The Irish Times, Marie O’Halloran, Wed Dec 17 2025 - 22:15
2018年に中絶が合法化されたアイルランドで、今度は「アクセスの条件」をめぐる政治的攻防が浮き彫りになった。2025年12月、人工妊娠中絶の3日間待機期間を廃止する法案の復活は、下院でわずか2票差で否決された。中絶はすでに合法だが、その利用条件をめぐるせめぎ合いは、いまも議会の内部で続いている。
記事を要約します。
2025年12月、アイルランド下院(Dáil)は、人工妊娠中絶の「3日間待機期間」を廃止する法案を議事日程に復活させるかどうかをめぐり、73対71という僅差で否決した。法案自体は前議会で第二読会まで通過していたが、総選挙に伴う議会解散で失効し、改めて審議を再開するためには復活決議が必要だった。今回の採決では政府与党に自由投票が認められ、保健相を含む複数の閣僚が賛成に回ったにもかかわらず、結果は否決となった。
この出来事が示しているのは、中絶がすでに合法であるか否かという段階を超え、「アクセスの条件」をめぐる政治的攻防が続いている現実である。3日間待機期間は、医学的必要性というよりも象徴的・道徳的配慮として導入されてきた措置であり、その撤廃は国際的にも合理的な改革と位置づけられてきた。それでもなお、議会では極めて僅差の判断しか得られなかった。
2018年の国民投票で憲法上の中絶禁止が撤廃された後も、制度は自動的に「完成」したわけではない。今回の否決は、中絶が人権として再定義された後も、その具体的な実装は常に政治的に不安定であり続けることを改めて示している。バックラッシュは街頭だけでなく、議会の採決という制度の内部で起きている。合法化は終点ではなく、アクセスをめぐる継続的な交渉の出発点にすぎない。