リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

妊婦の梅毒が急増、胎児に感染すると難聴や知的障害の恐れ…「妊娠初期の検査を」

讀賣新聞 2024/02/28 12:29

妊婦の梅毒が急増、胎児に感染すると難聴や知的障害の恐れ…「妊娠初期の検査を」 : 読売新聞www.yomiuri.co.jp

 日本産婦人科医会は、2022年の1年間に梅毒の感染が分かった妊婦の割合が、前回調査(16年)の約3・3倍だったとする調査結果を公表した。梅毒が流行している影響とみられる。感染した妊婦から胎児にうつると、難聴や知的障害などを持つ赤ちゃんが生まれる恐れがある。医会はこうした「先天梅毒」を防ぐためにも、妊娠初期の検査を呼びかけている。

 国立感染症研究所によると23年に梅毒と診断された患者は1万4906人(速報値)にのぼり、3年連続で過去最多を更新した。


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 調査は、出産を扱う全国の医療機関を対象に行い、67%にあたる1346機関が回答した。

 期間中に出産した約45万5700人のうち梅毒に感染していた妊婦は376人だった。前回調査では約30万5700人のうち感染は76人で、割合は3・3倍だった。生まれた赤ちゃんのうち28人が先天梅毒だった。

 妊婦健診では、梅毒の感染を調べる検査がある。感染が分かった場合、抗菌薬の治療を受ける。

 だが、今回の調査では、出産間際に初めて医療機関を受診する「飛び込み出産」などで感染が判明した妊婦が15%で、前回(1%)より増加した。こうした妊婦は健診を受けていないため、治療につながらず、胎児に感染するリスクが高まる。

 調査を行った東邦大の早田英二郎准教授は、「妊婦の梅毒は早期の診断と治療で、胎児への感染を防ぐことが重要だ。心配がある人は、速やかに医師に相談してほしい」と話している。

韓国の出生率、0・72に 日本上回る「超少子化」 教育費など負担

Yahoo 2/28(水) 12:00配信

韓国の出生率、0・72に 日本上回る「超少子化」 教育費など負担(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

朝日新聞デジタル
写真キャプション:ソウル近郊の街で、手をつないで歩く家族。韓国では少子化が進み、出生率が「1」を下回って久しい=2024年2月24日、稲田清英撮影


 韓国の2023年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数)が0・72(暫定値)となった。韓国統計庁が28日発表した。前年の0・78をさらに下回り、同様に少子化に直面する日本(22年に1・26)と比べても低い。世界的にも異例の「超少子化」が続いている。

 23年の出生率は、1970年以降の統計で最も低い水準だった。出生率が前年より下がるのは8年連続となる。1を下回るのは6年連続で、主要国が名を連ねる経済協力開発機構OECD)加盟38カ国では韓国だけだ。

 発表によると、地域別では首都ソウルが0・55、第2の都市・釜山は0・66、ソウル近郊の仁川は0・69などとなり、大都市部が特に低かった。

 23年に生まれた子どもの数は全国で23万人で、前年より7・7%少なかった。70年以降では最少で、10年前と比べればほぼ半減している。

 韓国では、70年代初めまでは出生率が4を超えており、当時の政府は出産抑制の政策に重きを置いたが、2000年代以降には逆に少子化が大きな社会課題となってきた。

 少子化の背景には、様々な要因が指摘される。長時間労働などによる子育てと仕事の両立の難しさや、子育ての負担の女性への偏りなどは日本とも似通う。初婚年齢の平均は男女とも30歳を超えており、晩婚化が進んだことも一因だ。

 韓国では全人口のほぼ半数がソウル首都圏に暮らす一極集中が続いており、住宅価格が高騰した。日本以上と言われる学歴社会と教育熱も、少子化を加速させる大きな要因だ。社会の「生きづらさ」や若い世代の将来不安などが子どもを持つことをためらわせる状況は、日本とも重なる。

 若い世代の価値観も変わりつつある。韓国統計庁が昨年8月に発表した調査によると、19~34歳で結婚に対し「肯定的」な認識を持つ割合は22年時点で36・4%で、10年前の56・5%から下がっていた。自らの意思で結婚しないことを選ぶ「非婚主義」との言葉も広がっている。

