リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国内未承認の中絶薬、医師以外の使用に危険性 専門家

薬の規制は必要だが医師の関与は不要

朝日新聞では医師以外が使用すると危険としているが、WHOや国際産婦人科連合などの海外の専門家たちは、中絶薬ミフェプリストン+ミソプロストールの組合せは、妊娠初期であれば中間医療職でも十分に安全に扱える薬だとしている。

日本の厚生労働省は2004年頃から「中絶薬は危険」として海外からの個人輸入を規制してきたが、通常の流産と同様に、胎盤がはがれた妊娠産物が大量の血液と共に膣から流れ出てくるので、ある程度の「大量出血」「腹部痙攣」は流産をひきおこすのだから当然のことであり、異常な事態だとは限らない。「無知」のために異常事態だと誤解して、病院に駆け込む例も相当数含まれていると考えられる。
 むやみやたらに利用者を怖がらせることで使用を踏みとどめようとするのは得策ではない。むしろ、有効性のない薬が国内に出回らないようにするとか、適切な薬をきちんと承認して安価でアクセス良く正しい情報と共に流通させていくようにすべきだ。

 もちろん現行法においてこの男性は「不同意堕胎」罪で裁かれるべきだた、そのことと「薬の危険性」は切り離して考えるべきであることを指摘しておきたい。
 以下、記事の一部を紹介する。

 女性は「産みたい」と伝えた。男は中絶を求め、断られると、中絶薬を飲ませた――。交際女性(18)をだまし、望まない中絶をさせようとしたとして、福岡市の会社員の男(21)が福岡県警に不同意堕胎未遂の疑いで逮捕された。事件に使われた中絶薬は国内未承認。専門家は、医師以外の使用の危険性を指摘する。


10代女性に妊娠中絶薬飲ませた疑い 性感染症薬と偽る
 日本では母体保護法により、経済的な理由や母体への影響などを理由に人工妊娠中絶が認められている。器具で胎児をかき出す「搔爬(そうは)法」など、医師による手術が認められているが、中絶薬は承認されていない。

 厚生労働省は、中絶薬のミフェプリストンは膣(ちつ)から大量出血するなどの副作用が報告されていると指摘。子宮外妊娠(卵管妊娠)の場合には中絶効果がなく、適切な処置がなければ卵管破裂の危険性もあると警鐘を鳴らす。

 一方、世界保健機関(WHO)は、「安全で効果的な中絶方法」の一つとして中絶薬の使用を推奨する。妊娠継続に必要な黄体ホルモンを抑制する「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させて排出させる「ミソプロストール」を併用するのが一般的だ。現在70以上の国と地域が承認し、医師の処方に基づいての利用が広がっている。

 このため、個人輸入によるトラブルも報告されている。厚労省によると、2018年には宮城県の20代女性がインターネットで入手したインド製の中絶薬を服用し、大量出血や痙攣(けいれん)などの症状を訴えるケースがあった。服用した女性の5~8%程度は大量出血などで手術が必要になるという。

規制強化しても、購入できてしまう実情
 医薬品の個人輸入をめぐって…

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地域における自殺の基礎資料

厚生労働省にあった 男女別の詳細な統計

今日、北原みのりさんのウェビナーを見ていたら、男女別の自殺数の統計を共有画面で見せてくれた。示されたグラフに「厚生労働省 地域における自殺の基礎資料」という文字を見つけて、ググってみたらあったあった……男女別の自殺数が各月ごとにまとめられている。職業や自殺の理由等々の詳細もあったが、「望まない妊娠」という項目は見られず、「健康」に入るのか、それとも「男女関係」に入るのか……。

ひとつずつzipファイルをダウンロードして開くしかないので、けっこう手間取ったけど、これでいちおう確かな資料が手に入った。

自殺の統計:地域における自殺の基礎資料(令和2年)
自殺の統計:地域における自殺の基礎資料(令和1年)

不妊治療を受けている患者数は、全体で約47万人

2006年の話です……としても、今、どれだけいるの?

中絶している人数よりずっと多いよ! どうしてこれが社会問題化してないの???

体外受精成功率 4.1%
顕微授精率 3.1%
凍結融解胚受精率 24.2%

うまくいかなかった過半数どころか大多数の女性たちは、どんなにか苦しんでいることだろう……。

不妊治療がうまくいかなかった女性がメンタル・ヘルスを崩すということは、世界では常識になっており、日本の菅政権はそこらへんを全く考えてもいないことが、大きな問題だと思う!!!

オリンピックだけでなく日本社会全体にジェンダー平等を!

法律はできてもジェンダー格差は変わらない

橋本聖子さんが森喜朗氏の後任になりました。スピード感をもって男女平等を進めていくそうですが、「男女共同参画」の方もどんどん進めてほしいものです。

法律のことを検索していたら、赤松良子さんの記事に行き当たりました。

ジェンダーギャップにまつわる主な法律の誕生
1985年 男女雇用機会均等法が成立(施行は86年)
1991年 育児休業法が成立(施行は92年)
1995年 育児休業法を育児・介護休業法に改正
1997年 改正男女雇用機会均等法が成立(施行は98年)
1999年 男女共同参画社会基本法が成立
2006年 改正男女雇用機会均等法が成立(施行は07年)
2016年 改正男女雇用機会均等法が成立(施行は17年) 
2018年 政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が成立

ジェンダーギャップ解消へわたしたちができること

女性の政治家が少ない社会は偏っています。一言でいえば「女が損をする社会」になっている。損するのが好きな人はいないけど、損をしていることが分からない人はいっぱいいる。

aria.nikkei.com

このシリーズの最初の記事はこちらです。
J-Win理事長 「男性ネットワークの壁」を明るみに (1/4):日経ARIA

法律だけ作っても実態が変わらなければどうにもならない。男女の賃金格差もまだまだ大きい。

女性の賃金(2020年11月版)|定点観測 日本の働き方|リクルートワークス研究所

まずは知ることから。知らせることから。