リプロな日記

中絶問題研究家~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第2回女性支援新法全国フォーラム

AIを使って要約しました

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#### **第2回 女性支援新法全国フォーラム 開会**
本フォーラムは、**「困難な問題を抱える女性の支援に関する法律(女性支援新法)」** が2023年4月に施行されたことを受け、**関係機関のネットワーク構築、社会の理解促進、女性支援の気運醸成** を目的として開催された。

#### **1. 開催概要**

  • **目的**:

- 女性相談支援センター、女性相談支援員、女性自立支援施設、民間団体等の関係者が連携を強化。
- 社会における女性支援の意義と必要性を広く認識してもらう。

  • **プログラム**:

- 1日目(午後):厚生労働省による行政説明、基調講演(山中京子氏、加子俊子氏)
- 2日目(午前):「子供のいる女性への支援」「自治体と民間団体との連携」に関する分化会(※文化会ではなく分化会)
- 2日目(午後):パネルディスカッション

#### **2. 厚生労働副大臣 二木博文 氏の挨拶**

  • **女性支援の新たな局面**

- 1956年以来、売春防止法を主な根拠として支援が行われてきたが、制度的課題が多かった。
- 2022年5月、**「女性支援新法」** が成立し、支援対象を広げ、包括的な支援を行う仕組みが整った。
- 支援においては、**行政機関と民間団体の連携・共同が不可欠**。

- 二木副大臣自身が産婦人科医として、**性暴力被害者や望まない妊娠をした女性** の支援に関わってきた経験を共有。
- **医療現場でも困難な状況に置かれる女性が多く、官民連携の支援が不可欠** であることを実感している。

  • **今後の課題**

- **「保護・更生」から「支援」への転換** により、支援のあり方が大きく変わった。
- 課題を共有し、官民の強みを生かして**より充実した支援体制の確立が必要**。
- **「困難な女性が生じない社会」づくりも重要な課題**。

#### **3. 関係者への謝辞**

  • **山中京子氏・加子俊子氏・海野たえ氏** らの尽力に敬意を表す。
  • **女性支援新法の成立に貢献した山本香苗氏** も会場に出席しているが、時間の関係で紹介のみ。
    • -

本フォーラムは、官民が連携し、女性支援の新たな枠組みを推進するための重要な場となる。**

厚生労働省社会援護局女性支援室の中村彩子室長が、第2回女性支援新法全国フォーラムにて、女性支援新法施行後の現状と今後の方向性について説明を行った。

女性支援新法の意義と課題

売春防止法からの転換により、女性の福祉向上と人権尊重が法律に明記された。
支援の質や支援者の体制整備など、まだ多くの課題が残る。
支援の現状と相談の傾向

相談件数は高止まりしており、特に暴力被害に関する相談が56%を占める。
一時保護や施設入所者数は減少傾向にあるが、専門的な支援を必要とする女性の割合は増加している。
支援の課題と新たな取り組み

施設入所に対するハードル(携帯使用不可、学校や仕事を辞めたくない等)を解消するため、**「通所型支援モデル事業」**を開始。
2025年度には、アパート等を借りて支援できるよう賃借料加算を新設予定。

「スーパービジョン整備事業」**を通じて、相談支援員が困難ケースを専門家に相談できる仕組みを整備。

支援員の待遇改善に向けた給与加算や、キャリアパスの整備を推進。
官民連携の強化

公的機関と民間団体が連携し、相談者を切れ目なく支援する仕組みを強化。

「官民共同等女性支援事業」**を立ち上げ、民間団体の支援活動を補助対象に拡大。

相談支援員の研修を官民合同で実施し、相互理解を深める。
女性支援の社会的認知向上

民間団体での相談業務経験が社会福祉士の受験資格として認められるように。
小中学校の教員免許取得に、女性自立支援施設での経験が含まれるよう改正。
今後の方向性

支援の質向上と関係者の連携強化が不可欠。
官民で役割分担を明確にし、互いに協力することが重要。
今回のフォーラムを通じ、支援のさらなる充実に向けた意見交換を期待。
最後に、厚労省の女性支援特設サイト「あなたの味方」のリニューアルについて紹介し、参加者に支援の充実への協力を呼びかけた。

大阪府立大学名誉教授・山中京子氏が「新法施行後の女性支援事業における多様化・複合化・複雑化する問題への連携共同の必要性」について講演を行った。講演は以下の内容で構成された。

1. **女性支援新法の確認**
- 法律の目的は、女性が社会生活で直面する多様な問題に対応し、人権を尊重しながら自立と安心を実現すること。
- 支援は「多様な問題に包括的に対応」することを重視し、関係機関や民間団体との連携共同が求められる。