 韓国政府は、保育所を増やしたり、無償保育や育児休業制度を広げたりといった少子化対策を進めてきたが、そもそも結婚や出産に踏み切れない若い世代が多い中で、出生率の低下に歯止めをかけられていない。

 最近は、自治体や企業が生まれた子ども1人あたり1億ウォン(約1100万円)を支給する、といった支援策を打ち出す例も相次いでいる。(ソウル=稲田清英)

23年出生数、過去最少75.8万人 人口は初の80万人超減

日経新聞 2024年2月27日 15:31

23年出生数、過去最少75.8万人 人口は初の80万人超減 - 日本経済新聞

出生数は死亡数の半分以下となった
 厚生労働省は27日、2023年の出生数(速報値)が前年比5.1%減の75万8631人だったと発表した。8年連続で減少し、過去最少となった。外国人を含む値で、日本人だけでみるとさらに少なくなる。人口の減少幅は初めて80万人を超え、国力低下に歯止めがかかっていない。


 出生数は初めて80万人を割った22年からさらに減った。国立社会保障・人口問題研究所の推計では23年の出生数は76.2万人と見込まれていたが、想定より早く少子化が進んでいる。推計では24年に出生数が一時増加に転じ、76万人を切るのは35年と予想していた。

 婚姻数は48万9281組で戦後初めて50万組を割り、前年から3万組以上減少した。新型コロナウイルスの影響で減少したまま回復していない。22年は微増だったが、再び大幅な減少に転じた。婚姻が増えなければ、出生数増加への反転も見通せない。

 離婚数は2.6%増の18万7798組だった。20年に20万人を切り減少が続いていたが、4年ぶりに増加に転じた。

 コロナ禍を経て人口減少は加速している。自然減は83万1872人で、減少幅は4万9567人拡大した。20年には51万人程度だった。24年には人口の半数以上が50歳を超えると見込まれている。現役世代がますます減るなか、経済や社会保障の持続性が懸念される。

 死亡者数は159万503人で前年から8470人増え、過去最多だった。高齢化を背景に3年連続で増加し、出生数の2倍以上となった。推計値を10万人上回っている。

優生連のサイト、日本初の「リプロダクティブ権」をめぐる仙台地裁判決とその後の高裁判決について

忘備録

優生連ホームページ


裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

判示事項の要旨
 1 平成29年法律第44号による改正前の民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効を定めた規定である
2 優生保護法による強制優生手術を受けた原告の国家賠償請求事件において、平成29年法律第44号による改正前の民法724条後段の規定による権利の消滅についての被告国の主張が権利の濫用にあたるとされた事例


仙台地裁判決
平成30(ワ)76  国家賠償請求事件 令和元年5月28日  仙台地方裁判所判決
「リプロダクティブ権」を認めるも「除斥期間」によって賠償は認められなかった。


大阪高裁2022年2月22日
令和3年(ネ)第228号 損害賠償請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成30年(ワ)第8619号・平成31年(ワ)第727号)
初めて国に賠償命令が下された判決。

「旧優生保護法の立法行為の違法性」を認め、「したがって、被控訴人は、控訴人らに対し、国家賠償法1条1項に基づき、本件各規定に係る違法な立法行為による権利侵害につき損害賠償義務を負うものというべきである。」とした。

