リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

21世紀美術館の新しい特別展示――川崎和男展――を観てきた。じつはあまり期待していなかったので,思わぬ掘り出し物を見つけた気分だった。館内の各所に置かれた椅子もシンプルでおしゃれで座り心地がよくてよかったけれど(なかでもブランコ型の椅子がいい!),まるびぃの象徴,白い円形の展示室のなか,川崎さんが会ってみたいと思っている(故人,外国人も含んだ)有名人の一人一人のために選んだビートルズ・ソングのオルゴールが鳴り響くオマージュの部屋がわたしは気に入った。人選,選曲はもちろんのこと,インスタレーションの微妙な違いや組合せなど,いろいろ思わされることがあり,しばらく楽しめそうです。

ガラス張りの部屋に刃物を突き刺した円柱が並んでいる展示も悪くなかったけど,どこかで観たような気がするのは……なぜ? 川崎さんはもともとインダストリアル・デザイナーで,ご自分が車いすに乗ることになったとき,そのデザインの悪さに一念発起して美しい車いすを作った人だと聞いている。展示されていたあれがたぶんそうなのだと思うけど,思わず乗ってみたいと膝を打ちたくなるシンプルでカラフルで美しい車いすだった。足腰が弱ってもなおおしゃれな気分になれる車いす,すてきです。

展覧会の主旨が下記にありました。わたしの下手な説明より,こちらがいいかもしれません。

◎展覧会主旨
タワシ、メガネ、インテリア、車椅子、コンピュータ、ロボット、家庭用原子力発電機から人工臓器まで、常に新たな地平を目指して飛行するデザイナー川崎和男の大規模な個展。キーワードは「いのち・きもち・かたち」。「21世紀はデザインが日本を変える、世界を救う」と主張し、最先端の技術を駆使しながら、あくまでも「手でデザインする」ことの価値を唱える川崎のデザインワークを映像と音楽を取り込んだ体験型の展示空間によって紹介する。とりわけ、ビートルズの曲を仕組んだ12のオブジェによるインスタレーション《PLATON'S ORGEL》(プラトンのオルゴール)は必見。
http://www.kanazawa21.jp/ja/04event/event_one.php?id=262

もうひとつコレクション展のほうに追加された奈良美智さんの「小夜曲」。思ったより大きな作品で,薄暗くした部屋全体が絵の中の世界みたい。なかなかポップなノリですが,この方の描く少女って,ちょっと怖いところがあるんだよね。薄暗い部屋の中心に作られた家の上窓からかろうじて覗けるメッセージには,くすっと笑ってしまった。(こういう芸の細かさ,好きです!)こちらの展示会の主旨は以下のとおり。

国際的に活躍するアーティスト、奈良美智の世界観絵画・彫刻作品の展示によって紹介します。また、奈良自身が金沢にて滞在制作を行いながら、音楽、パフォーマンスといった他分野の活動を始動させ、制作プロセスから成果までをトータルに展観します。新作インスタレーション《Voyage of the Moon》の展示をはじめ、2003年以降、共同制作を続けている大阪のクリエイティブユニットgrafが構築する「小屋」や「カフェ」を舞台に、巨大ぬいぐるみの共同制作プロジェクト「Pup Up the Dog」や小学生の子どもが犬の着ぐるみを着て美術館を探検するプロジェクト「Pup Patrol」、イヴェント開催などジャンルを横断したクリエイティブな時空間が創出されます。

http://www.kanazawa21.jp/ja/04event/event_one.php?id=265