんだそうです。
先ほど、私が労働組合法で引っかかったというのは、組合員全員で投票をして役員を選びますね。そのほかに女性だけの、いわゆる当時は婦人部と言っていたんですが、婦人部の皆さんが選んだ部長を執行委員に同じ同格で加えたものですから、女性に限って言えば二回の役員を選ぶ権利を与えたのでこれはだめだと、こういうことで引っかかってしまったんです。そういう意味ですから。
○林紀子君 今の問題なんですが、私も、昔まだ婦人部と言っておりましたときですが、労働組合の役員をしたことがありましたので、どうして婦人部ができて婦人の役員が選ばれるのかというふうな広中議員の御質問かなと思ったんですが、それは、先ほど私も言いましたけれども、女性の労働者というのは本当に大変な事態に置かれていて、たくさん解決をしなければいけないことを持っているわけです、賃金の問題にしても。
私の例などから言いましたら、三十歳で女性は定年だったんですね。結婚したら退職しなくちゃいけない。大昔の話ですから、まだ私が若いころですから。それについては幾らなんでも余りひどいということで女性の皆さんが集まって、それで女性部というのをつくって役員を送り出して闘ったということになるのです。それは、置かれている条件から本当に一人一人の女性の、働いている人たちをみずから守りながら問題を解決していくという一つの方法としてそういうことがとられていたと思うんです。
ですから、今ここで男女の共生ということでお話をしていますけれども、置かれた立場で、それこそもう三十年ももっと前から女性は頑張ってきて、それが今実ってきているというか、到達してきているんじゃないかなということを今感じながら聞いたんです。
○仲道俊哉君 この男女共生というテーマでそれぞれ先生方の御意見が出た中で、弱い女性の立場をどうするかという、何か男女平等の意見といいますか、そういう立場の、男女共生と裏表でしょうけれども。例えば、先ほど小宮山委員の方から出ました暴力の問題とか、または裁判の問題とか、そういうのが、どうも論点が、男女平等のここでの会議なのか、それとも男女共生というともに生きるという中で、例えば先ほど出ました家庭生活ではどのようにするのか、また職場生活でどのように男女共生という立場で考えるのか、どうもそういうところを、これからでしょうけれども、論点をはっきりしないと、この調査会そのものが裏表とはいえ何かぼやけてくるんじゃないかなというような、そんな感じがいたしておるんです。
○小宮山洋子君 共生するためには基本的にはやはり平等でなければ共生ができないということなんで、裏表では私はないんじゃないか、含まれるのではないかというふうに思うんです。
先ほどの、さらにもう少し、私はもとの商売柄からすぐにデータを申し上げて申しわけないんですけれども、先ほど救済的な法律ということが溝手委員からございましたけれども、その中の一つとして、さらに先ほど言った発言にもう少し追加のことを申し上げますと、例えば家庭内での夫やパートナーからの暴力という、この東京都の調査でも何と三割ぐちいの人たちが夫から暴力を受けているんです。だから皆さんが思っていらっしゃる以上にこれは深刻な問題なんじゃないか。何度も何度も受けている人も七%ぐらいいるという実態があったり、あと、離婚で妻の側から家庭裁判所に申し立てる理由の三割が夫からの暴力なんですね。
だからそういう意味では、やはり平等の前提となる力関係なんかでのこういう問題というのは、三年間ずっとというのはなかなか皆さんいろんな御意見があるから難しいかと思いますけれども、例えばそのうちの一年間とか、どこかでこの国会の中でも私はこれはなかなか取り上げにくい問題ではあるんですけれども、今国際的ないろいろな法律への取り組みから見ましても、二〇〇〇年の次の会議を前に日本で何もしていないというのは、やっぱりちょっと国会としてはいけないのではないのかなと思いますので、重ねて発言をさせていただきました。
○仲道俊哉君 ちょっと今のを訂正します。
裏表というのは、私は男女共生社会の前提として、この男女平等という前提の上に立って男女共生社会というような意味で裏表と言ったんですが、言葉はちょっと間違っておったかもしれない、前提という意味で言ったわけです。
○溝手顕正君 再度、申しわけないんですが、私は、今回スタートで割り切ったらどうかと非常に現実的なことを申し上げたんですが、定義を言い出すと本当に切りがなくなってくるし、疑義があるのは間違いないと思います。しかし、いろんな流れの中で、いわゆる男女共生は限りなく平等という意味にとらえて割り切ってもいいんじゃないかという私個人としては意見を持っております。
今の暴力の問題ですが、私もそう思うんですが、これは法律家がどう言うか知りませんが、男は強いんですから、肉体的には。だから、けんかしたらぶん殴って勝つわけですから、肉体的にはこれは平等ではないんです、家庭内暴力に関しては。だから、それに歯どめをかけるのは当然の話なんだろうと思いますが、そういうように考えて、何かできることはほかにもあるんではないかなという思いが一つ。
それから、もう一つの点で申し上げたいのは、例の社会人類学的に見て、林先生と入澤先生の話ですが、これはちょっと、私は全面的にやると大変危険だなと思って、これは思想、信条が随分出てくる。これもなかなか大変だと思うんです。だから、全部には広げない方がいいのかなと。一部は大変興味深い背景があると思います。
○入澤肇君 私、一番最初のスピーチで申し上げましたけれども、こういう問題は非常に難しい問題だと。心の痛みを伴う問題でもあるし、話題にすることすら問題だということはちょっと言いましたけれども、確かに難しい問題。
