リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

第210回国会 参議院 本会議 第3号 令和4年10月7日

小池晃議員が総理にRHRは人権と質問2022年10月7日

016 小池晃
小池晃君 日本共産党小池晃です。
 会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。
<中略>
安全で効果的な中絶方法として世界でも主流となっている経口妊娠中絶薬が年内にも承認される見通しとされています。ところが、政府は、母体保護法に基づき、服薬には配偶者の同意が必要だと答弁しました。このことに対して、私の体は私のものだ、産む産まないは女性の自己決定だという批判が起こっています。なぜ母体保護法では人工妊娠中絶に配偶者の同意を必要としたのでしょうか。
 妊娠や出産は、母体に大きな影響を及ぼし、女性の人生設計も大きく左右します。産むか産まないか、いつ産むかを決めるのは当然女性であるべきではないでしょうか。
 リプロダクティブヘルス・ライツ、性と生殖に関する健康と権利が、今日、女性の人権の重要な概念の一つとして国際的にも確立していることを総理はどのように認識しておられますか。
 国連女性差別撤廃委員会は、母体保護法の配偶者同意の撤廃を日本に勧告し、WHOも本人の希望で中絶を可能にするよう求めています。こうした声をどう受け止めていますか。
 我が国では、刑法の自己堕胎罪と母体保護法によって、女性には中絶の決定権がありません。明治以来の家父長制の下で女性には自由も権利もなく、胎児は家のもの、家長のものという前提で作られた法体系が今も女性の権利を奪っています。
 コロナ禍の下、DVや望まない妊娠も増えています。性暴力による妊娠さえも中絶に男性の同意が求められるケースが後を絶たず、女性たちを苦しめています。
 刑法の自己堕胎罪、母体保護法の配偶者同意要件は撤廃すべきです。答弁を求めます。
<後略>


017 岸田文雄
内閣総理大臣岸田文雄君) 小池晃議員にお答えをいたします。
<中略>
 人工妊娠中絶についてお尋ねがありました。
 性と生殖に関する健康と権利は、一九九四年の国際人口・開発会議において提唱され、国際的に女性の重要な人権の一つであると認識されていると承知をしております。
 母体保護法における人工妊娠中絶の配偶者同意要件については、一九四八年の議員立法による制定当時からある規定ですが、二〇一六年の女子差別撤廃委員会や二〇二二年のWHOにおける指摘があることは承知をしております。
 その廃止については、個人の倫理観、家族観等に関わる難しい問題であり、様々な御意見や御議論があることから、国民的な合意形成が必要であると考えております。また、刑法の堕胎罪は、胎児の生命をも保護するものであり、慎重な検討を要すると考えております。
 他方、昨年、夫からのDV被害を受けているなど、婚姻関係が実質破綻しており、配偶者の同意を得ることが困難な場合は、本人の同意だけで人工妊娠中絶が可能と解されたところであり、この運用について、厚生労働省において引き続き適切に周知をしてまいります。
<後略>