リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

処方薬事典

コロナで産めない?

7/29 NHKおはよう日本 緊急避妊ピル

日本産婦人科医会 前田津紀夫副会長の問題発言

「日本では若い女性に対する性教育 避妊も含めて ちゃんと教育してあげられる場があまりに少ない」

「緊急避妊薬が容易に手に入りすぎてしまうと ”じゃあ次も使えばいいや”と 安易な考えに流れてしまうことを心配している」

RCOGのコロナウィルスと妊娠/中絶のガイドライン

充実した内容に納得!

https://www.rcog.org.uk/en/guidelines-research-services/guidelines/coronavirus-pregnancy/covid-19-virus-infection-and-pregnancy/
なんと53ものQ&Aがあります! 7月24日の時点で第11版!

https://www.rcog.org.uk/en/guidelines-research-services/guidelines/coronavirus-abortion/information-for-women/
こちらはQ&Aが14種類。6月3日の時点で第3版。薬による中絶をオンライン処方することは、妊娠管理よりはるかに容易だということがよく分かります。

刑法堕胎罪廃止の論拠を求めて

日弁連のサイトで見つけた文書

刑法と売春防止法等の一部削除等を求める意見書

これは使える! 前々から私も「拷問禁止条約」も使えるんじゃないかと思っていたのですが、ここにしっかり考え方が書き込まれていました。

もうひとつ見つけました。鈴木さんのCEDAWの条約に関する解説。

女性差別撤廃条約審査について

女性差別撤廃条約(CEDAW)の審査をどう読み、使っていくかが説明されています。これもとっても大事です!

日本政府は女性差別撤廃委員会から刑法堕胎罪の撤廃を何度も求められているのですが、日本政府は「胎児生命」と「女性の健康」を盾に撤廃しない態度を貫いています。しかし、その「中絶観」は搔爬を元にしているとしか考えられないため、中絶薬がすでにある現在、堕胎罪に固執して、「世界での標準的中絶医療」を導入しないこと自体が女性差別ではないのでしょうか?

安全な医療のための「働き方改革」

植山直人、佐々木司著 岩波ブックレット 2019年

オビを紹介

残業時間規制、医師には過労死ラインの2倍!?
過労によるリスクは医師ののみならず、すべての働く人にとって極めて重要な問題だ。過重労働と医療過誤の関係にも科学的メスを入れる。

オビウラを紹介

医師の連続30時間を超える労働や、夜間診療が恒常化している医療現場。医師の過重労働は、わたしたちに何をもたらすのだろうか。万人に共通する睡眠不足による悪影響をふまえたうえで、科学的に論じる。医師の働き方の改善には、医療過誤をなくすにとどまらない社会への可能性がある。未来のために、いまこそ国民的議論を求む!

東京医科大学の入試で女性の合格者数を減らすために、試験結果を操作していた問題にも言及。過酷な医師の労働環境が女性受験生への差別を生んでいるとの指摘も。

産婦人科は外科に次いで2番目に過酷な診療科なのだという指摘も、とても見逃せない……。

たった620円のブックレットですが、読み応え満載で、ぜひともお薦めします! 日本の医療問題に関わるいろんな人たちと、まさに国民的議論をしてみたい問題だと思いました。

性犯罪の保護法益及び刑法改正骨子への批判的考察

島岡まなさんの論考

性犯罪の保護法益である被害者の「身体の内密領域に対する防御権という意味での性的自己決定権」「心身の完全性」を侵害されること、すなわち、被害者の「意に反した」性行為が行われれば犯罪成立には十分

まったくその通りだと思います。前回の刑法改正で取りこぼされた配偶者間の強姦罪のこと、性交同意年齢のこと等、ジェンダーの視点で批判しています。
以下でタイトルで検索し、PDFファイルをダウンロードしてください。
慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA) - KeiO Associated Repository of Academic resources

What if medical abortion becomes the main or only method of first-trimester abortion?

Norway, New Zealand, Australia, Spain, Colombia, Brazil and Mexico各国の論者による薬による中絶に関する論文

北欧に暮らす友人が教えてくれたオープン・アクセスの論文をご紹介。What if medical abortion becomes the main or only method of first-trimester abortion? A roundtable of views

国によって、状況によって事情が異なるが、薬による中絶が不可欠だという認識は共通している。医師の既得権とどう両立していくかが日本でも課題になりそうだと思った。

ジェンダーの視点による堕胎罪の考察;フェミニズムが正義を取り戻すためには

気駕 まりさんの論考

堕胎罪のことを改めて調べていて見つけた。とても明快で切れのよい内容だし、わたし自身の根本的な立場を支えてくれる論考だと思った。なんとなく記憶にあるお名前なので、もしかして2000年代の初め、名古屋市立大学の野村直樹先生のベイトソン読書会でご一緒してないだろうか?

ジェンダーの視点による堕胎罪の考察

フェミニズムが正義を取り戻すためには : ナンシー・フレイザー『中断された正義』を読んで(書評)