ただ、平等といっても何が平等なのか。平等の中身は何かということまで議論しますと、具体的に職場とかあるいは社会でどういうことが行われているか。その行われていることの背景は一体何なのか、原因は何なのかということをきちんととらまえないと、例えばそういうことを改善するための措置をとると、法律を書くとしても書けないじゃないかということを言っているので、ただその間で何を選択するかというのは十分に知恵を働かせてやらなければいけないんじゃないかと私は思います。
○溝手顕正君 突っ込むと、思想、信条の問題が出てくると思います。
○福島瑞穂君 男女平等なのか女性の人権なのかとか、いろいろ意見はあると思うんですが、私は、先ほどからずっと出ていますように、男女平等と共生はもう本当に女の表裏というか前後の話だというふうに思います。逆に逆手にとって、この調査会が共生社会なわけですから、男女平等はもっともなんだけれども、むしろ女性の人権救済されていないところを救済する、それが共生社会に関する調査会であると。もし私たちが日本の社会でともに生きようと思ったときに、多分ここにいる強者の女性たちというとちょっと張り倒されるかもしれませんが、結構恵まれて、ぎゃあぎゃあというか、ぶん殴られたら反論できるようなのはいいんです、きっと文句言うから。裁判も起こすし。
ところが、そうでない、声も上げられなかったり、知識もないというか行き場もない、どうしていいかわからない、逃げられないというところを、救済といったらおかしいですけれども、どうするかというふうに考えたら、それは男女平等の問題でもあるけれども、実はより女性の人権に近いと思うんです。
そうすると、共生社会というふうに銘打ったことを逆に逆手にとると、そういう部分をどうするかというふうにスタートしてもいいんではないかというふうに思います。つまり、男女平等論議、男女平等とは何かということを労働の面から全部やると、これまたとてつもなく長い話になるので、私たちが共生したいと思うときは、やっぱり物すごく苦しんでいる人たちがいる社会は私たちにとりても実は共生ではないわけですから、男女平等、ちょっと概念的ですが、女性の人権救済ということで考えれば、そこの部分に光を当てた共生社会の調査会というのは、調査会のネーミングと一番合っているんではないかというふうに思います。
○広中和歌子君 平等の定義さえわからないというような意味でおっしゃった入澤発言は、私は大賛成でございまして、冒頭ちょっと申しましたように、例えば父と母の関係には役割分担があって、父がお金を稼ぎ母は家事をやっていたけれども、関係は平等であったというふうに少なくとも子供には見えていたわけです。
それはさておきまして、社会人類学的なアプローチでございますけれども、これもやっぱり必要なんじゃないか。先ほど前川さんに私が何か突っかかるような質問をいたしましたけれども、これはハーバード大学のマティーナ・ホーナーという社会学者が言っていることを思い出したわけなんです。普通、人間にはフィア・オブ・フェイリア、失敗への恐れというのがあって、失敗することをみんな恐れますよね。だから、逆に縮こまっちゃったりしてトライしないということがあるわけですけれども、女性にはフィア・オブ・サクセスというのがあるというんです。成功することを怖がる、そういう心理が少なくとも彼女が論文を書いた時代ぐらいまではアメリカにあったと。
日本にも恐らくあるんじゃないかと思います。例えば、労働組合の中で委員長に手を挙げたいといったときに、仲間から嫌われる、あるいはあんたは女じゃないとか、いろいろなそういう社会的な心理的な圧力がある。また、例えば国会議員に女性の候補者がなかなかいないというが、それは国会議員というレッテルが張られたときに、国会の中では認めていただいていても、社会一般に出ると、あの女は何だといったようなことを、社会が言っているかどうかは別といたしまして、少なくとも育てられ方とかその他で、そんなふうに思われているんじゃないか、疎外されるんじゃないか、嫌われているんじゃないかといったような心理が女性にはある、それをフィア・オブ・サクセスというふうに言っているんですね。男性には恐らくフィア・オブ・サクセスはなくて、むしろフィア・オブ・フェイリアが普通じゃないかと思うんでございますけれども、その理論が正しいかどうかは別として、やはり社会心理学的なアプローチというのはおもしろいと思います。
○仲道俊哉君 ちょっと、進行上で。
それぞれの委員の先生方の立場というのは、自分が過去それぞれの生活をしてきた、その立場からの、例えば福島先生、私も本を読ませていただきましたし、今のような立場でのアプローチをされておるわけですが、そうしますと、それぞれの先生方の立場でこの問題をしたときに、実際にテーマが絞れないわけです。ですから、もう少しフリートーキングをして決めるのか、それとも理事会の方ではっきり、これだけの意見が出たわけですから絞っていくのか。そうでないと、何となくぼやっとした形での調査会になりそうな気がいたしますので、一応提案をいたしたいと思います。
○会長(石井道子君) 議論も尽きないようでございますけれども、ちょうど時間になりました。自由討議はこの程度とさせていただきます。
本日は、委員の皆様の貴重な御意見を賜りまして大変ありがとうございました。ただいまの皆様方の御意見は、今後の本調査会の調査に生かしてまいりたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十九分散会
この時から「共生社会に関する調査会」は「少子高齢化・共生社会に関する調査会」に移行した。
第168回国会 参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第1号 平成19年10月5日
平成十九年十月五日(金曜日) 午後三時三十三分開会
○田名部匡省君 ただいまから少子高齢化・共生社会に関する調査会を開会いたします。 本院規則第八十条の八において準用する第八十条により、年長のゆえをもちまして