リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「赤ちゃんの死」に直面した母親たちの悲しみ――心の痛みに寄り添うケアの現場

「社会から認められない死」になっている

日本産科婦人科学会は、妊娠22週未満で妊娠が終わることを「流産」、22週以降を「死産」としている。同学会によると、妊娠の15%前後が流産するといわれており、そのうち12週未満の早期流産が9割を占める。厚生労働省の実態調査では、妊娠を経験した女性のうち約4割が流産したことがあるという結果もある。

法令上は妊娠12週以降に亡くなった胎児の出産を死産と言い、死産届が必要となる。2017年の死産数は2万358件、この年までの10年間で累計24万件を超える。生後1年未満の死亡である乳児死亡は年間1761件だった。


聖路加国際大学大学院(東京都・中央区看護学研究科教授・研究科長で、医療者や当事者らでつくる聖路加国際大学ペリネイタル・ロス研究会の設立メンバーである堀内成子さんは、こう指摘する。

「非常に多くの女性が赤ちゃんを亡くす経験をしています。しかし、生まれる前後に亡くなった子どもの死は、ほとんど語られることがありません。ほんのわずかしかこの社会にいないので、『社会から認められない死』になっています」

news.yahoo.co.jp

フランスの中絶事情

中絶あれこれ 中島さおり 2014.07.27

LOVE PIECE CLUBのサイトを眺めていたら、中島さおりさんによる次の文章に行き当たった。

中絶あれこれ

5年前の文章で、中絶ピルの使える期間にはいまや大きな違いがあるけれど(フランスでどうかは知らないけれども)、それ以外は今も何も変わっていない(残念なことにと言うべきか……)。

それ以上に、次の指摘、重要だと思うのでシェアしておきます。

 フランスでは中絶のことをIVG(Interruption volontaire de grossesse)言うが、これを忠実に訳すと「自由意志による妊娠中絶」になる。日本の「人工妊娠中絶」という表現と明らかに違うのは、「自由意志による」という部分だ。女性が自分の意志で自分の体のことを決めるという「自己決定権」が、この言葉のなかにすでに織り込まれているのである。テクニカルな面しか反映しない「人工妊娠中絶」にはそれがまったく存在しない。

10月20日に金沢で、憲法学者稲葉実香先生を迎えて、性と健康を考える専門家の会避妊・中絶ケアプロジェクトの第四回ワークショップ「非犯罪化から権利へ――フランスの妊娠中絶法制」を開きます。リプロに関する女性の権利意識がとても高いフランスで、妊娠や中絶がどう考えられてきたのか、一緒に学びましょう!

詳しくはまた情報を更新するので、時々、チェックしてね!

オンライン診療後に「薬剤師の目の前で服用」のナゾ

緊急避妊薬を必要とする人に心理的負担

この記事の秀逸なところにアンダーラインを引いておく。

 緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、避妊なしの性交、経口避妊薬の服用忘れ、避妊具の不適切な装着や破損、性的暴力を受けた際などに、緊急避難的に用いる。我が国で承認されている緊急避妊薬は、性交後72時間以内の服用が必要で、迅速な対応が鍵となることから、オンライン診療での処方が認められたのだ。性的暴力を受けた女性にとって対面受診のハードルは高く、オンライン診療によって、そのハードルを下げ、望まない妊娠を防ぐ目的もある。

 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


medical.nikkeibp.co.jp

オンライン診療後に「薬剤師の目の前で服用」のナゾ

緊急避妊薬を必要とする人に心理的負担

この記事の秀逸なところにアンダーラインを引いておく。

 緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、避妊なしの性交、経口避妊薬の服用忘れ、避妊具の不適切な装着や破損、性的暴力を受けた際などに、緊急避難的に用いる。我が国で承認されている緊急避妊薬は、性交後72時間以内の服用が必要で、迅速な対応が鍵となることから、オンライン診療での処方が認められたのだ。性的暴力を受けた女性にとって対面受診のハードルは高く、オンライン診療によって、そのハードルを下げ、望まない妊娠を防ぐ目的もある。