2. **女性支援の現状と課題**
- 相談事例(若年女性、外国人女性、LGBTQ女性など)を紹介し、多様で複合的な問題を抱える女性たちへの支援の必要性を説明。
- 1人の支援者だけでは対応が困難であり、支援の「連携と共同」が不可欠。

3. **連携共同の概念とプロセス**
- 連携(情報交換)→協力(助け合い)→共同(動きを共有)→チームワーク(組織化)のプロセスで発展する。
- 各支援者が自分の専門性を明確にし、できないことを他に委ねる意識が重要。

4. **連携共同を促進する4つの機能**
- **支援者の限界認識**:自分の専門領域を知り、他の支援者と協力する姿勢を持つ。
- **目的達成機能**:支援対象者に最適な支援を提供するための目標設定。
- **知識・判断・方法の交換機能**:多職種間での情報共有の重要性。
- **協力的関係の形成維持**:信頼関係を築き、対立を避けながら協働する。

5. **具体的な連携の方法**
- **地域や関係機関に女性支援の存在を認知してもらう**:着任時の挨拶、他機関の会議への参加。
- **実際の支援における連携**:ケースの概要を説明し、役割分担を明確にした連絡。
- **支援調整会議の運営**:支援計画を立案し、進行をスムーズにするファシリテーション

6. **組織的な支援の必要性**
- 実践者のスキル向上だけでなく、組織の理解と制度的な支援が不可欠。
- 連携共同の促進には、法・制度のバックアップ、組織の理解、実践者のスキル向上が重要。

### 結論
女性支援の現場では、支援者の単独対応には限界があり、関係機関との連携が不可欠。支援をより包括的・効果的にするために、支援者同士が知識を交換し、協力的関係を築くことが求められる。法的な枠組みも整いつつある中で、実践の工夫と組織のサポートがカギとなる。

本講演では、日本PCIT研修センター長の加茂氏が、女性相談支援センターでの心理的支援とDV被害者支援について講演を行った。氏は精神科医として、DV被害女性とその子供への支援をライフワークとしており、PCIT(ペアレント・チャイルド・インタラクション・セラピー)の導入に尽力してきた。

主な内容
女性相談支援の現状と変遷

1950年代に売春防止法に基づく婦人保護事業としてスタートし、1990年代にはDV被害者支援へと重点が移行。
2000年代にはDV防止法施行により、心理的暴力が増加し、支援の多様化が進んだ。
2023年には「困難な問題を抱える女性への支援法」が施行され、より包括的な支援体制が整えられる。
DV被害者と子供の支援

相談者の多くはPTSDうつ病を抱えており、適切な診断とケアが必要。
シェルターの利用者数は多く、特に30代の母親とその子供の割合が高い。
子供の心理的支援が不足しており、DVの影響を受けた子供たちのメンタルヘルス支援が課題。
トラウマとPTSDの影響

トラウマは脳の働きに大きな影響を与え、記憶や情動調整に問題を引き起こす。
特に幼少期からの長期的なトラウマ体験(複雑性PTSD)は、対人関係や感情調整に深刻な影響を及ぼす。
適切な心理療法と支援が、回復の鍵となる。
女性支援の課題と今後の展望

被害者支援のゴールと支援者の意図がずれることが多く、継続的な支援体制の構築が必要。
子供を持つ女性への支援は、母子関係への影響を考慮し、専門的な介入(PCIT等)が求められる。
DVや虐待を世代間で連鎖させないための早期介入と支援の強化が重要。
支援者のメンタルヘルス

支援者自身も共感疲労バーンアウトに注意し、セルフケアを行うことが重要。
職場環境の改善や、支援者同士のネットワーク構築が求められる。
最後に、女性支援の重要性が強調され、支援者が適切なスキルを学び、継続的にクライアントに寄り添うことの大切さが述べられた。

### **第2回 女性支援進歩全国フォーラム(2日目・分化会① 子供のいる女性への支援)**

本フォーラムの分化会①「子供のいる女性への支援」では、DV被害を受けた女性や子供への支援の重要性が議論された。司会はPwCコンサルティングの中辻江莉香氏。会は自己紹介から始まり、パネリストにはNPO法人女性ネットさやさや共同代表理事の松本かず子氏と理事の葛西ひさ子氏が登壇した。

