リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

最高裁判決でも「リプロダクティブ・ライツ」が使われた

令和2年(ク)第993号 性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件 令和5年10月25日 大法廷決定


判決文の裁判官宇賀克也の意見の中に「リプロダクティブ・ライツ」が出てくる。「リプロダクティブ・ライツも、憲法13条により保障される基本的人権と解してよいと思われる」と述べている。

2 本件規定は、生殖に関する自己決定権であるリプロダクティブ・ライツの侵害という面においても重大な問題を抱える。この点については、前掲最高裁平成31年1月23日第二小法廷決定の共同補足意見においても、性別適合手術による卵巣又は精巣の摘出が、生命ないし身体に対する危険を伴うとともに、生殖機能の喪失という重大かつ不可逆的な結果をもたらすと指摘されていたところである。リプロダクティブ・ライツも、憲法13条により保障される基本的人権と解してよいと思われるところ、自認する性別と法的性別を一致させるために、自己の生殖能力を喪失させる生殖腺除去手術を不本意ながら甘受しなければならないことは、過酷な二者択一を迫るものであり、リプロダクティブ・ライツに対する過剰な制約であると考える。
 リプロダクティブ・ライツについては、身体への侵襲を受けない自由とは別に保障されていると解することもできるが、身体への侵襲を受けない自由に包摂されるという理解もあり得ると思われる。すなわち、2011年(平成23年)、ドイツの連邦憲法裁判所は、性別取扱いの変更について生殖能力喪失を要件とする規定を違憲であると判示したが、そこでは、人間の生殖能力は、基本法2条2項によって保護されている身体不可侵の権利の要素であると述べられている。


おそらく日本で最初に判決文の中に書かれた仙台地裁の「リプロダクティブ権」を確認してみた。
仙台地方裁判所 リプロダクティブ権 - リプロな日記
判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
下級裁裁所 裁判例速報
事件番号   平成30(ワ)76
事件名  国家賠償請求事件
裁判年月日  令和元年5月28日
裁判所名・部   仙台地方裁判所  第2民事部
結果   棄却
全文

子を産み育てるかど25 うかを意思決定する権利(以下「リプロダクティブ権」という。)をを一方的に侵害
されて損害を被ったと主張