 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


medical.nikkeibp.co.jp

オンライン診療後に「薬剤師の目の前で服用」のナゾ

緊急避妊薬を必要とする人に心理的負担

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 緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、避妊なしの性交、経口避妊薬の服用忘れ、避妊具の不適切な装着や破損、性的暴力を受けた際などに、緊急避難的に用いる。我が国で承認されている緊急避妊薬は、性交後72時間以内の服用が必要で、迅速な対応が鍵となることから、オンライン診療での処方が認められたのだ。性的暴力を受けた女性にとって対面受診のハードルは高く、オンライン診療によって、そのハードルを下げ、望まない妊娠を防ぐ目的もある。

 しかし、薬の交付はオンラインではできない。また、転売を防ぐ仕組みも必要だ。そこで緊急避妊薬は、オンライン診療を行った医師によって処方された院外処方箋に基づいて薬局が交付し、「薬剤師の面前で内服する」という条件が付けられた。その際、避妊の成否などを確認するため、約3週間後に確実に受診(対面)するよう、指導することも盛り込まれた。なお、対応するのは「研修を受けた薬剤師」とされている。

 こうした条件を見ると、受診のハードルが下がったとは、とても思えない。そもそも、性的暴力を受けて、医師の対面診療を受けたくないと感じている女性が、薬剤師の目の前で服薬するのは困難ではないだろうか厚生労働省の統計によると、人工妊娠中絶は2017年度で16万4000件に上る。同指針に示されたスキームでこの数が減らせるのであれば、喜んで貢献したい。しかし、この話はオンライン診療で緊急避妊薬の処方を可能にするための、苦肉の策のように思える。


medical.nikkeibp.co.jp

国際セーフアボーションデー

世界のすみずみに(日本にも)安全な中絶を!

9月28日は国際セーフアボーションデー(国際安全な中絶デー)です。

産科医の早乙女智子さん、フェミニストライターの北原みのりさん、中絶研究者のわたし塚原久美の3人で、昨日、この国際的キャンペーンの一角として、京都でトークイベントを行いました。

なくそう、アボハラ

非公式のビデオ記録はこちらにあります。

当日配信予定だったのが、技術的トラブルでシェアできなかった福田和子さんのビデオメッセージはこちらです。

2019年国際セーフアボーションデーに向けた国連のコメントはこちらです。

全世界で85カ国、400イベント、1220万人が、この国際セーフアボーションデーに対してアクションしています!

デー記念トークイベント「なくそう、アボハラ」

国際セーフアボーションデー

 2019年9月27日(金)18時30分より京都市中京区のウィングス京都にて、性と健康を考える女性専門家の会「避妊・中絶ケアプロジェクト」、ラブピースクラブの主催により、国際セーフアボーションデー記念トークイベントが開催され、有識者らが女性の権利として安全なアボーションピルでの中絶と堕胎罪廃止を求める声を表明した。

iwj.co.jp

国際セーフアボーションデー記念トークイベント「なくそう、アボハラ」

全編動画あり!

 2019年9月27日(金)18時30分より京都市中京区のウィングス京都にて、性と健康を考える女性専門家の会「避妊・中絶ケアプロジェクト」、ラブピースクラブの主催により、国際セーフアボーションデー記念トークイベントが開催され、有識者らが女性の権利として安全なアボーションピルでの中絶と堕胎罪廃止を求める声を表明した。


■全編動画


登壇 早乙女智子氏(神奈川県立汐見台病院産科副科長、「性と健康を考える女性専門家の会」会長)/塚原久美氏(フリー翻訳者、中絶問題研究者、『中絶問題とリプロダクティヴ・ライツ フェミニスト倫理の視点から』著者)/福田和子氏(なんでないのプロジェクト)/北原みのり氏(作家、ラブピースクラブ代表)/ビデオ出演 ズザーネ・クレイサ・マクマナス (Susanne Krejsa MacManus) 氏(ウィーン・避妊と中絶博物館、The Museum of Contraception and Abrotion)
日時 2019年9月27日(金)18:30〜20:30
場所 ウィングス京都(京都市中京区)
主催 性と健康を考える女性専門家の会「避妊・中絶ケアプロジェクト」/ラブピースクラブ