朝日デジタル 田中美保2023年12月7日 20時00分
「男」に変わった住民票取得 鈴木げんさん「記念すべき節目の一つ」
まずは良かった! 日本のガチガチの制度に、少しずつ風穴があいていくといいですね!
トランスジェンダーの人たちの性別変更には生殖能力を失わせる手術が必要と定めた「性同一性障害特例法」の規定は憲法違反とした家事審判で、女性から男性への性別変更が認められた浜松市の鈴木げんさん(49)が7日、同市役所で、性別の表記が変更された住民票などを取得した。
鈴木さんはこの日、市役所の窓口を訪れ、住民票と戸籍謄本の交付手続きを行った。住民票の性別欄が「男」と記載されているのを確認し、「多くの人にとって当たり前だったことが、僕にもやっと当たり前になった。その証明をいただいたのはうれしい。記念すべき節目の一つ」と話した。
同行したパートナーの国井良子さん(51)は「(書類を)じっくり見てニコニコしているのは初めて」と語った。これまで鈴木さんは、性自認と異なる性別が記載されている住民票や保険証を見ると不機嫌になったり、窓口での交渉が煩わしく通院を嫌がったりしていたという。国井さんは「私も安心して付き添える」と笑顔で語った。
審判は静岡家裁浜松支部が10月11日付で決定した。この間、鈴木さんのもとには「性別 男」と記載された新しい保険証も届いたという。新しい住民票をもとに、免許証などの手続きもしていく予定だ。
鈴木さんの審判決定後、最高裁でも特例法の手術要件を違憲とする決定が出された。これを受け、国会で特例法改正の動きが進む。鈴木さんは「運動としてはまだまだ続く」とし、トランスジェンダーの仲間が暮らしやすい社会に向けて活動していく考えを示した。(田中美保)
記事で触れられている最高裁の判決は以下ですね。
BBC News Japan 2023年10月26日, シャイマ・ハリル東京特派員、イヴェット・タン(シンガポール)
日本の最高裁判所は25日、戸籍上の性別を正式に変更する国民に、生殖能力を失わせる手術を受けることを義務づけるのは違憲だとする決定を出した。
2004年に施行された「性同一性障害特例法」は、生殖能力がないか、その機能を永続的に欠く場合のみ、性別を変更できるとしている。
トランスジェンダーの女性が、この法律の要件は憲法違反だとして、手術なしでの性別変更を認めるよう裁判所に申し立てていた。
性別変更にあたって手術を実質的に義務づけている国は世界に18あり、日本はそのひとつ。こうした要件については、世界保健機関(WHO)も反対している。
日本はまた、先進7カ国(G7)の中で唯一、同性婚を法的に認めていない。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、日本の法律の要件を「有害で時代に逆行する」としていた。
この日の決定についてHRWは、「日本のトランスジェンダーの権利にとって重要な勝利」だとして歓迎した。
HRWの土井香苗・日本代表は、「この決定は、日本におけるトランスジェンダーの健康、プライバシー、身体的自律の権利を支持するものだ」、「有害な(中略)要件の撤廃を目指した長年にわたる社会運動と訴訟が、この決定につながった」とBBCに語った。
同じ法律をめぐっては、2019年に最高裁が合憲と判断していた。今回の決定は、それを覆すことになる。