#### **主な議論と内容**
1. **女性と子供への支援の必要性**
- 歴史的に女性は抑圧され、自らもそれを当たり前と考えがちである。
- DV被害女性は避難後も経済的・社会的困難に直面し、特に子供も影響を受ける。
- 被害者へのバッシングが社会的に根深く、被害者自身の回復を妨げる。

2. **ジェンダー問題と社会構造**
- 日本のジェンダーギャップ指数は140か国中118位と低い。
- 教育や健康では世界的に高水準だが、意思決定の場に女性がいない。
- 歴史的には女性と子供が家族の所有物として扱われ、現在もその影響が残る。

3. **支援プログラム**
- **Bラブプログラム**:オレゴン州のプログラムを日本向けに改良し、親子で暴力の影響を理解し、自尊心を回復する。
- **DV被害女性の自立支援**:相談業務や就労支援、生活支援を提供。
- **子供支援プログラム**:ワークショップや学習支援、食事提供。
- **暴力防止ユースプログラム「チェンジ」**:若年層向けにDV予防教育。

4. **怒りのワーク**
- 怒りは大切な感情であり、適切な形で表現することが重要。
- 怒りのエネルギーを建設的に活用し、暴力以外の方法で発散することができる。
- 風船を使って怒りを可視化し、言語化して解消するワークを実施。

5. **女性と子供の関係性の回復**
- **ストップルール**:自分の意思を明確に伝え、無理な要求を断る手法。
- **ビーイングメッセージ**:「あなたはそのままで大切な存在」というメッセージを伝える。
- **アサーション(自己主張)**:自己表現をしつつ相手を尊重するコミュニケーション技術。

6. **行政と民間の連携の課題**
- 民間団体が開発した支援ツールが行政で十分に活用されていない問題。
- 新たに施行された「困難女性支援法」により、行政と民間の協力が強化されることへの期待。

#### **まとめ**

  • DV被害女性と子供への支援には、経済・心理・社会的なアプローチが必要。
  • 女性自身が主体性を取り戻し、自立できる環境を整えることが支援の目標。
  • 社会全体の意識改革と、行政と民間の連携強化が不可欠である。

本セッションは、DV被害女性の支援の現状や課題を共有し、具体的な支援方法を学ぶ貴重な機会となった。

###第2回女性支援進歩全国フォーラム2日目の「自治体と民間団体の連携」に関する分化会が開催された。本会では、国立市の吉田典文氏や大阪府立大学名誉教授の山中教子氏が登壇し、自治体と民間団体の連携強化に向けた実践的な取り組みが議論された。

#### **議論の概要**
1. **グループワーク**
- 各グループが自治体と民間団体の連携に関する現状と課題を共有。
- 課題として、人手不足、財政面の制約、情報共有の難しさ、自治体担当者の交代による継続性の問題などが指摘された。
- 企業との協力や民間団体の人材育成の必要性も議論された。

2. **国立市の事例紹介(吉田室長)**
- 国立市では、女性相談支援員を4名配置し、人権や男女共同参画の観点から支援を展開。
- NPO法人「国立夢ファーム実家」と連携し、相談支援、緊急宿泊、中長期的な自立支援を提供。
- IKEAとの協力で女性の居住支援施設を整備。
- 実家との日常的な情報共有や自治体間連携の重要性を強調。

3. **質疑応答**
- 他自治体からの支援希望者への対応や情報共有のルールについて説明。
- 相談者の満足度調査の重要性と改善策の検討。
- 地域での支援の安全性に関する懸念に対し、現在のところ大きなトラブルはないと報告。

4. **今後の取り組み**
- **短期的な課題**
- 定期的な意見交換会の開催
- 居場所の確保と周知
- 地域での研修の実施

- **長期的な課題**
- 行政と民間団体の連携強化(対等な関係の構築)
- 女性相談支援員の増員と役割の明確化
- 企業との連携強化
- 自治体内の女性支援担当部署の設置推進

本フォーラムを通じて、自治体と民間団体が連携しながら女性支援を拡充する必要性が再確認された。次のステップとして、行政と民間の連携の在り方をより具体的に検討し、政策に反映していくことが求められている。

本パネルディスカッションでは、自治体と民間団体の連携による困難を抱える女性への支援について議論が行われた。

1. パネルの概要
モデレーター:村木太郎氏(若草プロジェクト)
パネリスト:
松本かず子氏・葛西氏(NPO法人女性ネットさやさや)
吉田典文氏(国立市政策経営部)
山中京子氏(大阪府立大学名誉教授)
2. 分化会の振り返り
第1分化会

