リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶

つい最近出たばかりのWHOの『安全な中絶;医療制度のための技術&政策ガイダンス 第二版(Safe Abortion: technical and policy guidance for health systems, 2nd edition)』の『エグゼクティヴ・サマリー(最重要事項の要旨)』の一番最初のボックス(まとめ)に、次のように書いてあります。 (もちろん、英語なので以下は私の訳です。)

吸引中絶法は、妊娠12〜14週までの外科的中絶において推奨される方法である。慣例的に、掻爬でこの処理を完了してはならない。拡張掻爬法(D&C)は、もし今も使用されているとすれば、真空吸引法に置き換えるべきである。

2003年のWHOの『安全な中絶(第一版)』以上に、D&Cへの問題意識が明確に示されています。端的に言えば、D&Cの方が吸引法よりも危険で、痛みも大きいからだそうです。

でも私たちの調査で明らかになったとおり(昨年の学会報告朝日新聞の記事)残念ながら、今現在も中絶手術の8割において、D&Cが用いられているというのが日本の現状です。他の先進国ではありえない事態が今も続いているのです・・・。

どうして、自分のせいというよりも、どちらかといえば社会制度のためや、相手の男性の都合で、「中絶に追い込まれている」女性たちが、より危険にさらされ、より痛みに苦しむ方法が使われているのか??? 疑問でなりません。

日本の中絶医療―――より安全で、より人道的なものに変わるべきではないでしょうか?