控訴人3名について以下のような理由で慰謝料を認めた。

⑴ 控訴人1及び控訴人2の被害及び慰謝料
 前記2及び3での認定・説示のとおり、控訴人1及び控訴人2は、本人の同意のないまま、それぞれ旧優生保護法12条の申請ないし4条の申請に基づく優生手術を受けさせられ、身体への侵襲を受けた上、生殖機能を不可逆的に喪失したことで、子をもうけるか否かという幸福追求上重要な意思決定の自由を侵害され、子をもうけることによって生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれたものであり、本件各規定に係る違法な立法行為(前記4)による権利侵害を受けたといえる。
 加えて、控訴人1及び控訴人2の被害は、このような身体への侵襲及び身体的機能の喪失というにとどまらない。すなわち、旧優生保護法は、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的とし、本件各規定において、本人の同意なく優生手術の対象となる障害ないし疾患を有する者を特定・列挙するものであるところ、控訴人1及び控訴人2のように本件各規定に基づき優生手術を受けさせられた者は、旧優生保護法の下、一方的に「不良」との認定を受けたに等しいと言わざるを得ない。制定法に基づくこのような非人道的かつ差別的な烙印ともいうべき状態は、控訴人1及び控訴人2の個人の尊厳を著しく損ねるもので、違法な立法行為による権利侵害の一環をなすものであって、そのような権利侵害は、上記のような優生思想に基づく規定を改める優生保護法の一部を改正する法律(平成8年法律第105号)の施行日前日の平成8年9月25日まで継続したものといえる。
 以上のような控訴人1及び控訴人2の生殖機能喪失をはじめとする被害の内容を踏まえると、その精神的苦痛に対する慰謝料はそれぞれ1300万円と認めるのが相当である。
⑵ 控訴人3の被害及び慰謝料
 控訴人3は、控訴人2との婚姻後に、控訴人2がその同意なく優生手術を受けさせられ、生殖機能を不可逆的に喪失したことで、控訴人2との間の子をもうけることができなくなったもので、配偶者との子をもうけるか否かという幸福追求上重要な意思決定の自由を妨げられるなど、控訴人2の生命を害された場合にも比類すべき精神上の苦痛を受けたといえるから、やはり本件各規定に係る違法な立法行為(前記4)によって権利を侵害されたというべきである。
 そして、その精神的苦痛に対する慰謝料は、上記のとおり控訴人2に対する慰謝の措置が別途講じられるべきであることも踏まえ、200万円と認めるのが相当である。
⑶ 弁護士費用
 本件各規定に係る違法な立法行為と相当因果関係のある弁護士費用としては、控訴人1及び控訴人2については各130万円、控訴人3については20万円と認めるのが相当である。


仙台高裁2023年10月25日
令和5年(ネ)第181号
原告Aに対し3300万円の賠償
原告Bに対し,3850万円の賠償
以下は、Call4が明かにしている判決要旨
仙台高裁判決2023年10月25日

争点
5 本件立法不作為又は本件施策不作為に基づく損害賠償請求権の成否(争点1)
本件防止懈怠行為に基づく損害賠償請求権の成否(争点2)
民法724条後段(除斥期間)の適用の可否(争点3)
損害額(争点4)

リプロダクティブ権については次の判断が示された。

⑷ リプロダクティブ権をめぐる裁判例,学説等の状況旧優生保護法に基づき不妊手術を受けたと主張して損害賠償を求める訴訟が提起された事案は,本件が全国で初めてのものであり,旧優生保護法の本件規定及び本件立法不作為につき憲法違反の問題が生ずるという司法判断は,今までされてこなかった。そして,いわゆるリプロダクティブ・ライツという概念は,性と生殖に関する権利をいうものとして国際的には広く普及しつつあるものの,我が国においては上記のような事情もあり,リプロダクティブ権をめぐる法的議論の蓄積が少なく,上記概念が必ずしも十分に社会に定着しているとはいえない。

このうち、争点2について賠償が認められた。
 厚生大臣は,憲法99条に基づき,憲法を尊重し擁護する義務を負うとともに,厚生省を統括する立場にあったのであるから(国家行政組織法5条1項及び10条参照),違憲な優生手術を行わせないように通達若しくは指導し,又は旧優生20 保護法の改正案を内閣に提出して閣議決定を経て国会にこれを提出するなどして,優生手術を防止する義務を負っていた。それにもかかわらず,当時の各厚生大臣は,昭和23年7月13日(旧優生保護法の制定日)から,原告Aにあっては■■■■■■■までの間,上記義務を怠った。そして,旧優生保護法違憲無効であることは一見して明らかであるから,当時の各厚生大臣には,本件優生手術を防止するための措置を執らなかったことにつき,故意又は過失があったものといえる。
 したがって,当時の各厚生大臣による本件防止懈怠行為は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ…値上げの歯止めも狙い

讀賣新聞 2024/02/24 22:00

医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ…値上げの歯止めも狙い : 読売新聞


遅きに逸した感もあるが、やらないよりはマシ。放っておいたら、まだまだ値段が吊り上げられるに違いないから。物価高になったなんて、つい最近のこと。なにしろ私の試算では、1980年代の料金と出産数をかけたものは、現在の料金と出産数をかけたものにほぼ等しい。

