リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

人工妊娠中絶をめぐる国家賠償請求裁判

前にアエラに掲載された記事を紹介しましたが、その原告である弁護士の足立恵佳さんが5月25日に東京で開かれる第21回リプロダクティブ研究会でお話になります。

「中絶」の位置づけを問う重要な裁判です。以下に、研究会のチラシの内容を転載します。

第21回リプロダクション研究会


「人工妊娠中絶をめぐる国家賠償請求裁判で何を問いたいか−原告足立さんに聞く」


 足立さんは2010 年、エコー検査で、生まれても生存が極めて困難な臓器障害が胎児(お腹の赤ちゃん)にあることがわかった。医師から、お腹の中で亡くなるまで待つ選択もあるが、自分の経験上この子は長く生きられないので、あきらめて、いまいる子やこれからの子に力を注いだ方がいいかもしれないとの助言を受けたことや、当時35歳直前で帝王切開歴もあったことから妊娠週数が進んでから処置(胎内死亡掻爬術や胎内死亡による死産)をすると母胎に負担がかかると考えたこともあり、悩んだ末に、妊娠18 週で人工妊娠中絶の手術を受けた。

 死産証書に書かれていたのは「母体保護法による人工死産」「経済的理由」だった。経済的理由ではなく胎児の致死的な異常によって人工死産したのに、堕胎罪の適用を免れるために母体保護法が適用されていることを知った足立さんは、実態に合っていないのにそれを放置しているのは国の怠慢であるとして2012 年に国家賠償請求訴訟を提起した。

 訴訟内容は、人工妊娠中絶に胎児条項を入れるべきであるという主旨ではない。胎児が亡くなるまでお腹にいて掻爬・死産すれば保険適用であるのに、人工死産であれば保険適用にならないで自費である、その保険制度を昭和27 年当時から維持しているのは厚生労働省(厚生省)の怠慢であるから、支払うことになった医療費等や慰謝料を合わせた32 万9 千円を賠償請求する、及び、空文化し時代に合わない堕胎罪を存置しているのは国会の怠慢であるから、慰謝料10 万円を賠償請求する、等といったものである。

足立さんはなぜ国家賠償請求訴訟を提起したのか。裁判はどのような経過だったか。

 当事者も社会も出生前診断による選択的中絶にどのように向かい合うか問われている今、一人で裁判を起こし、先日東京地方裁判所の結審を終えたばかりの足立さんの話をじっくり聞き、ディスカッションしたい。

参考『AERA』2012 年12 月31 日−2013 年1月7 日 vol.26(1)「中絶は犯罪ですか? 堕胎罪という矛盾」(本裁判に関する記事)


【登壇者】
スピーカー:足立恵佳さん(原告、弁護士)
聞き手:白井千晶(リプロダクション研究会代表)


【日時】2013年5月25日(土) 11時〜13時30分 (開場 10時50分)
途中休憩で昼食を召し上がる場合はご持参下さい


【場所】大阪経済法科大学東京麻布台セミナーハウス 2F大会議室
日比谷線神谷町駅徒歩3分、大江戸線の赤羽橋、浅草線大江戸線の大門駅等)
URLはこちら


【参加費】1000円


【お申し込み方法】
要事前申込み (お申し込みいただかない場合資料がお渡しできない可能性があります)
「問い合わせページ[」http://homepage2.nifty.com/̃shirai/html/inquiry.html:title=こちら]に「第21回リプロダクション研究会参加申込み」とご記入の上、?氏名 ?所属・肩書き等?メールアドレスを記載して下さい。申込み締切:5月23日(木)
共催 「ハイリスク」な女の声をとどける会