リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「日本の中絶方法「安全」…厚労省研究班が調査」

本日付ヨミドクターより。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=98058

 12週未満に行う初期中絶を見ると、膣から器具を入れて行うが、胎児をかき出す「掻爬法」(33%)、吸い取る「吸引法」(20%)、両方使う「併用法」(47%)と分かれた。WHOは初期の手術では吸引法を推奨している。

私は長年,日本の産婦人科が妊娠中絶においてWHOの推奨方法を用いていないことを指摘してきましたし,上記の結果は私たちの行った調査結果と酷似しています。

やはり8割は今も掻爬を使用しているというのが実態なのでしょう。

なお,この報告書では,英米に比べて事故率が高いわけではないので安全という見方をしているようですが,英米では中絶のメンタルヘルス・ケアが充実しており,一方の日本の中絶医療は「こころの健康」が軽視されており,その意味で別の「危険」があるということを見落としています。

中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ』(勁草書房)にも書きましたが,日本は女性差別撤廃条約委員会からも,女性のメンタルヘルスをもっと重視すべきだと勧告を受けています。女性の心の健康の軽視は人権侵害です。

追記:私たちの調査結果のリンク先を変えました。