医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ…値上げの歯止めも狙い


 厚生労働省は今春に、各地域の医療機関ごとに出産費用や 分娩ぶんべん 実績などのデータを比較できるサイトを開設する。算出方法に不透明さが指摘される出産費用を可視化することで、妊産婦が医療機関を選びやすくするほか、値上げに歯止めをかける狙いもある。

 サイトでは、市町村ごとに分娩を実施している病院やクリニックなどの一覧を掲載し、各医療機関の〈1〉平均負担額〈2〉平均入院日数〈3〉年間の取扱件数〈4〉立ち会い出産や無痛分娩の実施の有無――などを公表することを想定している。


 2022年度の正常分娩の出産費用は全国平均で48万2294円で、物価高の影響もあり年々増加傾向にある。昨年4月には、出産育児一時金が原則42万円から50万円に引き上げられたが、医療機関によっては50万円を超える場合も少なくない。出産祝いの夕食や産後マッサージなどの料金が最初から負担額に含まれる医療機関があるなど、不透明さも指摘される。

 政府は26年度をめどに正常分娩の保険適用を目指す方針だが、現在は医療機関が独自に費用を設定しており、こうした状況に拍車をかけているとみられる。政府としては、出産費用を「見える化」することで、妊産婦が想定していない負担を強いられることを避けるとともに、費用の適正化を図りたい考えだ。

 また、厚労省は4月から、ちらし作成やセミナー実施などで妊産婦に積極的に情報提供を行う健康保険組合に対し補助金を支給する制度も始める方針だ。

男女共同参画基本計画ができるまでの流れ

男女共同参画審議会 審議会答申 平成12年(2000年)9月26日

内閣総理大臣 森喜朗殿

男女共同参画審議会 会長 岩男壽美子

リプロの出てくる箇所:

II 個人の尊厳の確立
 個人の尊厳の確立は、男女共同参画社会の根底をなす考え方である。生命、身体、精神にかかわる個人の尊厳が確立されなければ、男女がその個性と能力を発揮していくことはできない。国際的にも民族紛争により発生した難民への対応など国家主権を超えた視点での取組が課題になるとともに、「女性2000年会議」においても女性に対する暴力の問題がこれまでよりも一層重視されるなど、個人の尊厳の確立は、その重要性に対する認識が一層深まっている。

1 女性に対する暴力への今後の取組
…省略…


2 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(*1)への今後の取組

【視点】

 女性も男性もそれぞれの身体の特性を十分に理解し合い、思いやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提といえる。とりわけ、女性は、妊娠や出産をする可能性があることもあり、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点から女性の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策の推進を図ることが必要である。

 妊娠、出産期は女性の健康支援にとっての大きな節目であることから、我が国の妊産婦死亡率が先進国の中でやや高いことなどの課題を踏まえ、妊娠・出産の安全性や快適さを確保することが必要である。また、不妊に悩む男女が多いことから、精神面を含む支援を行っていく必要がある。

 女性が自らの身体について自己決定を行い健康を享受するという観点から、性と生殖に関することを含め自らの健康について、幼児期から高齢期に至るまで適時、正しい情報を入手できるよう十分に対応する必要がある。人工妊娠中絶の件数は、昭和30年と比較し、平成11年では1/3以下に減少しているが、未だに33万件を上回っており、中でも20歳未満の女性の人工妊娠中絶は増加の傾向にある。これらの事実は人工妊娠中絶が女性の心身に及ぼす影響に対する認識や安全な避妊の知識が十分でないことなどが原因となっているものと思われる。このため、女性と男性の相互の尊敬と理解に基づく家族計画等の普及が重要である。

 女性の生涯を通じてリプロダクティブ・ヘルス/ライツが保障されることが肝要である。


【具体的な取組】

 リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方を踏まえ、性と生殖に関し、自ら判断し、決定すること(性的自己決定)を相互に尊重することが重要である。このため、自分の身体や相手の身体について正しい情報を入手し、自分で判断し、自ら健康管理できるようにするため、学校や地域における性教育や健康教育の一層の充実を図る必要がある。その際、青少年の性行動が低年齢化・活発化している状況を踏まえ、また、性情報が氾濫している状況を踏まえ、学校や地域においてリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点に立つ性教育や健康教育の充実を図る必要がある。なお、性教育を進める際には、避妊に関する情報提供及び適切な対応にも留意するとともに、学校と関係機関・地域社会、あるいは産婦人科医・助産婦・保健婦等と必要に応じ適切な連携・協力を行うことも重要である。

