リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶薬の個人輸入は危険・・・そりゃそうだけど

2013年3月7日付で独立行政法人 国民生活センターが「経口妊娠中絶薬の安易な個人輸入や使用は危険!」と報じています。詳細な報告書もあります。

だけどこの「商品テスト部」が担当した報告書の内容は、まったくずさんなもので、商品としてのミフェプリストンの価値と危険性を評価したものではない。要は「未認可薬だから危険」「インターネット購入は危険」「堕胎罪にひっかかるから危険」などと繰り返しているだけで、なぜ厚労省はこの薬を危険とみなして未認可にしているのかというエビデンスはどこにもないし、堕胎罪で脅しをかけているようにさえ見える。いくつかの被害の例を挙げ、次のような専門家のコメントを載せているだけ。

4.専門家のコメント
社団法人日本医師会 常任理事 今村定臣先生


経口妊娠中絶薬ミフェプリストンは、わが国の薬事法上は未承認の医薬品であり、個人輸入
は一定の制限がかけられています。


しかし、現実にはインターネットで入手可能なところに医療者として強い懸念があります。


ひとつには、医薬品には例え稀であったとしても、副作用というものがあるということです。
これは、現在の医学をもってしても完全に避けることはできないものです。


通常国内で承認された医薬品の副作用で健康被害が起こった際には、独立行政法人医薬品医療
機器総合機構(PMDA)による健康被害救済制度が活用できます。しかし、経口妊娠中絶薬は国内
で承認された医薬品ではないので、万が一副作用で健康被害が生じても、この制度が適用される
ことはありません。つまり、もしものときの後ろ盾がないのです。


もうひとつの大きな懸念は、この医薬品によって堕胎した場合、使用した本人にも刑法の「堕
胎罪」が適用される可能性が強いことです。


刑法第 212 条では、「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、
1 年以下の懲役に処する。」と規定しています。また、第 213 条では、「女子の嘱託を受け、又は
その承諾を得て堕胎させた者は、2 年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、3 月
以上 5 年以下の懲役に処する。」としています。