リプロな日記

日本のアボーション(中絶と流産)にまつわる諸問題を研究しています

2018年5月15日付 厚生労働省子ども家庭局母子保健課

個人輸入した海外製経口妊娠中絶薬による健康被害について(情報提供)

例のインド製中絶薬に関する情報。以下で読めます。

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20180605_shuuchiirai1.pdf

インターネットを介してインド製と表示された経口妊娠中絶薬を個人輸入し、服用した 20歳代の女性(妊婦)において、多量の出血やけいれん、腹痛の症状が生じ、医療機関に入院した事例が報告されました。現在、女性は医療機関での処置により軽快し、退院しています。

この女性が「正しい情報」を持たずに中絶薬を呑んだ結果、「多量の出血やけいれん、腹痛」など、本来であれば正常な状態なのに、慌てて受診したという可能性もありそうですね。

ミソプロストールの陣痛誘発/中絶使用

ミソプロストール(サイトテック)は潰瘍の治療薬として1973年にSearle によって開発されたという記述がいくつかの論文に出ていました。(Searle & Co. in Skokie, IL,という表記も見つけたので会社名でしょう。)

PubMedで調べたところ、タイトルにMisoprostolとInductionが初めて出てくるのが1987年(Induction of Laborは、通常は陣痛誘発のことだが、ここでは死産児の対外排出)、同じ頃から中絶薬としての可能性も考えられ始めたようで、1991年には権威ある医学誌Lancetに「ミフェプリストンとミソプロストールの組み合わせが妊娠初期の中絶に有効」だとすでに報じられています。ただしこの記事ではまだタイミングや用量について模索中であったことが分かります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1682644

EMERGENCY CONTRACEPTIVE PILLS Medical and Service Delivery Guidance

International Consortium for Emergency Contraception(ICEC)とFIGO(国際産人科連盟)が2018年に共同で出した緊急避妊薬ガイダンスです。リンクはこちら

避妊・緊急避妊関連の忘備録

Huff PostのShino Tanakaさんの記事3つです。

「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかも」。アフターピルのオンライン診療検討会で出た意見【検討会の経緯まとめ】

アフターピル「ノルレボ」、国内初のジェネリック薬が販売へ。緊急避妊薬が安く手に入るように

コンドームだけで守れる?海外では人気の最新の避妊方法とは?コンドームだけで守れる?海外では人気の最新の避妊方法とは? | ハフポスト

Shinoさんが記事の中で紹介しているSKYLAの英語の説明
www.skyla-us.com

Skylaの製品説明はこちら

SkylaとMirenaの違いに関する説明

もう一つ別のMirenaとSkylaの違いの説明

WHO 健康のための自己介入総合ガイド~性と生殖の健康と権利版

《避妊のための自己注射薬、処方箋無用の避妊薬の店頭販売も提唱》

WHOがConsolidated guideline on self-care interventions for health: sexual and reproductive health and rightsと題した新しいガイドラインの中で、セルフケアによってリプロダクティヴ・ヘルス&ライツを実現する方向性を明確に示しました。安全で確実な避妊法が手に入らない国々の女性たちの健康と権利を守ることが主目的として掲げられていますが、リプロ後進国である日本の女性たちも同様に、自らのリプロダクティヴ・ヘルスを守る権利があることを忘れてはなりません。

個人のリプロダクティヴ・ヘルス&ライツを実現するために、次の4つの原則が示されています:情報提供を受けた上での自己決定、人権とジェンダー平等の尊重、生涯にわたる健康と安寧を求めるホリスティックなアプローチ、質の高いエヴィデンスに基づく製品や介入法です。日本はそのどれも実現できているとはとても言えません。

今回のガイダンスの中には、自己注射式の避妊薬を妊娠可能なすべての年齢の女性に提供することや、処方箋なしに薬局で避妊薬を購入できるようにすることなどが新たに加えられました。

Self-care interventions for healthWHO | Self-care interventions for health


WHO Consolidated Guideline on Self-Care Interventions for Health Sexual and Reproductive Health and Rights

WHOのファクトシート:Preventing unsafe abortion(安全でない中絶を防止する)

WHOが2019年6月26日に”Preventing unsafe abortion”と題した新しいfact sheetを公開しました。

Key facts

  • Between 2010–2014, on average, 56 million induced (safe and unsafe) abortions occurred worldwide each year.
  • There were 35 induced abortions per 1000 women aged between 15–44 years.
  • 25% of all pregnancies ended in an induced abortion.
  • The rate of abortions was higher in developing regions than in developed regions.
  • Around 25 million unsafe abortions were estimated to have taken place worldwide each year, almost all in developing countries (1).
  • Among these, 8 million were carried out in the least- safe or dangerous conditions.
  • Over half of all estimated unsafe abortions globally were in Asia.
  • 3 out of 4 abortions that occurred in Africa and Latin America were unsafe.
  • The risk of dying from an unsafe abortion was the highest in Africa.
  • Each year between 4.7% – 13.2% of maternal deaths can be attributed to unsafe abortion (2).
  • Around 7 million women are admitted to hospitals every year in developing countries, as a result of unsafe abortion (3).
  • The annual cost of treating major complications from unsafe abortion is estimated at US$ 553 million (4).
  • Safe abortion must be provided or supported by a trained person using WHO recommended methods appropriate for the pregnancy duration.
  • Almost every abortion death and disability could be prevented through sexuality education, use of effective contraception, provision of safe, legal induced abortion, and timely care for complications (5).

さらに次の説明もあります(仮訳します)。

They are less safe, when done using outdated methods like sharp curettage even if the provider is trained or if women using tablets do not have access to proper information or to a trained person if they need help.
たとえ(中絶サービスの)提供者がきちんと訓練を受けていても旧式の搔爬のような方法を用いて行われる場合、あるいは女性たちが必要な時に適切な情報または訓練を受けた専門家にアクセスできないまま錠剤を用いる場合などは、安全性の劣る中絶となります。