 摂食障害、喫煙、飲酒及び薬物については、それらが生殖機能や胎児に影響を及ぼすものであることから、女性が主体的に取り組めるよう学校や地域社会において健康被害に関する正確な情報提供が行われる必要がある。特に、喫煙は個人の問題ではあるが、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方を踏まえ、生涯を通じた女性の健康への配慮という点から、公共空間を始め飲食店など不特定多数の人が利用する空間及び職場においては禁煙が推進されることが望ましい。

 妊娠・出産の安全性や快適さ及び避妊の選択肢を確保するため、周産期医療や家族計画指導を含む母子保健医療施策等を推進する必要がある。

 子どもを持ちたいにもかかわらず不妊で悩む人々が、正しく適切な基礎情報を基にその対応について自己決定できるよう、不妊に関する多面的な相談体制を整備する必要がある。また、不妊治療に関する研究環境の整備を推進する必要がある。

 月経、乳がん子宮内膜症骨粗鬆症更年期障害等の女性に特有な健康状態あるいは女性に多く見られる疾病について、これらに関する研究及び予防、健康診査、相談、情報提供等の適切な保健サービスを推進する必要がある。

 医師、保健婦助産婦、看護婦、カウンセラーや保健所、市町村保健センター等の担当職員に対し、女性の生涯を通じた健康支援の総合的な推進を図る視点から、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する研修を強化する必要がある。

 女性が生涯を通して自己の健康を維持・管理するため、思春期、月経時、妊娠・出産期、更年期、高齢期など女性の生涯を通じたメンタルヘルスに関する事業を推進する必要がある。

 HIVエイズ性感染症は、女性の健康に甚大な影響をもたらすものであり、HIVエイズについては、正しい知識の普及・啓発、医療体制の充実、治療薬の研究開発等の予防から治療までの総合的な対策、性感染症については、正しい知識の普及・浸透、予防、健康診査、相談、治療等の対策の推進を図る必要がある。

 女性が主体的に避妊するため、低用量経口避妊薬(ピル)や女性用コンドーム等に関する知識の普及等の支援を行う必要がある。

 女性労働者の母性保護及び母性健康管理の徹底を図る。特に、妊娠中及び出産後も継続して働き続ける者が増加していることにかんがみ、これらの女性労働者が引き続きその能力を十分に発揮する機会を確保するための環境を整備することが重要である。また、妊娠又は出産を理由として、雇用管理面で不利益な取扱いを受けることのないよう企業の望ましい雇用管理の在り方やそのための環境整備に向けての方策等について、母性保護条約の改正など国際的な動向も見極めつつ検討を進めるべきである。

 女性をめぐる現行の関連法令、関連制度について、リプロダクティブ・ヘルス/ライツを保障するための法的整備を含め、総合的に今後の在り方を検討する必要があるが、その際、リプロダクティブ・ヘルス/ライツのうちのライツの概念については、種々の議論があるため、世論の動向を踏まえた検討が必要である。


(*1)リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:1994年にカイロで開催された国際人口・開発会議において提唱された概念。リプロダクティブ・ヘルスは、個人、特に女性の健康の自己決定権を保障する考え方。健康とは、疾病や病弱でないことではなく、身体的、精神的、及び社会的に良好な状態にあることを意味する。リプロダクティブ・ライツは、それをすべての人々の基本的人権として位置付ける理念である。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの中心課題には、いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に生まれ育つことなどが含まれており、また、これらに関連して、思春期や更年期における健康上の問題等生涯を通じての性と生殖に関する課題が幅広く議論されている。

男女共同参画社会基本法の施行から男女共同参画基本計画の策定までの流れ

執務提要 | 内閣府男女共同参画局

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執務提要
第1章 男女共同参画社会基本法の施行
 男女共同参画社会基本法は、6月15日の衆議院での議決後(第145会国会の会期は6月17日まで)、6月18日の閣 議において公布決定がなされ、6月23日に法律第78号として公布、同法の附則により公布日に施行された。

 なお、本法には地方公共団体における責務があることなどから、6月23日付けで各都道府県知事宛に「男女共同参画 社会基本法の施行について」周知等を求める文書を発出している


