リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

育児が難しい日本社会

児童虐待相談件数が、統計を取り始めた1990年以来、17年間続いて増えているそうだ。

今回の発表は児童相談所だけれども、警察への相談件数に関する類似記事も挙げておく。どうしてこんなに件数が違うのか……ちょっと不思議だったもので。(警察のほうが窓口がはるかに多いから、だけかなぁ〜?)

なお、次の2つの記事は時事ドットコムで見つけたもの。

2008/06/17-13:06 児童虐待相談、4万件超える=07年度の児童相談所受理分−厚労省
 全国197カ所の児童相談所が受けた2007年度の児童虐待の相談数が、前年度比8.8%増の4万618件に達し、過去最高を更新したことが厚生労働省の調査(速報値)で17日、分かった。件数は調査を始めた1990年以降、17年連続で増加しており、同省は「防止に向けて子育て支援体制を充実させたい」(虐待防止対策室)としている。
 同日、厚労省で開かれた全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議で公表された。

2008/05/15-10:08 児童虐待が3年で7割増=DVも、警察への相談件数
 全国の警察が2007年に取り扱った「安全相談」は、前年比7.5%減の約129万件だったことが15日、警察庁のまとめで分かった。過去最多だった04年からは28.4%減ったが、このうち「児童虐待」に関する相談は同じ3年間で71.6%、「配偶者からの暴力(DV)」は46.5%増えている。
 同庁によると、安全相談は04年の約180万件をピークに減り続けている。
[後略]

実際の虐待の件数が増えたのではなく、通報が増えたと見ることも可能だろう。家庭内の事だからと看過されなくなったことの反映なら、それはそれでよいことなのかもしれないけれども。

心配なのは、こうした数値をもとにして“母性愛の喪失”などと騒ぐ輩が出てくることである。児童虐待の問題を憂えるのであれば、孤立した子育てやキャリア中断の問題、「失敗が許されない子育て」の過剰負担など、次世代育成のための負担はあいかわらず母親が過剰に担わされていて、「育てにくい」社会の問題を追及すべきであろう。手慰みの“子育て支援”ではどうにもならないのに、それをオウムのようにくりかえしている行政も情けない。

まずは家庭内の“父親”を育児にひきずりだすしかないでしょ……と思っていたら、先日、夫婦で育児休暇を取ると休暇期間が延長される制度に関する見出しを北陸中日新聞でちらりと見かけた。そういう制度ができたのか、検討されているのか……新聞記事を見失ってしまったのでよく分からないのだけど、悪くない話だと思う。でも、検索しても出てこない。具体的にどういう内容だったのかな……ちょっと気になっている。

上記を書いた後になって、偶然、下記のブログ記事をみつけました。スウェーデンの話だそうです。中日新聞の記事も、この話だったのかしらん?
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スウェーデンの育児休暇について・ボーナス制度