リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

堕胎罪撤廃100万人署名

次のような署名プロジェクトが行われています。日本の堕胎罪は、明治政府が国力増強のために「産めよ殖やせよ」の人口増加策を取るために導入したもので、女性の人権を守るという観点から、国連の女性差別撤廃委員会からも廃止を求められています。

私は堕胎罪撤廃を支持します。みなさまもぜひ署名してください。

企画者: NGOすぺーすアライズ
提出先: 内閣総理大臣 衆議院議長 参議院議長
開始日: 2010年02月05日

私たちは、新政権が、自己堕胎罪を速やかに廃止することを強く求めます。


署名プロジェクトの詳細

 刑法では、人工妊娠中絶について自己堕胎罪(いわゆる堕胎罪)が規定されており、この妊娠の原因を作った男性は処罰せず、中絶をした女性と施術者のみを処罰することになっております。このような法律の存在は、憲法で規定されている性別による差別の禁止に抵触するものであり、ただちに撤廃される必要があります。

 近年堕胎罪での起訴件数がほとんどありませんが、必要のない条文であれば早急に撤廃できるはずです。また、憲法違反の条文を撤廃しないで放置することは、新政権が憲法違反の状態を容認していると評価せざるを得ません。なお、妊娠中絶の違法性阻却事由を定めるとされる母体保護法の存在は、堕胎罪の存在を正当化できるものではありません。

 国連・女性差別撤廃委員会による第6回日本報告に対する勧告においては、同委員会は堕胎罪規定の撤廃を求めております。第4回世界女性会議で採択された北京行動綱領においても自己堕胎を処罰する規定の見直しが求められております。日本の堕胎罪のような、構成要件として妊娠中絶を全面的に禁止する法制度は世界でもまれな法律であり、100年以上前に制定された堕胎罪規定は、新政権によって早急に撤廃されるべきです。

 また、刑法規定の副次的効果として社会道徳に影響を及ぼし、堕胎罪規定が存在するため、人工妊娠中絶をした女性が罪悪感を強め、また周囲が人工妊娠中絶をする女性を責めることになります。また望まない妊娠をした女性がこの規定ゆえに、意思に反して人工妊娠中絶を思いとどまり、または人工妊娠中絶を遅らせることになっており、女性の必要な医療へのアクセスが制限されています。特にドメスティック・バイオレンスを体験する女性にとっては、堕胎罪の存在と、人工妊娠中絶に配偶者の同意を要求する母体保護法の規定があいまって、望まない妊娠のために夫のもとを逃げられず、夫と離婚できないなど、人生の重大な選択や健康に悪影響をもたらしています。
 女性と妊娠の課題は、妊娠中絶を選択できなければ多産による貧困と女性の過剰負担を招くのはもちろんのこと、経済的・政治的参画をも妨げるものであり、女性が希望を持って人生を歩むことを困難にするものです。