第2章 男女共同参画会議に関する基本法の改正等
 男女共同参画社会基本法男女共同参画審議会に係る規定はその後、「中央省庁等改革のための国の行政組織関 係法律の整備等に関する法律」(平成11年7月16日法律第102号)及び「中央省庁等改革関係法施行法」(平成11年 12月22日法律第160号)により改正され、現在の条文となった。

 男女共同参画会議は、内閣府に置かれる重要政策に関する会議の一つであり、従来の男女共同参画審議会の機能 に加え、<1>男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視、<2>政府の施策が男女共同参画社会の形 成に及ぼす影響についての調査、<3>必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に意見を述べることがで きるというものとなった。

 また、中央省庁等改革の際に内閣府の中に男女共同参画を担当する局が設けられた。


第3章 男女共同参画基本計画の策定
 平成11年8月9日、内閣総理大臣男女共同参画審議会に対して、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78 号)第21条第2項第2号の規定に基づき、「男女共同参画社会の形成については、平成8年7月30日に「男女共同参画 ビジョン」(男女共同参画審議会答申)により21世紀を展望した総合的ビジョンが示され、平成8年12月13日に国内行動 計画である「男女共同参画2000年プラン」(男女共同参画推進本部決定)が決定されたところである。その後の男女共同 参画社会の形成に関連する国内外の様々な状況の変化を考慮の上、今後、政府が基本法に基づく男女共同参画基本 計画を策定していく際の基本的な考え方についてお示しいただきたい。」として、「男女共同参画社会基本法を踏まえた男 女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について、貴審議会の意見を求める。」と諮問した。

 同審議会は、平成12年5月に、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向に関する論点整理」 を公表し、平成12年9月26日には、内閣総理大臣に「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方 - 21 世紀の最重要課題 -(答申)」を提出した。

 政府は、平成12年7月31日に男女共同参画審議会から出された、「女性に対する暴力に関する基本的方策について (答申)」、平成12年6月に開催された「女性2000年会議」の成果も踏まえて、男女共同参画基本計画(案)を策定し、12 月11日付けで男女共同参画審議会に「男女共同参画基本計画(案)」について意見を求めた。

 同審議会は同日付けで「標記計画案は、本審議会が平成12年9月26日に答申した「男女共同参画基本計画策定に当 たっての基本的な考え方」の趣旨に概ね沿うものであり、妥当である。」と答申したが、「なお、本審議会は、政府が標記 計画を推進するに当たって、別紙の点について十分留意することを、強く要望する。」として、以下の要望が出された。

 男女共同参画社会の実現は、21世紀の我が国社会のあり方を決定する最重要課題であり、政府においてはこのこ とを強く認識し、男女共同参画社会基本法に基づき初めて定められる男女共同参画基本計画に盛り込まれた施策を、当 審議会答申「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」の趣旨を踏まえ、早期に実現していくこと。
 個人のライフスタイルの選択に大きな影響を与える税制、社会保障制度等の社会制度については、個人の活動の 選択に中立的な制度となるよう、世帯単位の考え方をもつものを個人単位に改めるなど、制度の検討・見直しに早期に取 り組むこと。
 女性に対する暴力は、女性の人権に直接関わる深刻な問題であり、その根絶を目指して、既存の法制度の的確な 実施や各種施策の充実だけでなく、これまでの状況を踏まえ、新たな法制度や方策などを含め、早急に幅広く検討するこ と。
 平成13年1月からの中央省庁等改革において、内閣府男女共同参画会議男女共同参画局が置かれるなど新 たな推進体制が発足するところであるが、その機能を十分発揮し、男女共同参画社会の形成のための取組を整合性を もって、総合的かつ効率的に推進すること。また、そのためにも、内閣の要であり、男女共同参画会議の議長である内閣 官房長官男女共同参画担当大臣としてその任に当たることが必要であること。
 本計画は基本法に基づく初めての計画として平成12年12月12日に閣議決定された。