女性支援の必要性と現状について議論。特に、支援が子どもに偏り、女性支援が不十分である点を指摘。
社会の構造的な抑圧をテーマに、女性が自分の感情(特に怒り)を理解し、コントロールするためのプログラムを紹介。
行政と連携し、こうした支援がより多くの人に届く仕組みを作る必要性を強調。
第2分化会

国立市の女性支援政策が紹介され、行政と民間の協力の成功例として報告。
民間団体と協力し、短期宿泊支援・中長期の自立支援を実施。
自治体の支援枠にとらわれない施策の重要性と、継続的な財政的サポートの必要性が指摘された。
3. 官民連携の課題と対策
財政支援の確保

民間団体は資金調達が難しく、活動の持続性が課題。
行政が安定的な支援を行う必要がある。
行政の人事異動による継続性の問題

担当者が変わると連携が途切れる懸念がある。
制度や計画を明文化し、継続できる仕組みを構築すべき。
情報共有の問題

行政は公平性を理由に特定の民間団体を紹介しづらいが、適切な支援先の情報提供は可能。
支援のための同行支援の重要性が指摘された。
官民の関係性のあり方

民間が行政に「活用される」のではなく、対等な関係で協働するべき。
定期的な意見交換や連携会議の場を設けることが重要。
4. 総括
継続的な対話が鍵

自治体と民間団体の間だけでなく、自治体同士や企業とも連携を深める必要がある。
民間団体の活動を自治体の政策に組み込む努力が求められる。
企業や多様な資源の活用

企業との連携により、財政負担を軽減し、支援を拡大する可能性。
公的機関と民間の特性を活かした役割分担

行政は制度や計画の枠組みを作り、民間は個別支援に対応する。
互いの強みを活かしながら、女性や子どもへの支援を強化する。
本ディスカッションを通じて、自治体と民間団体が協力し、持続可能な支援体制を構築することの重要性が確認された。

### 本フォーラムの閉会にあたり、**海野たえ氏(お茶の水女子大学名誉教授)**が総括と今後の展望について語った。

#### **1. フォーラムの成功と意義**

  • 2日間にわたる活発な議論により、1000人以上の参加者が集まり、多くの成果が得られた。
  • 登壇者、参加者、運営スタッフ、厚生労働省の関係者に感謝を述べる。

#### **2. 現状の課題**

  • 女性支援法が施行されたばかりであり、制度の発展には長い道のりがある。
  • 自治体の首長や担当者の交代によって政策の継続性が損なわれるリスクがある。
  • 民間団体の負担が過剰であり、持続可能な支援体制を構築する必要がある。

#### **3. 海外の事例と日本の課題**

- これは男女平等が社会の基盤として確立されているため。

  • 日本は依然として自己責任論が根強く、ジェンダー政策の安定性に欠ける。
  • **女性支援法の意義を再認識し、社会全体の変革に活用することが重要**。

#### **4. フォーラムの目的**

  • **官民連携の強化と支援体制の確立**

- 連携の意義や具体的な進め方を議論。
- 特に、暴力被害の深刻さとその支援の必要性が焦点となった。

  • **自己責任論の打破と構造的課題の解決**

- 女性や子どもが直面する困難は社会的要因が大きい。
- 法を活用し、より良い支援環境を整備する必要がある。

#### **5. 旧婦人保護事業からの脱却**

  • **売春防止法に基づく支援は68年間続き、支援のあり方に影響を与えてきた**。
  • その思想が無意識に残っており、新法のもとでの支援の在り方を再考する必要がある。

#### **6. 今後の展望**

  • フォーラムは継続開催されるべき。
  • オンライン参加者の発言機会を増やし、より多様な意見交換の場を作る。
  • **「女性相談支援センター」「女性相談支援員」「女性自立支援施設」** との対話を重視し、連携を強化する。

#### **7. 女性支援法の意義**

  • **支援を閉じたものではなく、社会全体と結びつける必要がある**。
  • 支援のあり方を社会に開き、連携・共同の視点で発展させることが求められる。

#### **8. 宣言の重要性**

  • **昨年の第1回フォーラムで発表された「女性支援の充実に向けた宣言」** に立ち返ることの重要性を強調。
  • 当事者を中心に据えた支援を進めるため、継続的な改善を図る必要がある。

#### **9. 閉会の挨拶**

  • 来年の全国フォーラムでの再会とさらなる議論を期待し、閉会を宣言。
  • 参加者に事後アンケートへの協力を呼びかけ、後日配信予定のフォーラム映像について案内。
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本フォーラムは、女性支援の充実に向けた大きな一歩となった。今後も継続的な対話と改善を重ね、持続可能な支援体制の確立を目指す。