リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

フランスの人工妊娠中絶

日仏の弁護士資格をもつ金塚綾乃さんによる論考

上下二回連載です。
thetokyopost.jp
フランスのIVG(人工妊娠中絶)条法制度~中絶の自由は人権宣言2条に由来する女性の自由だ~ - The Tokyo Post



憲法に中絶権を書き込もうとしているフランス人にとって、中絶を選択できることは究極の自由の保障であることが説明されています
実存主義の哲学者ボーヴォワール、中絶合法化を実現した政治家シモーヌ・ヴェイユと並んで紹介されている弁護士ジゼル・アリミの言葉を引用した結びの段が身に染みます。

「私の体は私のものです。しかし、もし私の体が私のものであるとすれば、それは、私自身は身体以上のものだからです。私は理性であり、心であり、自由であり、そして私を作って来た歴史です。それはつまり私は人としての最も重要な選択に関し責任があるということです。それは、生命を与えるのかあるいは与えないのか、という選択です。その生命とは、私が与えたいと思う欲求によってのみ生命となるものです。その生命は、私の意志に反しては生命とはなり得ないのです。

神を信じる女性も信じない女性も、それぞれにとって、生命を与えるということは自由の中の自由であって、その他の自由はこの自由から導かれるのです。職場における平等や、私たちの国の政治や文化、社会において完全なる存在を獲得するためには、女性にとっての大前提があります。それは、自らが自らのものであることです。もし女性が自分の体に対して権利のない状況に置かれるのだとしたら、すべての解放のための戦いは意味のないものです。」



人工妊娠中絶は「生殖に関する自己決定」という狭い権利ではなく、より根源的な自由として位置づけられているのです。