日本の労働者1人あたりGDP

株式会社小川製作所のブログ

日本の経済統計と転換点 309 日本の労働者の生産性は高い? - 労働者1人あたりGDP


びっくりした。自前で「経済統計」というウェブページを持ち、OECD情報などを訳して随時提供している。

経済統計 | 小川製作所 東京都葛飾区 溶接・研磨・精密加工 医療・半導体・航空

従業員数:35名 えっ???? 絶句……

医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ…値上げの歯止めも狙い

讀賣新聞 2024/02/24 22:00

医療機関ごとの出産費用・分娩実績が一目瞭然、厚労省が比較サイト開設へ…値上げの歯止めも狙い

自由診療」の名の下に聖域化されてきた産婦人科医療。お産も中絶も保険点数化することで、料金体系をクリアにするべきだ。

 厚生労働省は今春に、各地域の医療機関ごとに出産費用や 分娩ぶんべん 実績などのデータを比較できるサイトを開設する。算出方法に不透明さが指摘される出産費用を可視化することで、妊産婦が医療機関を選びやすくするほか、値上げに歯止めをかける狙いもある。

 サイトでは、市町村ごとに分娩を実施している病院やクリニックなどの一覧を掲載し、各医療機関の〈1〉平均負担額〈2〉平均入院日数〈3〉年間の取扱件数〈4〉立ち会い出産や無痛分娩の実施の有無――などを公表することを想定している。


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 2022年度の正常分娩の出産費用は全国平均で48万2294円で、物価高の影響もあり年々増加傾向にある。昨年4月には、出産育児一時金が原則42万円から50万円に引き上げられたが、医療機関によっては50万円を超える場合も少なくない。出産祝いの夕食や産後マッサージなどの料金が最初から負担額に含まれる医療機関があるなど、不透明さも指摘される。

 政府は26年度をめどに正常分娩の保険適用を目指す方針だが、現在は医療機関が独自に費用を設定しており、こうした状況に拍車をかけているとみられる。政府としては、出産費用を「見える化」することで、妊産婦が想定していない負担を強いられることを避けるとともに、費用の適正化を図りたい考えだ。

 また、厚労省は4月から、ちらし作成やセミナー実施などで妊産婦に積極的に情報提供を行う健康保険組合に対し補助金を支給する制度も始める方針だ。

「子どもを産まない権利も認めて」戦時下から続く、原則禁止の不妊手術要件は違憲と提訴

東京新聞 2024年2月26日 20時56分

「子どもを産まない権利も認めて」戦時下から続く、原則禁止の不妊手術要件は違憲と提訴:東京新聞 TOKYO Web

 不妊手術の要件を定めた母体保護法不妊手術を原則禁止し、生殖に関する自己決定権を制約して違憲だとして、首都圏や関西地方に住む20~30代の女性5人が26日、国に計500万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴した。弁護団によると、この要件の違憲性を問う訴訟は初めて。提訴後に記者会見した原告らは「子どもを産むことを望まない人の選択権を認めてほしい」と訴えた。


◆日本は遅れている「性や生殖について自ら決定する権利」
 母体保護法不妊手術について
(1)妊娠または分娩(ぶんべん)が母体の生命に危険を及ぼす恐れ
(2)既に数人の子がおり、かつ分娩で母体の健康度を著しく低下する恐れ
のいずれかの要件を満たす場合に限って認め、それ以外の理由で不妊手術した医師らに罰則を設けている。
 原告はいずれの要件にも当たらないが、生殖機能がある身体への嫌悪感や、恋愛感情や性的欲求を抱かないなどの理由で子どもを産むことを望んでいない。「子どもを産むか否かを決めることは人生を形成する上で重要な権利」であり、要件は個人の尊重などを定める憲法に反するとしている。
 弁護団によると、人口増加が国策だった戦時体制下に制定された旧国民優生法(1940~48年)は不妊手術を原則禁止。戦後成立した旧優生保護法で現行法と同様の規定ができたが、障害者には強制不妊を認めた。96年に障害者差別に当たる条文が削除、現行法に改正されたが、不妊手術の要件は維持された。

 会見には原告5人中4人が出席。梶谷風音(かじやかざね)さん(27)は10歳ごろから身体に違和感を抱き、昨年9月、海外で不妊手術を受けた。「日本では子どもを産まない人の存在が想定されず、伝統的家族観からそれた生き方をすると否定される。訴訟を通じ、一度きりの人生を自分らしく生きていいんだと多くの人に勇気を与えたい」と語った。
 亀石倫子弁護士は「不妊は本来個人が自由に決定できることなのに、家父長的価値観や道徳によって常に国家に管理されてきた」と指摘。欧米などで浸透する性や生殖について自ら決定する権利「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」の認識が大幅に遅れていると強調した。(太田理英子)